「目標は3年で100タイトル」――ソースネクストが海外のサービスやソフトを日本へ積極展開世界初の「Dropbox」パッケージ版も(1/2 ページ)

» 2013年04月25日 01時00分 公開
[池田憲弘,ITmedia]
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海外製ソフトの日本参入をソースネクストが手助け

photo 発表会会場に並んでいたパッケージ版「Dropbox」

 ソースネクストは4月24日、クラウドストレージサービス「Dropbox」の有料サービスをパッケージとして販売すると発表した。2013年4月26日に発売する。価格は8500円(税込み、以下同)。

 本パッケージを購入すると、100Gバイトを1年間利用できるプレミアムサービスを利用できる。同サービスの通常料金は年間99ドルで、クレジットカードによる決済が必要だが、パッケージ版ではカード不要で簡単に使い始められる。

 同日行われた海外事業戦略発表会では、Dropboxパッケージ版発売の狙いのほか、同社海外事業の展開が語られた。

 発表会に登壇した同社代表取締役社長の松田憲幸氏は、「2009年に会社のキャッチコピーを“みんなわくわくパソコンソフト”から“ソフトでわくわく”へ変更し、PCだけでなくスマートフォンやタブレット用アプリケーションの提供も開始した。Android用アプリは現在23タイトルとなり、売り上げも2011年度比で8倍になった」同社のビジネスを紹介。経常利益も2.7倍に伸びている。

photophotophoto ソースネクスト 代表取締役社長の松田憲幸氏(写真=左)。ソースネクストのAndroid用アプリ事業は順調で、売り上げと経常利益どちらも伸びているという(写真=中央、右)。

 そんな同社が今後注力するのが海外事業だ。松田氏は「日本市場はアメリカに次ぐ大きなIT市場を持っているが、ドル決済が行えず、手厚いサポートが必要なことに加え、英語のリテラシーが低いことから、海外企業にとっては参入が難しい」と述べた。

 ソースネクストは2010年にEvernoteのパッケージ版を発売するなど、海外発のサービスを日本向けにローカライズするビジネスを始めている。量販店での商品展開やオンラインショップなど、国内の販路やノウハウに自信を持つ同社が海外の企業と提携し、サービスを国内で展開するというビジネスだ。

 今後はアメリカのシリコンバレーに重点を置き、提携企業の発掘に注力するという。2012年9月にはシリコンバレーに現地法人を設立している。本発表会では海外事業の第1弾として、今後発売する予定の5製品が発表された。

photophotophoto 日本は市場規模が大きいものの、参入への障壁が高いという(写真=左)。ソースネクストは今後、魅力的なサービスが多数生まれるシリコンバレーの企業との提携に注力するとアピール(写真=中央)。今後ソースネクストが発売するソフトのパッケージ(写真=右)

「超フォトムービー」

 PCやスマートフォンから写真や音楽をアップロードして、手軽に動画を作成できる米Animoto社のサービス「Animoto」を日本語化して提供する。2013年8月に発売予定で、価格は2年版で4980円だ。

 Animoto執行副社長のJonas Gerber(ジョナス・ガーバー)氏は「高品質な動画を作るのは難しく、時間もお金もかかる。Animotoはこれを解決するソリューションだ。現在約600万人のユーザーが利用し、Animotoで作成された動画は月間100万回再生されている」とアピールした。

photophoto 「超フォトムービー」の製品概要とソースネクストとの協業内容(写真=左)。Animoto 執行副社長のJonas Gerber氏(写真=右)

「wifi スマートペン」

 カメラ、マイク、スピーカーなどを搭載し、専用ノートに書いた文字とその場での会話や音声を同時に記録できる、米Livescribe社のデジタルボールペン。Evernoteと連携し、書いたメモをそのままEvernoteにアップロードし、PCやスマートフォンなど任意のデバイスから利用できる。

 同社直販サイトにて2013年4月23日から予約を受け付けているが、初回販売分(2013年5月31日発送分)の250台はすでに完売しており、最短で2013年6月7日の発送となる。価格は1万8800円。

 Livescribe最高経営責任者のGilles Bouchard(ジル・ブジャール)氏は「技術的に最先端だし、文字を書く文化が残る日本に本製品はマッチすると思っている。売り切れてしまったが、すぐにソースネクストへ納入するので心配しないでほしい」とアピールした。

photophoto 「wifi スマートペン」の製品概要とソースネクストとの協業内容(写真=左)。Livescribe 最高経営責任者のGilles Bouchard氏(写真=右)

「Wi-Fiセキュリティ」

 米AnchorFree社のVPNソフト「Hotspot Shield」を日本語化して提供する。無線LANアクセスポイント/ホットスポット利用時のセキュリティを高める製品だ。発売は2013年7月の予定で、価格は1年版で2980円。

 AnchorFree執行副社長のCraig Vachon(クレイグ・バーション)氏は「3月には韓国でもハッキング事件があった。Wi-Fiは決して安全ではなく簡単にハックできる。本ソフトはセキュリティ、プライバシー、帯域の圧縮という3つの問題を解決するVPNソリューションで、iOSやAndroid、Mac、PCとOSを問わず利用できるところが強みだ」と紹介した。

photophoto 「Hotspot Shield」の製品概要とソースネクストとの協業内容(写真=左)。AnchorFree執行副社長のCraig Vachon氏(写真=右)

「NovaBACKUP」

 米NovaStor社の高速バックアップソフト「NovaBACKUP」を日本語化し、ダウンロード版2013年5月31日に発売する(パッケージ版は2013年7月5日)。価格は3980円だ。NovaStorマネージングディレクターのMike Andrews(マイク・アンドリュース)氏は「バックアップソフトは必要不可欠なものだ。欧米では最も人気がある製品で、新しいマーケットの日本でも売れればと思っている」と意気込みを述べた。

photophoto 「NovaBACKUP」の製品概要とソースネクストとの協業内容(写真=左)。NovaStor マネージングディレクターのMike Andrews氏(写真=右)

「Dropbox」

 世界中で1億人が利用するクラウドストレージサービス「Dropbox」を世界で初めてパッケージ版で販売する。

 クリエイティブディレクターのJon Ying(ジョン・イン)氏は「本サービスもスタート当時はPCのデータをどうやって同期するか、というシンプルな課題を解決するものとして作っていた。人がデバイスを複数持つようになった現在、問題も複雑になったが、ユーザーの生活をシンプルに出来るかというゴールは変わらない」とDropboxのコンセプトを説明。

 ソースネクストと提携するメリットについては「どのようにサービスをユーザーに届けるのかも大切だ。家電量販店やオンラインショップなどの多彩な販路を持つソースネクストとの協業は効果が高い」(ジョン・イン氏)とコメントした。

photophoto パッケージ版「Dropbox」の製品概要とソースネクストとの協業内容(写真=左)。Dropbox クリエイティブディレクターのJon Ying氏(写真=右)

 松田氏は「シリコンバレーには本当に素晴らしいサービス、製品がたくさんあるが、日本ではあまり知られていない。こうしたサービスや製品を日本に広めることで生活を便利にし、ひいては日本を活性化していきたい」と語った。今後3年間で100タイトルを販売するのが目標だという。

 発表会には、ソースネクストのイメージキャラクターを務めるベッキーさんも登場した。タブレットやスマートフォンなど、複数の端末で自身のレコーディング音源を聞くこともあり、クラウドストレージサービスを利用しているという。Animotoに興味があるとのことで「友人との旅行などをビデオにしてみたい」と語っていた。

photophotophoto 発表会にはソースネクストのイメージキャラクターを務めるベッキーさんも駆けつけた。「海外からのゲストが多いため、日本を代表する意気込みを込めて着物姿で登場した」という(写真=左、中央)。発表会後には松田社長やベッキーさん、パートナー企業の幹部らでフォトセッションが行われた(写真=右)
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