そういえば「本来あり得ない理由」って何だったのだろうルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(1/2 ページ)

» 2013年07月18日 11時00分 公開
[島田純,ITmedia]

日本通信からSIMロックフリーのWi-Fiルータ「b-mobile4G WiFi3」登場 発売日に出荷停止となる騒動に

photo b-mobile4G WiFi3

 NTTドコモのMVNOとして、ドコモ端末やSIMロックフリー機器で使用できる通信サービスを提供する日本通信から、同社が販売するポータブルWi-Fiルータの第3弾「b-mobile4G WiFi3」が発売された。

 b-mobile4G WiFi3の最大の特徴は、LTE通信の対応周波数が3バンドに拡大したSIMロックフリーのLTE対応ルータであること。対応周波数帯は800M/1500M/2100MHz帯。日本国内ではNTTドコモが東名阪エリア以外で提供している1.5GHz帯を利用する下り最大100MbpsのXi(LTE)サービスも利用可能となっているのがポイントだ。

 XiサービスおよびそのMVNOサービスは、XiエリアでのLTE接続ができるのはもちろん、非対応エリアでも(LTE比で)低速度なFOMA(3G)接続で利用できることで利用可能なエリアが広いが、低速度になるデメリットがある。3バンドに対応していることで、特に下り最大100Mbps対応エリアで、3G接続に落ちていた従来の2バンド対応までの機器より快適な通信環境が得られるようになるだろう。

 LTE接続時の連続通信時間は7時間、3G接続時の連続通信時間は8時間と、前モデル「b-mobile4G WiFi2」のLTE:5時間、3G:6.5時間から連続通信時間が長くなっており、販売価格も比較的低価格。日本通信の直販サイト“bマーケット”で2万4900円で販売されている。

 Xiの3バンド(800M/1500M/2100MHz帯)に対応しているポータブルWi-Fiルータは、NTTドコモの販売する「L-03E」、「HW-02E」、主にXiのMVNO(@nifty do LTEなどISPが展開するLTEサービス)向けのNECアクセステクニカ「AtermMR02LN」に続き、b-mobile4G WiFi3で4機種目となる。

「本来あり得ない理由で」……

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 さて、このように製品仕様そのものは普通に魅力的なのだが、本機は発売時に“ある騒動”があり、別の方向で話題になった。

 「本来SIMロックフリーの製品であるはずが、SIMロックがかけられていたことが判明した」として発売日に急きょ出荷が停止。その理由を告知する同社の「本来あり得ない理由で」という珍しいタイトルを用いたプレスリリースにより、さまざまな憶測とそのフレーズを使った言葉遊びが一時的に流行した。

 同社がSIMロックフリーの仕様にてと機器製造メーカーに依頼し納品された機器が、発売後に「NTTドコモのSIMロックがかけられており、本来の仕様と異なっていたのが判明した」のが一時出荷停止の理由。これについては「通信事業者の妨害なのか?」「いや、自社の製品として出す以上、人のせいにするのもどうかと」などと議論されたが、1週間後の6月21日、本来の仕様で無事出荷が再開された。

 もう1つ、筆者はこの製品について、製品発表時の日本通信のプレスリリースで用いられていた「どんなLTEでも使える」とするうたい文句も「?」だと思っていた。

 対応するLTE周波数帯は前述の通り800M/1500M/2100MHz帯で、NTTドコモのXiサービスにおいて最適化されている仕様は好ましい。ただ、同じ国内でも1.7GHz帯を使うイー・アクセス「EMOBILE LTE」サービスは対応しておらず、“どんなLTEでも”という言葉はひとまず不適当だ。

 日本通信のb-mobileサービスは基本的にNTTドコモのMVNOとしてXi/FOMAネットワークを使うサービスなので、知っている人は少々言葉が足りなくても理解してくれるかもしれない。ただ、「プリペイドスタイルのSIMカード製品」という新たなカテゴリの製品群がようやく一般層にも普及する兆しが見えている現在、そんなユーザーを困惑させるのはよろしくない。2013年7月現在はもう「あー、そういえばあんなことあったね」な感じだが、改めていろいろ考えさせられたできごとであった。

 なお、b-mobile4G WiFi3については別途実機レビューを行う予定である。

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