見た目が変わらない新製品、あなたは買いますか?牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

» 2013年11月19日 08時00分 公開
[牧ノブユキ,ITmedia]

 家電にせよPC関連の機器にせよ、新しく発売になる製品は、旧来と外観ががらりと変わるというのが、これまでお決まりのパターンだった。しかし最近では、ほぼそのままの外観でモデルチェンジが行われるケースも増えてきた。中でも1年サイクルでモデルチェンジが行われることの多いスマートフォンや電子書籍端末では、こうしたケースがかつてに比べて増加しているように感じられる。

 外見はほぼ旧来のままという新製品が発表された際、お決まりとも言えるユーザーの反応は「見た目が同じだから、買い替えなくてもいいでしょ」という否定的な見方だ。確かに外見の目新しさがなければ新鮮味もなく、周囲に見せびらかすこともできないわけで、購入のモチベーションが上がらないというのはよく理解できる。

 もっとも、製品の完成度という意味においては、外見がまったく異なる新製品よりも、むしろ見た目がほとんど変わらない製品のほうが上というケースは多い。そこには明確な理由があり、そのことをきちんと理解しているユーザーだけが、恩恵を得ているというのが実情だ。例外に当たるケースとともに、その見分け方をチェックしてみよう。

メーカーが新製品を投入する2つの理由

 具体的な理由を紹介する前に、まずメーカーの新製品のサイクルについて説明しておこう。一般的にメーカーでは、1年に1回、もしくは半年に1回といった決まったペースで、旧来製品のモデルチェンジとなる新製品を発売する。どのくらいのペースかは業界によっても製品によっても変わるが、仮に1年に1回というペースだった場合、発売される月は毎年ほぼ同じであることが普通だ。前年が9月なら今年も9月、前年が11月なら今年も11月といった具合である。

 これは単純に、前年同月比で比べた場合に売上を落としたくないという理由によるもので、どうしても1カ月か2カ月ずらさなくてはいけない場合でも、12月や3月といった決算月をまたいで繰り越されることはまずない。製品が最も売れるのは一般的には発売直後なので、それがずれてしまうと年次の販売計画が大きく狂ってしまう。少なくとも四半期単位ではつじつまを合わせないと、責任問題と化すからだ。

 こうして定期的なペースで投入される新製品だが、そもそもメーカーがなぜ旧来の製品に代えて新しい製品を投入するかというと、大きく分けて2つの理由がある。

 1つは市場の要求やテクノロジーの発達によって、旧来の製品では通用しなくなったパターン。競合他社からさらに優れた製品が発売になって太刀打ちできなくなったか、近い将来にそれが予期される場合に備えて、製品の価値を向上させるためにモデルチェンジを行うわけだ。仮にこれを「ケースA」とする。

 もう1つのケース、こちらは言うなれば「ケースB」になるが、市場やテクノロジーとは何ら関係なく、拡販のきっかけが必要だったがゆえに新製品を投入せざるを得なくなったケースだ。先にも述べたように、製品が最も売れるのは発売直後のタイミングである。そのため、現行製品の価値はそれほど下がっていないにもかかわらず、あえて新製品を投入し、それを起爆剤にして売上を伸ばそうとするケースは、実は珍しくはない。

 このほか、工場を持たないサードパーティーの製品においては、OEM元が生産を打ち切ったため、やむなく現行製品が終息となり、別のOEM元から仕入れた製品を後継として新発売するといったケースなどもあるが、ここでは話をシンプルにするために、前述の「ケースA」と「ケースB」に絞って話をすすめる。

とにかく外見を派手に変える=よしそれならカラバリだ

 前述の2つのパターンのうち「ケースB」については、とにかく拡販のきっかけを作るのが目的であるため、製品の中身そのものはあまり重視されない。とにかく派手に新製品をアピールし、販売店およびメディアから注目してもらえれば、それによって導入店舗が増え、懐が潤う。中身の進化はあるに越したことはないが、それよりも外見が違うことを派手にアピールしたほうが効果的というわけだ。

 そのため、このケースでは、機能や性能では大きな差異がないにもかかわらず、ボディだけはがらりとデザインが変わることが多い。ハッタリでも何でも、とにかく外見を変えて耳目を集めようというのだ。そもそも中身がほとんど変わっていないのだから、外見の違いで釣るしか方法がない。

 こうした「とにかく外見を派手に変える」という場合に、ボディの差し替えとともによく使われる手法が、カラーバリエーションの投入だ。色を変えるだけならば従来の金型がそのまま使えるので、メーカーにとっては最小限のコストで新製品がリリースできる。やむを得ず金型を新規に作らざるを得なくなったとしても、放熱試験や落下試験など、新しいボディであれば実施する必要のあったテストは省略できるので、最小のコストで新製品が出せるのだ。

 これに対して「ケースA」の場合は、あくまでも性能向上、機能向上によって製品の競争力を高めることが目的であるため、結果的に外観が旧来の製品と変わることはあるかもしれないが、優先順位としてはそれほど高くない。新しい機能を追加したことで部品の実装がガラリと変わり、ボディを再設計しなくては収まらなくなってしまったのであれば変更せざるを得ないが、そうでなければ現状そのままでも、なんら問題はないのだ。

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