「TransBook T100TA」──キーボードドック付きで4万円台、良コスパな2in1 Windowsノート最新PC速攻レビュー(2/2 ページ)

» 2013年11月22日 10時50分 公開
[岩城俊介(撮影:矢野渉),ITmedia]
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サイズ感チェック:ノートPCとしては手ごろな10.6型サイズ

TransBook T100TAのノートPCスタイル 10.1型サイズのため、ノートPCとしてはかなり小柄である

 まずは標準となるノートPCスタイルから見ていこう。

 10.1型サイズの液晶ディスプレイを備えるモデルのため、サイズ感はほどよく手ごろ。何というか、ひと昔前に流行したNetbookを現代風に洗練させた感じだ。本体サイズは約263(幅)×171(高さ)×23.6(厚さ)ミリとなる。

 天面は中央にASUSロゴを配置し、光沢のある濃いグレーをボディカラーに採用する。光沢のある塗装のため指紋や皮脂の付着が目立つのは少し気になるが、着脱対応ヒンジ機構など、これまでは大柄で無骨な部品で構成されがちだった部分もすっきりと自然に見えるようデザインされているのは好印象だ。

 評価機実重量は1106グラム。小柄なボディなのでカタマリとして若干の重さを感じるが、モバイルノートPCとしてバッグへ入れて携帯するにも苦にならないであろう重さの範囲に収まっている。

 キーボードドックには標準サイズのUSB 3.0が1基備わるので、外付けHDDなどでストレージ容量の拡張も容易だ。キーボードドックは必ずしも持ち歩く必要はなく、外出時はタブレットだけ持ち出せばそれだけ荷物も軽くなる。このため、キーボードドックは机上作業専用の拡張ドックとして使うのもよいだろう。

 いくつか願わくば、机上ではさらにUSB接続のマウスなども使いたいので標準サイズのUSBポートはもう1つあるとうれしい。また、充電についても、本体側面のやや上部にあるMicro USBポートへ接続するスタイルがやや不安定で、不安を感じるので、キーボードドックにも充電端子を備えてくれればなお喜ばしかった。

TransBook T100TAのタブレットスタイル キーボードドックから外すと、そのままピュアタブレットになる

 タブレットスタイルはどうか。キーボードドック中央の着脱ボタンを押すとスチャッとディスプレイ(本体)が取り外せ、指で触れて操作するWindows 8.1のピュアタブレットに変化する。もちろん着脱/装着は電源を入れたままOKで、キーボードを使いたければキーボードドックに差せばすぐ認識する。タブレットでよくあるBluetoothでの無線接続方式は、すぐ認識されなかったりバッテリー切れなどの不都合が起こる可能性が意外にあるが、有線接続仕様の本機はこのあたりの面倒なく、何も気にせず活用できるのが強みだ。

 タブレットスタイルのサイズは約263(幅)×171(高さ)×10.5(厚さ)ミリ、実重量は578グラム。Windows 8.1が動作し、これまでのWindowsソフトウェアも使用できるWindowsマシンであるメリットは大いに喜ばしいが、タブレット単体としては少し大柄で重めの部類になる。

 バッテリー容量は28ワットアワー(CPUID HWMonitorで確認)で、公称の駆動時間は約15.8時間を確保する。10時間以上クラスとなるとかなり良好だろう。外へ持ち出して使うにも、家の好きな場所で使うにも、たいていのシーンに適する携帯性を備えている。

注目ポイント:サッと着脱できる、キーボードドックが付属 HDD内蔵の上位モデルも

タブレット本体とキーボードはワンタッチで着脱できる

 実売4万円台からと、とても導入しやすい価格帯のTransBook T100TAだが、キーボードドックの着脱機構に手抜き感はない。カッチリ安心して使用できるのが好印象だ。

 また(評価機のT100TA-DK32Gには備わらないが)、上位の「TA-DK532GS」と「T100TA-DK564G」は、このキーボードドックに500GバイトのHDDも内蔵する仕様となる。ストレージが32GバイトeMMC(初期時残量は18Gバイトほどだった)のみとなるT100TA-DK32Gを普通のWindows 8.1搭載PCとして使うには、さすがに容量が少ないかなと思う。

 もちろん分かる人が使い方を工夫すればそれでも十分運用できる範囲ではある。ただ、この運用方法が思いつかない人、あるいは写真や動画などプライベートデータをローカル保存して活用する、これまでのノートPCと同じスタイルで使いたいならば、たいていの場合容量の多いHDDも使える上位モデルのほうが利便性がよいと思われる。こちらは、外付けHDDを扱うかのようにタブレットをキーボードドックへ装着するとキーボード/クリックパッドとともに、HDD領域が認識される仕組みだ。

 なおオフィススイートは、32GバイトeMMC+500GバイトHDD仕様の「T100TA-DK532GS」にMicrosoft Office Home and Business 2013が付属。32GバイトeMMCの「T100TA-DK32G」(評価機)と64GバイトeMMC+500GバイトHDD仕様の「T100TA-DK564G」はプリインストールされるOffice互換のKingsoft Officeを使用できる。

 このため、実売価格はT100TA-DK532GSが5万9800円前後、一方、仕様として上位構成のT100TA-DK564Gは5万4800円前後とやや低価格になる。Office不要なのでその分もっと安くしてとするニーズと、Windows PCにはOfficeが必要というニーズ、双方のバランスをとったと思われるラインアップである。こちらは好みや使い方に応じて選択してほしい。

実力テスト:高速ではないが、プライベートマシンとして不足ないパフォーマンス

photo  

 ベンチマークテストのスコアを見ていこう。基本スペックはAtom Z3740(1.33GHz/最大1.86GHz)、CPU統合グラフィックス、2Gバイトメモリ(シングルチャネル/LPDDR2/1066MHz)、32Gバイトストレージ(eMMC)、32ビット版Windows 8.1という内容だ。

 参考までに、同時期に発売された11.6型3in1(Core i7搭載Windows 8ノート+着脱してタブレット、さらにAtom Z2560搭載Androidタブレット)デバイス「TransBook Trio(TX201LA-TRIO)」のスコアも併記した。


CrystalDiskMark 3.0.2のスコア

 CrystalDiskMarkによるストレージ性能は、シーケンシャルリードで107Mバイト/秒ほどだった。600Mバイト/秒ほどは出る最近の単体SSDにはかなわないが、一般的なHDDより読み出し速度がわずかに高速な傾向だ。また、実際のWebサイト表示とWebサービスの利用を中心とした“ビュワー”用途におけるもたつきはほぼ感じず、ブラウザのタブを10枚単位で開きながらサイトを見続ける使い方も普通にこなせた。Bay Trail-T世代のAtomはかなり高いパフォーマンスを示すことが伺える。

 一方、グラフィックス系の性能はやはり第4世代Core搭載モデルに劣る。こちらはある程度仕方のない結果だ。3DMarkのスコアはIce Storm、Cloud Gateテストともに比較モデルの半分程度のスコア、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマークのテストも3分の1ほどのスコアとなった。


TransBook T100TAのWindowsエクスペリエンスインデックスTransBook T100TAのCrystalDiskMark結果 左から、Windowsエクスペリエンスインデックス、CrystalDiskMark 3.0.2のスコア
TransBook T100TAのPCMark7結果TransBook T100TAの3DMark結果TransBook T100TAのFF14ベンチマーク結果 左から、PCMark 7 1.4.0、3DMark 1.1.0、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコア

 BBench 1.01で計測したWebブラウズでのバッテリー駆動時間は10時間38分だった(残り5%で休止状態に入るまで)。10時間以上の実働時間を超えたのはなかなか大きなポイントと評価できる。テストでは液晶ディスプレイの輝度を40%に固定したが、この状態でも一般的な屋内光環境下で十分な明るさがあるので、暗めの部屋で楽しむシーンではもう少し明るさを落とすことでより長時間の動作が望めるだろう。

ベンチマークテストの概要

  • パフォーマンステスト
    • Windowsエクスペリエンスインデックス(PC総合評価)
    • Crystal Disk Mark 3.0.2(ストレージ性能評価)
    • PCMark 7 1.4.0(PC総合評価)
    • 3DMark 1.1.0(3D性能評価)
    • FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(3D性能評価)

※Windows 8.1の電源プランは「バランス」

  • バッテリー駆動時間テスト
    • BBench 1.01

※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測


まとめ:かつてのNetbookに似たオトク感、タブレットにもなる2in1スタイルでこの価格帯の実現がうれしい

 TransBook T100TA(T100TA-DK32G)は、なによりコストパフォーマンスの高さが大きな魅力だ。なにせ実売4万8000円前後で、Windows 8.1が普通にさっくり動く小型ノートPCとして、さらに着脱してタブレットとして、実動10時間以上の長時間バッテリー動作性能があり、机上でも外出先でも、寝ながらでもコタツでも使えてしまう利便性を備えている。

 このバランスのよさは、エントリー層に勧めるものとしてはもちろん、中級者層以上のプライベートマシン/セカンドマシンにも意外なほど適していたりする。20万円以上のスペシャルPCは無理かもしれないが、4万円台であればいわゆる“家庭内稟議”も通りやすいのではないだろうか。

 「PCにウン万円も出していられないよ」と思う人、自宅で写真や動画コンテンツ、Webサービスを楽しみつつ、ノートPCとしての作業性/入力性も必要という人に、2013年冬ボーナスで購入する購入候補の上位に据えてほしい1台だ。


おまけ:編集部Kのぷちインプレ「“艦これ”用マシンとしてどうか」

photo Flashの読み出しが遅いためか、タイトル画面で警告ウィンドウが出てしまったが、プレイは普通にできる

 では、TransBook T100TAでブラウザゲーム「艦隊これくしょん -艦これ-」(艦これ)がどれだけスムーズに動くのかチェックしてみよう。

 通信環境はHTC J butterfly HTL21でLTEテザリング(実速度は下り5Mbpsほど)、ブラウザは標準の「Internet Explorer 11」という条件で動作させたところ、Tegra 4マシンなどと同様に描画は普通に滑らかである。

 特に描画が遅くなりがちな補給コマンド実行時などもサクサクと行えるのが快適だ。艦載機の動きや勝利判定時の動作もストレスなく見ていられる。ただ、ゲーム開始時の挙動が遅いのは気になる点か。タイトル画面で警告ウィンドウが出てしまい、ゲームが始まるまでに50秒程度かかった。

 そして、着脱できるキーボードドックがあるのが評価できる。艦これプレイ時はメールアドレスやパスワードを入力するログイン操作が必要だからだ。このあたりの操作性はソフトウェアキーボードに大きく勝る。TransBook TF101はキーボードドックを装着してログイン作業をサッと済まし、ゲームが始まればドックから外してタブレットモードでという使い方が極めて自然にできる。タブレットモードは約578グラムとタブレットとしては少し重いのだが、ノートPCを持ち歩くよりは軽量。外出中も、リビングルームなどでも、サッとプレイするのが苦にならないところがうれしい。

 バッテリーがかなり持つこと、そして実売4万円台より購入できるコストメリットをふまえ、「艦これ専用機」としてもかなりイけるマシンと評価する。




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