mSATAは、Serial ATAをノートPCなどに実装しやすいよう定義された小型カードタイプのミニ規格だ。物理的な仕様はJEDECにて「MO-300」として標準化されており、ピン数は52ピン、カードのサイズは横幅29.85ミリ、全長50.8ミリが標準となる。SSD 840 EVO mSATAもこの仕様に準拠した製品だ。
ピン数、カードサイズともPCI-SIGが規定しているPCI Expressのミニ規格であるPCI Express Mini Card(通称:Mini PCI Express)と同じ(厳密にいえばサイズが微妙に異なるが実質同じ)ため、混同されやすいが、あくまでもピン数とサイズが同じであるというだけで別の規格だ。
実際はmSATAとPCI Express Mini Card、両方使えるスロットもあるが、それはマザーボード側で両方の信号線を配線して両対応としているもので、本来規格上の互換性はないので注意していただきたい。
mSATAはその小型軽量なサイズを生かして、Ultrabookや薄型ノートPCで多く採用されているほか、自作用マザーボード/ベアボーンなどでも搭載例が増えてきており、注目度が高まっている。
自作用マザーボードでは、ストレージの接続にケーブルが不要になることが大きい。2.5インチのフォームファクタではSerial ATAケーブルと電源ケーブルをそれぞれ配線しなければならないところをmSATAならばゼロにできる。Mini-ITXなど小さなPCケースではこの上ないメリットだ。インテルが提唱する超小型プラットフォーム「NUC」(Next Unit of Computingの略)でも、ストレージはmSATA SSDを使うことが前提となっている。
SamsungがmSATA SSDのリテール販売に乗り出してきたのは、この市場にそれなりの需要があると見込んだからだろう。普及が本格化してきたことの裏付けであり、さらに普及を促進することにもつながりそうだ。
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