アキバで人気のSSDにmSATA版が登場――「Samsung SSD 840 EVO mSATA」徹底検証NUCやUltrabookをもっと速く(1/5 ページ)

» 2013年12月12日 12時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
ココが「○」
・mSATA SSDとしてはトップクラスの高性能
・120G〜1Tバイトまで選択可能
・多機能で使いやすいユーティリティ
ココが「×」
・バッファ容量を超える大容量データの書き込みは苦手
・SLCやMLCに比べてメモリセルの寿命が短いTLCを利用

小型のmSATAで最大1Tバイトモデルまでラインアップ

「Samsung SSD 840 EVO mSATA」

 既報の通り、Samsung Electronicsから最新のmSATA SSD「Samsung SSD 840 EVO mSATA」が発表された。国内代理店のITGマーケティングによると、日本での発売も決定しているという(発売時期は2014年1月前半ごろ、価格は調整中とのこと)。

 この製品は文字通り、2013年8月に国内販売が開始された2.5インチSSD「Samsung SSD 840 EVO」のmSATA版だが、同社のリテール向けSSDとしては初のmSATA SSDであり、最大1Tバイトという大容量が用意されている点も注目に値する。今回は120Gバイトモデルを入手したので、仕様をチェックしつつ、性能を検証していこう。

 Samsung SSD 840 EVO mSATAのスペックを下表にまとめた。ラインアップは750Gバイトが省かれ、120Gバイトから1Tバイトまで4モデルで展開される。

Samsung SSD 840 EVO mSATAの主なスペック
容量 120Gバイト 250Gバイト 500Gバイト 1Tバイト
コントローラ Samsung MEX 400MHz/3コアARM Cortex-R4
NAND 19nm Samsung Toggle DDR 2.0(400Mbps)
キャッシュ LPDDR2 256Mバイト LPDDR2 512Mバイト LPDDR2 1Gバイト
シーケンシャルリード(Mバイト/秒) 530 540
シーケンシャルライト(Mバイト/秒) 520
4K、QD1ランダムリード(IOPS) 10000
4K、QD1ランダムライト(IOPS) 37000 40000
4K、QD32ランダムリード(IOPS) 95000 97000
4K、QD32ランダムライト(IOPS) 37000 71000 88000
暗号化 AES 256ビット(FDE)、TCG/Opal V2.0、Encrypted Drive(IEEE1667)
アイドル時消費電力 0.033ワット(DIPMオン時)
動作時消費電力 0.103ワット
重量 最大10グラム
保証期間 3年間
※記事初出時、リード/ライド速度に一部誤りがありました。おわびして訂正いたします(2013年12月12日20時30分)

Samsung SSD 840 EVO(2.5インチ)の主なスペック
容量 120Gバイト 250Gバイト 500Gバイト 750Gバイト/1Tバイト
コントローラ Samsung MEX 400MHz/3コアARM Cortex-R4
NAND 19nm Samsung Toggle DDR 2.0(400Mbps)
キャッシュ LPDDR2 256Mバイト LPDDR2 512Mバイト LPDDR2 1Gバイト
シーケンシャルリード(Mバイト/秒) 540
シーケンシャルライト(Mバイト/秒) 410 520
4K、QD1ランダムリード(IOPS) 10000
4K、QD1ランダムライト(IOPS) 33000
4K、QD32ランダムリード(IOPS) 94000 97000 98000
4K、QD32ランダムライト(IOPS) 35000 66000 90000
セキュリティ AES 256ビット(FDE)、TCG/Opal V2.0、Encrypted Drive(IEEE1667)
アイドル時消費電力 0.045ワット(DIPMオン時)
動作時消費電力 0.1ワット
重量 最大53グラム
保証期間 3年間

 SSD 840 EVOシリーズの魅力は、普及価格帯のモデルながら、ハイエンドSSDに迫る高性能を実現していることにある。日常用途での快適さにフォーカスし、PCの一般的な用途(Webブラウズやオフィスアプリの実行)ではQD1〜QD4のランダムアクセスが大半であることから、QD1のランダムアクセスを重視してチューニングされているのも特徴だ。

 SSD 840 EVO mSATAをSSD 840 EVO(2.5インチ)のスペックと比べると、ライト性能を中心に若干性能が向上している。

TLC+TurboWrite Technologyで大容量低コストと高性能を両立

シールを剥がしてチップの構成を確認。コントローラ、NANDフラッシュが2枚、DRAMが1枚という構成はSSD 840 EVOと同じだ。NANDフラッシュの型番は「K9CHGY8S5M-CCK0」、DRAM型番は「K4P2G324ED」となっている

 SSD 840 EVO mSATAは、SSD 840 EVOと同様に19ナノメートルプロセスルール製造のTLC NAND(3ビットMLC NAND)を採用している。TLC(トリプルレベルセル)は、1つのメモリセルに3ビットのデータを記録できるため、メモリセルあたり1ビットのみ記録するSLC(シングルレベルセル)や、2ビットを記録するMLC(マルチレベルセル)よりも大容量化しやすく、製造コストを低くできる利点がある。

 一方、メモリセルあたり3ビットのデータを読み書きするためには、メモリセルにかける電圧を8段階に変えるデリケートな制御が必要となり、メモリセルの寿命が短く(書き換え可能回数が少ない)、書き込みに時間がかかるといった弱点もある。

 SSD 840 EVOでは、コントローラの最適化と予備領域を多く確保することでセル寿命の短さをカバーしている。TLCを初めて採用した「Samsung SSD 840」、その後継のSSD 840 EVOと、すでに2世代にわたって実績があり、コンシューマーの一般的な用途であれば、TLCであることについて特別神経質になる必要はないだろう。

 また、独自の高速化技術「TurboWrite Technology」により、書き込み速度を向上させている。TurboWrite Technologyは、データ領域とは別に確保したTLCのメモリセルをSLCシミュレート動作させることで高速な書き込みを可能にし、それをバッファとして使うことで書き込み性能を向上させる仕組みだ。

 このターボバッファ容量はSSDの記録容量によって異なり、120Gバイトモデルは3Gバイトとなる。詳細についてはSSD 840 EVOのレビューも参照していただきたい。

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