2013年春に登場した東芝の初代「dynabook KIRA」シリーズ。その中でも最上位機である「dynabook KIRA V832」をPC USER編集部から長期で借用する機会があり、カメラマンの視点から4回ほど記事を書かせていただいた。
僕は「モノ」へのこだわりはかなり強いほうだが、V832はそれを十分に満足させるスペックとボディを持っていた。特に、出荷時に発色を調整してある高精細な液晶ディスプレイは、カメラマンが仕事で使えるレベルだったと思う。それでも細かい部分では、不満なところもあった。
今回は再び、2013年秋冬モデルの「dynabook KIRA V634/28KS」を試用する機会を得たので、その試用リポートを書いてみたいと思う。
まず、今回のモデルで大きく変わったのが、WQHD(2560×1440ドット)の高精細な13.3型ワイド液晶ディスプレイだ。解像度と画面サイズは同じだが、タッチパネルを搭載しない構成が選べるようになった。このV634/28KSがまさにそれで、個人的な要望がやっと実現したわけだ。
僕はカメラマンとして、このPCでゲームをしようとか、お絵かきソフトを使おうとかいう気持ちはまったくない。主にロケで、撮影の現場で写真をチェックするために使いたいのだ。後は撮影場所で写真のバックアップを取りたいというプロ意識。デジタルフォトにかかせないPhotoshopも、せいぜい写真のゴミ取りぐらいにしか使わない。そうした用途では画面にタッチしなくても済む(タッチパネルが必要な方は上位機「V834/29KS」という選択肢もあるので、そちらで対応できる)。
この液晶ディスプレイは先代から前面のガラスを外したものだと思われる。ただそれだけのことなのに、写真の見え方は格段に違っている。僕は写真の修行時代に「レンズにプロテクトフィルターなんか絶対に付けるな」と教えられたが、まさに同じことが起こっていたようだ。
これがこの液晶パネル本来のポテンシャルなのかと感動すら覚える。色温度が6500K付近にきちんと調整されたパネルだし、この見え方ならば十分に仕事の現場で使える。
また、タッチパネルを捨てたV634/28KSには、うれしい副産物的な特徴が加わった。厚さが9.5〜19.8ミリだったのが、7.6〜17.9ミリへと薄くなり、重量も約1.35キロから約1.12キロへと230グラムも軽くなったのだ。ノートPCとしての重量バランスが格段によくなったことがありがたい。外出先で膝の上でも安定してタイピングできる。
もう1つの改良点は第4世代Coreプロセッサー(開発コード名:Haswell)を採用したことだ。先代は発売時期がちょうど端境期になってしまい、第3世代Coreプロセッサー(開発コード名:Ivy Bridge)を載せていた。前回試用したのは、東芝ダイレクトが取り扱うWebオリジナルモデルで、Core i7(Core i7-3537U)を装備するなど先進的なスペックだったが、今回はCore i5(Core i5-4200U)搭載の店頭モデルとなる。
とはいえ、実際に使っての不満はない。Photoshop Elementは約4秒ほどで起動する。高速のSSDと相まって、動きがとにかくキビキビとしている。おそらくバッテリーの駆動時間を延ばすための構成だと思うのだが、実際先代の約9.5時間から約14時間と飛躍的に延びている。
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