「SFから現実へ」 インテルが推進する“タッチの次”の技術──「RealSense」2014 International CES(1/2 ページ)

» 2014年01月07日 14時21分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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「タッチの次」のユーザーインタフェースとは

photo インテル シニアバイスプレジデント兼パーセプチュアルコンピューティング担当ジェネラルマネージャのムーリー・エデン氏

 普段から使い続けていると意外に気にはしていないものだが、われわれが普段触れているPCやスマートフォンのユーザーインタフェース(UI)は年々使いやすくなっている。とはいえそれは「コンピュータとの対話のための特殊な方法」であり、われわれ人間が普段行うコミュニケーション方法とは大きく異なるものである。

 「われわれ人間は相手と会話するために普段からタッチを駆使することはない。ゆえに、これがナチュラル(自然)なインタフェースとは思わない」(インテル シニアバイスプレジデント兼パーセプチュアルコンピューティング担当ジェネラルマネージャのムーリー・エデン氏)

 そんなインテルがナチュラルなUIの実現を目標に行ったのが「From Science Fiction to Reality(SFの世界から現実へ)」という題名の2014 International CESプレス発表会だ。


photophotophoto 今回のIntelのプレス発表会のタイトルは「From Science Fiction to Reality(SFの世界から現実へ)」。より自然なUIやセンシングに関する話題が中心だった(写真=左) 文字ベースのCUIからグラフィカルなGUI、そしてタッチインタフェースと進化してきたコンピュータのUIだが、まだまだ人間にとって自然なUIからほど遠いのが現状(写真=中央) 「Natural(自然)」で「Intuitive(直感的)」で「Immersive(のめり込む)」ような「NII」のユーザーインタフェースを実現するのが目的である(写真=右)

 CUIからGUI、そしてタッチと進化してきたコンピュータ操作のためのUIだが、これらはエデン氏が言うように「人間言語」からは遠い「コンピュータ言語」に過ぎない。かつて、宇宙旅行をアシスタントする未来(すでに過去だが)の人工知能や、人間のよき相棒になるしゃべる自動車、そして最近では天才エンジニア社長の発明や活躍を助けるコンピュータアシスタントなど、SFの世界ではさまざまなマンマシン・インタフェースが考案され、実際にそういった世界の実現を夢見た読者も多いと思う。インテルはそんなUIを「Natural(自然)」で「Intuitive(直感的)」で「Immersive(のめり込む)」の頭文字より「NII」と述べているが、こうした想像をより現実なものに近付けるのが今回発表した「RealSense」という技術だ。

photophotophoto インテルの3Dセンサーカメラ技術の正式名称は「RealSense」に(写真=左) RealSenseの活用例その1。エデン氏の頭を3Dスキャンし、好きな角度から眺めているところ(写真=中央) ぬいぐるみを持った人物をスキャンし、特定のオブジェクトの色や特殊効果を変更できるアプリケーションのデモ(写真=右) 個々のオブジェクトの位置を深度センサーで区別できているため、このように簡単に1つの画面内で施したい範囲のみ効果を施す処理も容易になる

 こちらは、マイクロソフトの「Kinect」のような3Dモーションセンサーを想像してもらえるとひとまず分かりやすいが、3Dセンシングのための専用ハードウェアを外付けで追加するのではなく、既存プラットフォームに組み込み可能な、小型で安価な専用モジュールを用意した点が最大のポイントだ。技術自体は過去2年ほどに渡って何度もデモストレーションされてきたものだが、今回これが「RealSense」という正式名称が付けられて登場した。モジュールは人差し指程度のサイズの基板で実現し、ノートPCやタブレットなど身近なIT機器のカメラ部やベゼルに収める形となる。示されたデモ機でも既存のノートPCのスタイルと大差なく、あとはコストだけの問題だろう。

photophotophoto 3Dセンサーと処理モジュールを組み合わせた小型の組み込みモジュールを開発し、ノートPCやタブレットのベゼルへと内蔵できるようにする。サイズ的には人差し指程度で、厚みも一般的な基板と同等だ
photophotophoto 組み込み用3Dセンサーモジュール(写真=左) ノートPCに実装した例。深度センサーが加わるためレンズの数が増えている(写真=中央) 3Dセンサーモジュールが組み込まれたディスプレイ部を横から見たところ。最近の最薄のUltrabookと比較すると若干盛り上がっているが、それでも数ミリの厚み増程度で気にならない程度。こういった程度の部分は製造工程の工夫やちょっとした技術の進歩で解決可能だろう(写真=右)
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