ビジネスユースをターゲットにした2in1だけでに、コンシューマ向けの製品とはひと味違う仕様が見られる。
前述したMILスペック(MIL-STD-810G)準拠の堅牢性がまず1つ。会社と自宅、外出先、電車内など様々な場所に持ち込まれるモバイル製品は、振動や衝撃がかかる機会も多い。だからといっていちいち気を遣っていては業務どころではないだけに、多少ラフに扱ってもビクともしないこの堅牢性は大歓迎だ。
端子類も有線LAN、DisplayPortを標準装備するなどビジネス向けに特化した内容になっている。コンシューマーでは有線LANは省かれがちだが、社内セキュリティ管理の関係で有線LANしか使えないという企業もあるだろう。また、ホテルなどの設備が有線LANのみという場合もままある。USBアダプタなどで追加できるとはいえ、紛失のリスクや管理の手間を考えると有線LANの標準装備はありがたい。
バッテリーが着脱できる構造もビジネスユースでは外せない要素だろう。コンシューマ向けUltrabookやタブレットのようにバッテリーを交換することができないとバッテリーの劣化や故障に独立して対応できない。バッテリーが故障したら実質終わりだ。修理や交換をしてもらうにしてもその間本体を使うことができず、業務の進捗に大きなロスが生じてしまう。
また、タッチ操作だけでなく、電磁誘導式のデジタイザを内蔵しており、ペンによる細かい操作、描画に対応しているのも見逃せない。ちょっとしたラフスケッチなどを作成して共有する際にペンが使えるとはかどる。Microsoft Officeのインク機能などを使って資料を加工する際にも便利。ペンによる書き味も適度な抵抗感があって良好だ。
今回入手した評価機は、海外仕様のため国内販売モデルとは一部スペックが異なり、CPUにCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)を搭載している。そのためベンチマークテストの結果は参考にしかならないが、全般にCore i5-4200U搭載機としては良いスコアをマークしている。
国内販売モデルのCPUはCore i3-4010Uとなるが、少なくともボディの熱設計がブレーキになってCore i3-4010Uのポテンシャルが発揮できないということはなさそうである。CrystalDiskMark 3.0.3のスコアからもSSDの性能が良いことも分かり、オフィスアプリもサクサクと動作する。国内販売モデルもこれに近いパフォーマンスを期待していいだろう。 bbench 1.01で計測したバッテリー駆動時間は8時間44分(残り5%で休止状態に入るまで)と公称値(約10時間)に近い優秀な結果だった。
静音性、発熱の処理も優秀だ。低負荷時はほぼ無音、高負荷時もあまり大きくならない。排気口がある左側面が中心に発熱するが、手が触れるパームレストまではほとんど伝わってこない。
企画書やプレゼンテーション資料の作成、データ整理などの事務作業を行うならば使いやすいキーボードが使えるクラムシェル型のノートPCスタイルが適している。一方、外出先や電車内などクラムシェル型ノートPCを開いて使うほどのスペースや時間的な余裕がない場合でも、タブレットならば、気軽にサッと取り出して操作することができる。画面の前にキーボードなどがないタブレットスタイルは他人に見せる用途にもぴったりだ。
回転ヒンジによる変形機構をもち、クラムシェル型ノートPCとしてもタブレットとしても使えるHP EliteBook Revolve 810 G2は、そのどちらも満たしている。1台で幅広いシーンに適応し、幅広く活用できることが大きな魅力だ。
直販サイトでの価格は13万円から。クラムシェル型ノートPC、タブレット、どちらのスタイルでも使い勝手は洗練されていて、完成度には文句がない。堅牢性、バッテリーメンテナンス性、接続性など、ビジネス向けに欠かせない要素もしっかり押さえている。ビジネスにタブレットや2in1の導入を考えているならば、選択肢の筆頭に上がる製品ではないだろうか。
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