小さなPCメーカーだから“とがった”VAIOになる──新生「VAIO」設立説明会:キーワードは「本質+α」(1/2 ページ)

» 2014年07月01日 19時49分 公開
[長浜和也,ITmedia]

PCはなくならないという強い信念

VAIO代表取締役 執行役員社長の関取高行氏

 7月1日、ソニーから日本産業パートナーズへのPC事業譲渡が完了し、VAIO株式会社(以下、VAIO)が事業を開始した。本社はソニー時代からVAIO事業の拠点だった長野県安曇野市に設ける。個人向け事業のみならず、法人向け事業も強化するとしている。(記事掲載当初日本産業パートナーズの名称に誤りがありました。おわびして訂正いたします)

 従業員数は約240名。資本金、および、資本準備金は10億円。出資比率は日本電産パートナーズが95%、ソニーが5%となる。代表取締役執行役員社長には関取高行氏が就任する。

 製品ラインアップは、VAIO Proシリーズの11.6型ディスプレイ搭載モデルと13.3型ディスプレイ搭載モデル、そして、VAIO Fitシリーズの15.5型ディスプレイモデルを8月から投入する。従来のソニー時代に扱ってきたモデルから機能を一部変更している。

 VAIOでは、事業開始当初は日本を中心に2シリーズ3モデルでビジネスを軌道に乗せる計画だ。また、それと並行して、新製品を積極的に開発するとしている。販売パートナーとしては、ソニーマーケティングと販売総代理店契約を結んだ。

 VAIOは企業方針として「本質の追求」「制約に縛られないこと」「VAIO DNAの継承」を掲げ、機動力のある組織の利点を生かし、ソニーから継承する事業の経営資源を最適化することで、VAIOブランドの向上を目指すと述べている。

 7月1日にVAIOは設立説明会を行い、関取氏はVAIOについて「どのような会社にしていきたいのか」「VAIOという商品をどんな見識を持ってユーザーに届けていくのか」について紹介した。

 関取氏は、VAIOのコンセプトを「PCの本質の追求」と表現した。「本質とはものごとの本来の性質や姿」と大辞林から意味を引用したうえで、VAIOは、PCの本質に正面から向き合い、それを追求することが使命だと述べた。

 続けて関取氏は、PCの本質を追求することの重要性に言及した。いままでPCでやってきたWebページの閲覧やメールのような“ちょっとした”コミュニケーションは、いまではタブレットやスマートフォンで行うようになってきたが、生産性を向上したり何かを生み出すために行う作業はPCの領域と関取氏は主張する。

 関取氏は、「PCはなくならないという強い信念を持っている」と述べ、PCは成熟市場に入っているものの、PCは道具としての進化を問われはじめており、そこで求められるのは道具としての本質的性能だという考えを示した上で、「VAIOは、ユーザーが求めるPCの本質をもう一度真剣に見極めて突き詰めていきたい。PCの本質を追求する製品開発を行うことで、VAIOはユーザーに付加価値を生み出す製品となる」と説明している。そして、VAIOのフィロソフィーとして「本質+α」という言葉を掲げた。

新生VAIOのフィロソフィーとして掲げた「本質+α」(写真=左)と、その具体的な行動指針(写真=右)

 本質+αの具体的内容として、「本質を追求する」「制約に縛られない」「VAIOのDNAを継承する」という3項目を並べている。本質の追求では、本当に必要な性能と機能を持った製品を作るとし、制約に縛られないことで、しがらみや思い込み、PCの固定観念に左右されないようにし、VAIOのDNAの継承では、「人の気持ちに突き刺さる一点突破の発想」「VAIOならではの審美眼に根ざしたものづくり」を大切にしたいと説明している。

 VAIOの組織については、「本質を追求する組織」とするために、動きが早くて変化に強い組織であることを重視している。関取氏は、全社員が参加したワークショップにおいて、「今やらないことを決めて、やることだけに集中して、そこに磨きをかけていく」という行動論を徹底していくと述べたという。「ソニー時代は1000人以上が携わっていた大きな組織から240人という小さな組織になったことで、今までやってきたしがらみと思いこみから解放されて、選択と集中ができる」(関取氏)

 「この規模なら社員一人一人がコミュニケーションができ、その思いを形にできる」と述べる関取氏は、建設的に意見を戦わせることで物事の本質が見えてきて、その本質からとがった“+α”が見えてきて、そこから本当のVAIOを形にしていけると語っている。

 VAIOにおける設計製造では、全員が一体となったモノづくりを行っていく。通常、設計部門と製造部門、カスタマーサポート部門のそれぞれが製品開発の各段階で関係するステップだけに携わるが、VAIOでは、商品企画の段階からすべての部門が参加する。全メンバーが参加することで、高度なモノづくりのすり合わせが可能になり、さらに磨きがかかると関取氏は説明している。さらに、製品の最終仕上げや品質チェックはODMモデルを含めたすべての製品で行うことで、「安曇野FINISH」と名付ける高い品質を実現する。

1000人規模の組織から240人の組織になったからこそ、PCの本質を突き詰めることができると関取氏は主張する(写真=左)。商品企画段階から全メンバーが参加できる体制も小さな組織になったから可能になるという。「安曇野FINISH」も新生VAIOの品質を訴求するキーワードとして訴求する(写真=右)

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