数回に分けてお届けする「PC USERアワード」では、ITmedia PC USER編集部がジャンル別におすすめ製品を格付しながら紹介していく。第2回のテーマは「マザーボード」と「グラフィックスカード」だ。対象となる製品は、2014年上半期(1月〜6月)に登場した新モデルを中心として、同期間に販売中の現行モデルも含めている。
2014年上半期のおすすめ「マザーボード」――ITmedia PC USER編集部が選ぶ | |
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● GOLD | Q1900-ITX(ASRock/マスタードシード) |
● SILVER | Z97I GAMING AC(MSI/アスク) |
● BRONZE | B85-PRO GAMER(ASUSTeK Computer) |
2014年上半期のおすすめ「グラフィックスカード」――ITmedia PC USER編集部が選ぶ | |
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● GOLD | R9 280X GAMING 6G(MSI/アスク) |
● SILVER | R9 290X LIGHTNING(MSI/アスク) |
● BRONZE | POSEIDON PLATINUM(ASUSTeK Computer) |
Q1900-ITXは、Mini-ITXフォームファクタ準拠のマザーボードにCPUとしてインテルのSoC「Celeron J1900」を搭載したモデルだ。2014年上半期で盛り上がった小型デスクトップPC構成パーツの中でも、“鉄板モデル”として高く評価されていた。
Celeron J1900もMini-ITXフォームファクタ向けCPUの定番として選択するユーザーは多く、Q1900-ITXのようにSoCを事前に組み込んだモデルでも採用例が多い。その数ある「Mini-ITXマザーボード&Celeron J1900」の組み合わせでQ1900-ITXが高く評価された理由は拡張性だった。
拡張用インタフェースとしては、PCI Express x1スロットと2基のSerial ATA 3Gbpsに加え、ハーフサイズのmini PCI Expressスロットと、ASMedia製コントローラで制御する2基のSerial ATA 6Gbpsも利用できる。そして、映像出力インタフェースもHDMIとDVI-I、アナログRGBを用意する。
Mini-ITXという制約の多いフォームファクタに対応したマザーボードながら、Serial ATA 6Gbpsなどの拡張性を確保し、Mini-ITXとCeleron J1900の組み合わせによる「Bay Trail」マザーボードの盛り上がりに大きく貢献して、ユーザーのみならずPCパーツショップスタッフからも“鉄板モデル”として評価されたことから、今回ゴールドを受賞した。
2014年5月に登場したインテルの新世代チップセット「Intel Z97 Express」を搭載した2014年上半期最新のマザーボードでも、Mini-ITXフォームファクタ準拠モデルに対する自作ユーザーの需要は高かった。Intel Z97 Express搭載のMini-ITXフォームファクタマザーボードで特に目立っていたのが「ゲーミング」ラインアップとして高機能モデルが登場したことだ。
ASUSやGIGABYTEなどもゲーミングシリーズでMini-ITXモデルを発表しているが、PCパーツショップでは、早い段階で店頭に並んだMSIの「Z97I GAMING AC」を支持する声が多かった。その理由は、省スペースPCに対する需要の高まりのほかに、実売価格が2万円台半ばと購入しやすい価格帯ながら、実売価格5万台のATXフォームファクタ準拠モデルに相当する高品質部材を導入しているなど、コストパフォーマンスに優れている点だ。
Mini-ITXモデルながら、PCI Express x16対応スロットを備えるほか、USB 3.0を6基(バックパネルに4基)、Serial ATA 6Gbpsを4基、eSATAを2基、映像出力インタフェースとしてHDMIを2基とDisplayPortと拡張性を確保しているほか、無線LAN用アンテナが付属して、IEEE802.11a/b/g/n、そして、acが利用できる。
また、USBオーディオ専用の電源を用意することで、USBヘッドフォンやUSB DACに対して安定て電力を供給して音質の向上を目指したほか、Creative Sound Blaster Cinema 2を実装やアナログ信号を扱う領域とデジタル信号を扱う領域を分離してノイズの軽減を図り、高品質オーディオコンデンサや金メッキを施したオーディオコネクタなど、サウンド関連機能も強化している。
2013年から2014年上半期にかけて、自作PCでは「ゲーミング」というキーワードを訴求するベンダーが増えている。以前からも高付加価値を取り入れたハイエンドラインアップは、1製品当たりの利益が大きいことからも重要な位置づけとなっていた。
この流れを大きく変えた(変えてしまった?)のが、ASUSTeKが2014年4月に出荷した「B85-PRO GAMER」だ。ASUSTeKのゲーミングマザーボードといえば、ハイエンドラインアップの「R.O.G.シリーズ」で、いずれのモデルも多彩なオーバークロック機能や安定動作のための高品質部材を導入している。そのため、実売価格も2〜5万円台に設定していた。
しかし、「B85-PRO GAMER」の実売価格は出荷開始当初でも1万円台半ばと、ゲーミングマザーボードとしては低価格で登場した。Intel B85 Expressチップセット搭載ゆえにマルチGPU環境に対応しないなど、従来ならビジネス用低価格モデル向けモデルでのみ採用しているが、安定した電力供給を行なえるデジタル電源回路「DIGI+ VRM」を採用したほか、高SN比を実現するオーディオ機能「SupremeFX」を搭載。300オーム対応のヘッドフォンアンプも備えるなど、ゲームユーザーが重視するサウンド関連機能を含めて強化した。
B85-PRO GAMERは、単体でも多くのユーザーが購入しているが、それとともに、ショップブランドのゲーミングPCやゲームタイトル推奨モデルなどで採用して、これまでより低価格のモデルの実現にも貢献していることも評価して、ブロンズの受賞となった。
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