日本AMDは、9月27日にRadeonグラフィックスをアピールするイベント「AMDグラフィックスイベント in Tokyo」を行った。イベントでは日本AMDの技術スタッフやカナダのAMDスタッフによるRadeonグラフィックスに関する最新技術の解説を行っている。
AMDが投入した最新世代のGPUといえば、“Tonga”世代を導入した「Radeon R9 285」だ。カナダからこのイベントのために来日したAMD本社のデスクトップ製品プロダクトマネージャーのデヴォン・ネケチャック氏は、PCゲーミングユーザーがRadeon R9 285搭載グラフィックスカードを購入すべき理由を12項目に分けて紹介している。
PCゲームでは、今後もビックタイトルが登場する予定だ。シド・メイヤー氏デザインのCIVILIZATIONシリーズの最新作「BEYOND EARTH」や、名作「Wing Comamnder」を手がけたクリス・ロバーツ氏のPCゲームデザイン復活となる「STAR CITIZEN」などが、AMDのMANTLE APIに最適化したビジュアルエフェクトを堪能できるという。
Radeon R9 285を搭載したグラフィックスカードの北米実売価格は249ドルと、Radeon R9 280XとRadeon R7 270Xの中間に位置する。それでいて、Radeon R9 280Xに迫る性能を発揮するとネケチャック氏は訴える。
同じ実売価格帯の「GeForce GTX 760」と比べてベンチマークテスト「3DMark」のスコアが26%上回るほか、「BATTLEFIELD 4」(解像度2560×1440ピクセル設定)で15%、「CRYSIS 3」(解像度2560×1440ピクセル設定)で13%、「BIOSHOCK INFINITE」(解像度2560×1440ピクセル設定)で15%、それぞれ向上する。
FREESYNCは、映像を出力するディスプレイごとに最適化した垂直同期クロックに自動で調整できる機能だ。2014年の年末までに提供する予定になっている。ディスプレイ側の垂直同期クロックとゲーム側で設定したフレームレート設定が一致していない場合、GPU側でディスプレイの垂直同期クロックにあわせたフレームレートに調整して描画をスムーズにする。「EYEFINITY」はAMDのマルチディスプレイ環境で、超高解像度のゲームプレイを可能にしてユーザーの“没入感”が向上する。
GPUでDSP処理を行う「TRUEAUDIO」にも対応した。イベントでは、TRUEAUDIOの概要についても解説があり、ゲームにおいて、効果音や環境反響音など、膨大な演算になるサウンド処理を従来のCPUからGPUに実装したDSPに移行することで、これまでCPUで行っていた物理演算処理やAI処理などにより多くのパワーを振り向けることができるようになると、その効果をアピールしている。
Radeon R9 285に実装したUVDとVCEでは、3840×2160ピクセルで60フレームレートのH.264において、デコード(UVD)もエンコード(VCE)も対応するほか、ストリーミングゲームもリアルタイムで実行できる。さらに、2014年の年末に登場するという“5K”にも対応するとネケチャック氏は語っている。さらに、Microsoftが開発を進めていて2015年に登場する予定の「DirectX 12」にも対応する。
AMD POWERTUNE TECHNOLOGYは、ユーザーが設定した消費電力や温度の枠内でGPUの動作クロックを自動で変更する技術で、その導入は2010年と早くから提供している。消費電力や最高温度を初期設定のTDPから高めに設定すると、動作クロックも定格から高めに調整するので、自動オーバークロックとしても利用可能だ。
また、Radeon R9 285を搭載したグラフィックスカードとして、パーツベンダー各社は独自開発のクーラーユニットや短尺の基板を採用した製品を投入しており、オーバークロックモデルや静音ファン搭載タイプなど、ユーザーに幅広い選択肢を用意している。
AMD GAMING EVOLVED CLIENTをサポートすることで、ユーザーのハードウェア構成にあわせた最適のゲーム設定を自動で行えるほか、そのゲーム設定をほかのユーザーと共有することができる。
Radeon R9 285では、GCN(Graphics Core Next)が第3世代に進化した。最新のGCNでは、テッセレーション演算処理を改善したほか、カラー圧縮も改善してグラフィックスメモリの転送効率が向上。消費電力あたりの性能とコストパフォーマンスが向上している。
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