より薄く、優美に――林信行が「iPad Air 2」の魅力に迫る世界で最も“悩ましいタブレット”に進化(4/5 ページ)

» 2014年10月22日 10時01分 公開
[林信行(写真:篠原孝志、撮影協力:平河町ライブラリー),ITmedia]

iPhone 6 Plus vs. 新型iPad

 iPadは、自分がやりたいと思ったことをパソコンよりもずっとシンプルな方法でかなえてくれるデバイスだ。

 例えば、出先のカフェでちょっと株価動向などが気になったときも、いちいちノートパソコンを取り出してきて、サスペンドから起きるまでしばらく待って、モバイルWi-Fiルーターの電源を入れ、無線LANへの接続を確認してから、Webページを表示する、なんていう手順をふまずに、iPadをカバンからさっと取り出して、一瞬でロックを解除して、見たい情報を見て、さっとまたカバンに戻せてしまう。

アップルの最新iOSデバイスを櫻井彩子さんに持ってもらった。持っている左手の大きさと比較してもらうとだいたいの大きさが分かってもらえると思う。写真はiPad Air 2

写真はiPad mini 3

写真はiPhone 6 Plus

写真はiPhone 6

 同じことはiPhoneでもできるが、一体どこが違うのか?

 iPhone 6 PlusとiPad miniが、それなりにサイズが近づいてきたこともあり、iPad miniの存在は危ないんじゃないか、という声も聞こえてきた(筆者も少しだけそう思っていた)。

 しかし、しばらく使い込んでみると、あの「画面の大きいiPhone」であるiPhone 6 Plusと、「画面の小さいiPad」であるiPad mini 3の間に明確な区分けがあることに気がついた。それは雑誌や漫画などのコンテンツを拡大せずにそのまま読めるか、ついつい拡大表示してしまうかの違いだ。

 確かにiPhone 6 Plusでも漫画や雑誌を読むことができる。そして高解像度のRetina Displayならば、おそらく写真のディテールや文字の形状もしっかり画面に表示されているはずだ。しかし、画面のサイズが小さいと、それほど目が悪くない人でも、目に近づけて凝視して読むようになる。これでは長時間読むのには辛い。

 今回、この記事のために漫画家のヤマザキマリさんと講談社から特別に許可をいただき現在、講談社の雑誌「ハツキス」で連載中の漫画「スティーブ・ジョブズ」(原作:ウォルター・アイザックソン/画:ヤマザキマリ)の単行本1巻の同じページを開いてみた。

 実はiPad mini 3は単行本にかなり近いサイズで、iPad Air 2は横向きで見開き表示をした状態で単行本とほぼ同じサイズ。一方、「大きい」と思っていたiPhone 6 Plusでは、漫画や雑誌の縦横比4:3に近い紙面サイズが、せっかくのiPhone 6 Plusのワイドスクリーンをもてあましてしまい、何も調整しない標準サイズだと単行本の1/4くらいのサイズになってしまう。これでも目がよければ読めないことはないが、疲れてくるとついつい拡大してしまう。

iPhoneとiPadを分け隔てるのは何か。あの「テルマエ・ロマエ」で有名な漫画家のヤマザキマリさんが、講談社の雑誌「ハツキス」でウォルター・アイザックソンによる評伝「スティーブ・ジョブズ」のコミカライゼーション(漫画化)の連載をしている。文字だけでは伝わらないジョブズが生きた時代のIT業界をかなり細部までリアルに描いた世界に誇れる傑作漫画だと思っているが、ヤマザキさんの許可をいただいて、単行本1巻の一部を使ってiPhoneとiPadの大きさを比較してみた。中央にあるのが単行本の紙のページだ(上にちょっとだけ見えているのが連載中の雑誌のページ)。その左に並べられたiPhone 6とiPhone 6 Plusは画面が大きくなったとはいえ、単行本の4分の1程度のサイズで表示され、読む際についつい拡大をしてしまう。これがiPadならminiでも単行本とほぼ同じサイズで拡大なしで楽しめる。さらにiPad Air 2であれば、なんと横向きにして見開きで楽しんでも、ほぼ単行本と同じ縮尺になる。ちなみに電子版の「スティーブ・ジョブズ」はアップルのiBook Storeから購入できる。(c)ヤマザキマリ

 画面が大きいということは、それだけ多くの情報をストレスなく見渡せるということ。経済系の番組への出演も多い櫻井彩子さんに、彼女がよく使っている経済指標などの確認サイトをみてもらったところ、iPhone 6 Plusは、これまでのiPhoneと比べてやはりかなり見やすくなっているようだが、iPad Air 2ほどの大きさがあるとより多くの情報が見渡せて快適だという。

 画面が大きいと快適なのは、写真の閲覧や映画の視聴、Webブラウジングも同じだ。

iPadの大きさなら普段使いのバッグのちょっとした隙間に押し込める

ただし、写真の大きさのバッグにiPad Air 2を入れる場合は、横向きでしか入らない

一方、iPad mini 3なら縦向きでも差し込める。これは小ささはminiシリーズの大きな魅力だろう

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