では各種ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回入手したS38/23Mの基本スペックをおさらいすると、Atom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz/キャッシュ2Mバイト)、2Gバイト(DDR3L-1333)メモリ、32GバイトeMMC、32ビット版Windows 8.1 with Bing 32ビットを搭載する。
今回は参考までに、Atom(開発コード名:Bay Trail-T)ベースのWindowsタブレットとして、同CPUを採用した10.1型モデルのS50/36MおよびAtom Z3740(1.33GHz/最大1.86GHz)を搭載した前モデルのVT484/23Kとテスト結果を比較した。
まずはPCとしての基本性能をチェックするため、Windows 8.1では標準機能から省かれているWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアを「WIN SCORE SHARE」(コードリウム)で計測してみた。結果はプロセッサが5.9、メモリが5.5、グラフィックスが4.1、ゲーム用グラフィックスが4.1、プライマリディスクが7.0というエントリーのAtom Z3735F搭載機としては良好なパフォーマンスだ。
CPUとメモリの仕様が同じ10.1型モデルのS50/36Mに比べて、ストレージで0.1低い値だが、ほぼ同じ性能と言える(S50/36Mは64GバイトeMMC搭載)。VT484/23Kとの比較では、Atom Z3740を搭載しているぶん、プロセッサで6.3と0.4リードされるが、総合評価の4.1は同じだ。eMMCはサムスン製「MCG8GC」から東芝製「032GE4」に変更されているが、ストレージのスコアは変わらなかった。
CPU性能をチェックするCINEBENCHもWIN SCORE SHAREと似た傾向だ。この3機種間で気になるほどの体感差はなかった。
ストレージ性能を評価するCrystalDiskMarkでは、シーケンシャルリードとランダムリードにおいて、S50/36MやVT484/23Kより約5割ほどよい結果が出た。また、シーケンシャルライトとランダムライトもVT484/23Kに比べて約5割の性能向上が見られる。WIN SCORE SHAREのスコアは同じだったため、少々意外な結果だが、高速なぶんには不満がない。
PCの総合的な性能を計測するPCMark 7のテスト結果では、総合スコアが2312とBay Trail-T世代では高評価だった。比較したVT484/23Kは、総合スコアが2160と若干差が出ており、詳細を確認すると、各種ストレージ系のスコアがS38/23Mのほうが優れていた。CrystalDiskMarkとテスト結果と同様の傾向だ。
3Dグラフィックス性能テストの3DMarkでは、DirectX 9ないしOpenGL ES 2.0で動作する相対的に軽いテストのIce Stormでも少し苦戦をした。Direct X10相当テストのCloud Gateでは動作が厳しい。FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(FF14ベンチ)のスコアでも、最近の3Dゲームを満足にプレイできるほどの描画性能はないという結果だ。CPU内蔵グラフィックス(Intel HD Graphics)から予想される通りのスコアと言える。
8型ワイド液晶ディスプレイは、アスペクト比16:10/1280×800ピクセル表示で画素密度が約188ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)だ。iPadやAndroidタブレットに比べて高精細化が遅れている8型クラスのWindowsタブレットでは、標準的なスペックとなっている。広視野角パネルを採用し、斜め方向からの視認性はよい。
ハードウェア情報の調査ツール(HWiNFO32)では、内蔵の液晶ディスプレイがChi Mei「Unknown Model:CMN0802」と表示された。製造月は2013年36週(2013年9月)で、少々前に製造されたもののようだ。細かいところだが、汎用的な部材を安く入手することで本体価格を抑えた企業努力が垣間見える。
小型タブレットは主にモバイル用途で使われるため、屋外での視認性が気になるユーザーも少なくないだろう。そこで今回は照度計(Zhangzhou WeiHua Electronics製LX-1010B)を使って、液晶ディスプレイの明るさを計測してみた。液晶ディスプレイの輝度を100%に固定し、全画面に白を表示したまま、中央部で計測している。
結果はS38/23Mが379ルクス、前モデルのVT484/23Kが466ルクス、10.1型モデルのS50/26Mが336ルクス、さらに参考までに追加で測定した同画面サイズの「Miix 2 8」(レノボ・ジャパン)が515ルクスであり、やや暗めの結果が出た(液晶ディスプレイの輝度で使われるカンデラ/平方メートルではない点に注意)。VT484/23Kより2割ほど低い値となっており、屋内では必要十分な明るさだが、明るい屋外での視認性は高くない。
Webブラウズとテキスト入力を想定したバッテリー駆動時間テスト(BBench 1.01)を実行したところ、輝度40%の状態において、満充電から残り5%で休止状態に移行するまで4時間41分動作した。測定条件が異なる公称値の6.5時間に比べるとやや短い。
参考までに、CPUID HWMonitorでバッテリー容量を確認したところ、容量はDesigned Capacityが15.01ワットアワー、Full Charge Capacityが14.554ワットアワーだった。前モデルのVT484/23KはDesigned Capacityが19.5ワットアワー、Full Charge Capacityが18.439ワットアワーだったので、バッテリー容量が減っていることが分かる。ここは薄型化と軽量化のトレードオフになる部分だ。
ほかのBay Trail-T搭載タブレットと同様、S38/23Mはファンレス設計なので、動作時の騒音は発生しない。ボディの発熱については、高負荷時に背面の右下部から右中央部が温まりやすく、横位置でタブレットを左手に持ちながら高負荷の作業をするとかなり熱を感じる。
室温23.6度の環境で放射温度計(シンワ製)を使って、FF14ベンチを2回連続して回した後に簡易測定したところ、最高は43.4度(横位置で背面右下部)だった。ほかの部分は、26.6度(背面左下部)、24.9度(背面左上部)、26.8度(背面右上部)、24.8度(背面中央上部)、26.0度(背面中央部)、28.0度(背面中央下部)という計測値だ。
連続してベンチマークテストを行うような利用シーンは少ないだろうが、高負荷が続くと部分的にかなり熱くなる点は覚えておきたい。
CPUID HWMonitorで内蔵パーツの温度もチェックした。最高温度はメインボード部分で66度、CPUで89度だ。仕様上のTjMax(CPUコアのシャットダウン限界温度)が90度なので、この高温は気になるところだ。
※Windows 8の電源プランは「バランス」で測定
※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%になるまでの時間を計測
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