「dynabook Tab S38/23M」徹底検証――東芝の“第2世代”8型Windowsタブレットはどう進化したか?前モデルの弱点を克服(1/3 ページ)

» 2014年11月12日 19時30分 公開
[フォレスト・ヒーロー,ITmedia]
ココが「○」
・前モデルより薄型軽量化
・Office付きで手頃な価格
・サポート面の充実
ココが「×」
・Micro HDMI出力を廃止
・バッテリー駆動時間が短め
・高負荷時の発熱が少し高め

8型Windowsタブレットに注力する東芝の第2世代モデル

 国内メーカーでは早くから小型Windowsタブレットに取り組んできた東芝。この「dynabook Tab S38」シリーズは、2013年11月に発売された「dynabook Tab VT484」に続く、同社としては第2世代の8型Windowsタブレットだ。シリーズ名の変更に伴い、ボディを薄型軽量化し、OSやCPU、カメラなどの仕様を変更した。2014年夏モデルとして登場した製品で、この秋冬商戦も継続販売される。

 製品ラインアップは内蔵フラッシュストレージ容量の違いで2モデルを用意。上位機の「S38/26M」は64Gバイトモデル、下位機の「S38/23M」は32Gバイトモデルだ。いずれもOSは“0円Windows”こと32ビット版Windows 8.1 with Bing、オフィススイートはOffice Home and Business 2013を搭載する(Office Premiumではない)。

 フルのWindowsが使えてOfficeも付いた小型タブレット、しかもdynabookブランドで求めやすい価格に配慮している点にも注目したい。

32ビット版のWindows 8.1 with Bingを採用した8型タブレット「dynabook Tab S38」シリーズ。店頭モデルのほか、Web直販では3年保証のモデルも用意されている(詳しくは後述)
dynabook Tab S38店頭モデルのラインアップ
モデル名 S38/26M S38/23M
OS 32ビット版Windows 8.1 with Bing
液晶ディスプレイ 8型ワイド(1280×800)
CPU Atom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz、4コア/4スレッド)
メモリ 2Gバイト(DDR3L-1333、交換不可)
ストレージ 64GバイトeMMC 32GバイトeMMC
GPU CPU統合(HD Graphics)
オフィススイート Office Home and Business 2013
バッテリー駆動時間(JEITA 2.0) 約7.5時間
本体重量 約385グラム
実売価格(税別) 4万円台後半 3万円台前半

薄型軽量化したボディ、ボタンや端子の配置も変更

 今回レビューするのは、ストレージ容量が32Gバイトとなる下位モデルのS38/23Mだ。CPUは4コア/4スレッド対応のAtom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz/キャッシュ2Mバイト)を採用し、Intel HD Graphics(CPU内蔵)、2Gバイト(DDR3L-1333)メモリ、1280×800ピクセル表示の8型ワイド液晶ディスプレイを搭載した。発売から時間がたち、量販店での実売価格(税別)は3万円台前半まで下がってきている。

 前モデルのVT484/23Kと比較して、CPUがAtom Z3470(1.33GHz/最大1.86GHz)から変更になっており、バースト周波数やSDP(Scenario Design Power:利用シナリオに即した電力設計)、メモリサポートに若干の違いはあるものの、コア数や2次キャッシュ、動作周波数は変わらない。使用感もほぼんど同レベルだ。

インテルが公開しているAtom Z3735FとAtom Z3740の主な仕様
製品名 Atom Z3735F Atom Z3740
コア数/スレッド数 4/4
2次キャッシュ 2Mバイト
動作周波数 1.33GHz
バースト周波数 1.83GHz 1.86GHz
SDP(Scenario Design Power) 2.2ワット 2ワット
最大メモリ容量 2Gバイト 4Gバイト
対応メモリ規格 DDR3L-RS 1333 LPDDR3-1066
メモリチャンネル数 シングル デュアル
最大メモリ帯域幅 10.6Gバイト/秒 17.1Gバイト/秒
内蔵グラフィックス Intel HD Graphics
グラフィックス動作周波数 313MHz 311MHz
グラフィックスバースト周波数 646MHz 667MHz
最大画面解像度 1920×1200ピクセル 2560×1600ピクセル
※CPU自体の比較であり、実際の搭載製品が同じ仕様とは限らない

 ボディカラーは「サテンゴールド」のみの1色展開。シルバーに近い落ち着いたゴールドなので派手な印象はなく、使う人を選ばない印象だ。背面に凹凸はなく、どちらかと言えばツルツルしている感があるが、指紋がつきにくい処理がされていて持ちやすい。前モデルのVT484/23Kでブラックだった液晶ディスプレイ周囲のフレームも背面と同じサテンゴールドで彩られているのがユニークだ。

 こうした外観のイメージは、同時発表の10.1型Windows 8.1タブレット「dynabook Tab S50」シリーズと共通化されている。

ボディカラーは「サテンゴールド」を採用。液晶ディスプレイの周囲までゴールドという配色が目を引く(写真=左)。Windowsボタンを前面ではなく、側面に配置したシンプルなデザインだ。右上に約120万画素のカメラを内蔵する。背面は左上に約500万画素のカメラを内蔵(写真=右)。左下に「TOSHIBA」ロゴ、右下にモデル名やVCCIなど各種エージェンシーラベルを配置する。さらに右端の上下にステレオスピーカーの左右を備えている

 本体サイズは縦位置の状態で約132(幅)×210.7(高さ)×9.5(奥行き)ミリ、重量は約385グラム。前モデルのVT484/23Kと比較して、約1.2ミリ薄くなり、約60グラムも軽くなった。

 実際に持ち比べてみると、軽くなったことが瞬時に分かる。軽量化とともに薄型化も実現したことで、グリップ感も向上しており、これが軽いという印象につながっているようだ。8型Windowsタブレットとしては最軽量クラスではないが、競合機種よりやや重いという感覚は完全になくなり、満足度は高まった。片手で持ってのWebブラウズや、両手で持ってソフトウェアキーボードを快適に打てるサイズ感が心地よい。

横幅132ミリ、厚さ9.5ミリ、重さ約385グラムのボディは、片手で無理なく持って操作できる(写真=左)。横位置でソフトウェアキーボードを打つ場合、このように指で挟んで持つようにすると中央部のキーも入力しやすい(写真=右)

 通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LAN、Bluetooth 4.0、センサー類は加速度、ジャイロ、デジタルコンパス、GPSを内蔵。約500万画素のメインカメラ、約120万画素のインカメラ、microSDXCカードスロット(最大128Gバイト)、Micro USB 2.0、ヘッドフォン/ヘッドセット共用端子、ステレオスピーカー(Dolby Digital Plus対応)、モノラルマイクも備えている。

 本体装備のインタフェース類については、前モデルのVT484/23Kで大きな特徴だったMicro HDMI出力が省かれている点は注意が必要だ。また、カメラは200万画素のインカメラ/800万画素のメインカメラから、それぞれ120万画素/500万画素にスペックダウンした。

 その一方で、背面のステレオスピーカーは横位置で左右に並ぶようレイアウトを変更。さらにmicroSDXCカードスロット、Windowsボタンといった今まで別々に配置していたボタンやインタフェース群を右側面と上部にまとめ、静電容量式のタッチパネルを5点マルチタッチから10点マルチタッチに対応させるといった工夫もした。

 公称のバッテリー駆動時間は約7.5時間(JEITA 2.0)、充電時間は約6.0時間(電源オフ時)だ。充電はMicro USB 2.0端子で行う。付属のACアダプタは実測でのサイズが27(幅)×43(奥行き)×43(高さ)ミリ、重量が本体のみで45グラム、USBケーブル込みで76グラムだ。プラグは畳めないが、小型軽量で持ち運びやすい。

縦位置での上面は、左から順にヘッドフォン/ヘッドセット共用端子、Windowsボタン、Micro USB 2.0が並ぶ(写真=左)。前モデルのVT484/23Kは、画面の下にWindowsボタンがあったが、上面に移動している。下面には右側にストラップホールを用意している(写真=右)
縦位置で持つ際、左手で覆われる左側面にインタフェース類はない(写真=左)。右側面には内蔵マイク、microSDXCメモリーカードスロット、音量ボタン、電源ボタンが並ぶ(写真=右)
内蔵ステレオスピーカーは横位置で左右に並ぶようレイアウトを変更しており、横位置で映像コンテンツなどを楽しむ際に効果が得られる(写真=左)。付属の小型ACアダプタはUSB 5ボルト/2アンペア出力仕様(写真=右)。USBケーブルの長さは、実測で1メートルだ(dynabook Tab S50と共通)。USBケーブルは本体側がL字型コネクタなので、タブレット上面にあるMicro USBと接続した際、ケーブルが真上に飛び出して不格好になるようなことはない

 なお、本製品も含めて8型WindowsタブレットはOfficeのライセンスが付いて手頃な価格という点に魅力を感じるユーザーも多いだろう。Officeをじっくり使いたい場合は、外付けのキーボードやマウスと組み合わせるのもおすすめだ。

 S38/23Mは、OTG対応のUSB(Micro B)端子を装備しており、Micro B→Standard A(メス)変換アダプタを用いることで、一般的なPC用USBインプットデバイス(マウス、キーボード)やストレージ(外付けUDD、USBメモリなど)を利用できる。もちろんBluetoothも搭載しているので、適合した周辺機器を拡張していく方法もあるだろう。マウスとキーボードを用意できれば、出先でOfficeを使った本格的な編集作業もこなせる。

購入者向けの“もれなくもらえる”プレゼントも実施中

 ちなみに、東芝では2014年11月30日までにdynabook Tab S38/S50を購入したユーザーを対象として、「選べる!スペシャルプレゼントキャンペーン」を実施している。これは「USBデバイスアンドチャージケーブル&液晶保護フィルム」「オリジナル・タブレットケース」「Bluetoothキーボード」のうち、指定した1点がもれなくもらえるプレゼントキャンペーンだ。

 残念ながら、今回レビューしたS38/23Mは対象外の製品だが、上位モデルのS38/26Mを購入した場合、このキャンペーン利用すればタダで拡張デバイスまでゲットできる。詳細はキャンペーンページで確認していただきたい。

dynabook Tab S38/S50を購入したユーザーを対象として、A〜Cのアクセサリのうち、指定した1点をもれなくプレゼントするキャンペーンも実施中だ

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