「Samsung SSD 850 EVO」徹底検証――“3D V-NAND”搭載で5年保証の主力モデルは買いか?先代の840 EVOとじっくり比較(3/4 ページ)

» 2014年12月16日 11時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

Iometer 1.1.0のスコア

 ストレージ負荷テストの「Iometer 1.1.0」を用いて、850 EVOの性能をもう少し詳しくチェックしていこう。テストサイズは25Gバイト、個別テストは10秒のインターバルで1分間ずつ実行した。

 まず、シーケンシャルリード/ライトはブロックサイズを変えてテストした。リードは850 EVOと840 EVOでまったくといってよいほど同じスコアだ。64Kバイトで450Mバイト/秒、512Kバイトのブロックサイズで500Mバイト/秒に達している。

 一方のライト性能は、32Kバイトまではリード同様にほとんど変わらないが、64Kバイト以上のサイズでは、サイズが大きくなるほど差が開いており、16Mバイトでは50Mバイト/秒以上も850 EVOのほうがよい結果となった。

Iometer 1.1.0/シーケンシャルリードのスコア 単位:Mバイト/秒
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
4Kバイト 122.81 120.96
8Kバイト 201.28 199.20
16Kバイト 294.52 293.16
32Kバイト 383.06 384.97
64Kバイト 452.14 452.20
128Kバイト 434.46 433.48
256Kバイト 486.20 493.59
512Kバイト 521.46 522.68
1Mバイト 532.34 532.51
2Mバイト 538.34 538.69
4Mバイト 541.95 521.92
8Mバイト 542.77 543.62
16Mバイト 543.87 542.47
Iometer 1.1.0/シーケンシャルリードのスコア
Iometer 1.1.0/シーケンシャルライトのスコア 単位:Mバイト/秒
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
4Kバイト 114.95 113.63
8Kバイト 189.95 185.71
16Kバイト 277.09 268.48
32Kバイト 361.54 359.27
64Kバイト 426.09 404.20
128Kバイト 397.90 380.15
256Kバイト 456.62 424.31
512Kバイト 477.69 430.93
1Mバイト 484.55 432.54
2Mバイト 489.15 442.42
4Mバイト 492.99 433.28
8Mバイト 498.34 448.32
16Mバイト 503.53 449.61
Iometer 1.1.0/シーケンシャルライトのスコア

 ランダムアクセス性能のテストは、QD1、QD2、QD32とキューの深さを変えて実行した。コマンドキューイングに対応したSSDでは、コマンドを先行して発行し、並べ替えて実行することができるが、クライアントPCの利用環境ではこれらQD1とQD2のアクセスで大半が占められるという。

 QD1リードは両者とも9400 IOPS前後と、公称スペックの10000 IOPSに近いスコアだ。ライトは公称の40000(840 EVOは33000)とは差があるが、850 EVOのほうがわずかによいか、単なる誤差か微妙なところだ。はっきり違いが出たのは、リード/ライトを50%混在させたテストの結果で、明らかに850 EVOのほうがよくなっている。同じような傾向は850 PROと840 PROとの比較でも見られた。

 QD2もQD1と傾向は同じだ。そしてQD32では、リード/ライト混在処理での優位がよりはっきりと現れた。リードIOPSは約97000、ライトIOPSは約89000とほぼ公称スペック通りのスコアが出ている。

Iometer 1.1.0/ランダムアクセス(4K QD1)のスコア
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
100%リード(IOPS) 9400.89 9354.87
50%リード、50%ライト(IOPS) 11571.06 9870.05
50%リード、50%ライト(リードIOPS) 5782.86 4934.40
50%リード、50%ライト(ライトIOPS) 5788.21 4935.64
100%ライト(IOPS) 27532.83 27020.83
Iometer 1.1.0/ランダムアクセス(4K QD1)のスコア
Iometer 1.1.0/ランダムアクセス(4K QD2)のスコア
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
100%リード(IOPS) 16685.92 16821.28
50%リード、50%ライト(IOPS) 20916.54 19928.04
50%リード、50%ライト(リードIOPS) 10466.40 9965.38
50%リード、50%ライト(ライトIOPS) 10450.14 9962.66
100%ライト(IOPS) 56709.28 56125.36
Iometer 1.1.0/ランダムアクセス(4K QD2)のスコア
Iometer 1.1.0/ランダムアクセス(4K QD32)のスコア
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
100%リード(IOPS) 97169.43 96298.68
50%リード、50%ライト(IOPS) 83392.13 64338.17
50%リード、50%ライト(リードIOPS) 41699.28 32144.46
50%リード、50%ライト(ライトIOPS) 41692.84 32193.71
100%ライト(IOPS) 89226.41 89238.31
Iometer 1.1.0/ランダムアクセス(4K QD32)のスコア

PCMark 7/PCMark 8

 PCMark 7は、OS標準のアプリケーションを利用してPCで行なう一通りの操作をシミュレートとしてそのレスポンスタイムからスコアを出すベンチマークテストだ。ドライブを指定してストレージの性能を計測できる「Secondary Storage」、および「Raw Secondary」のスコアを掲載した。

 前者のSecondary Storageはシステム構成の影響を排除するため、システムのビジータイムを考慮した調整を行なっているスコア、後者のRaw Secondaryは調整前のスコアだ。参考までに前者も掲載するが、今回はシステムを統一してストレージのみを比較しているので、後者のみ言及する。

 トータルスコアは、850 EVOが2.9%よいスコアをマークした。項目別では、video editing(Mバイト/秒)で13%、Windows Media Center(Mバイト/秒)で7.2%よいスコアが出ており、840 EVOとの差が目立つ。

 前者のvideo editingはリード処理が大半で64Kバイトのシーケンシャル/ランダムリード、128Kバイトのランダムリードが多いテスト内容だ。後者のWindows Media Centerはライト処理が多く、特に4Kバイトと1Mバイトのランダムライトが多いが、1Mバイトのシーケンシャルリードも多く含まれている。

 850 PROと840 PROでもこの2項目は差が大きかった部分だが、総じて世代間の差は少ない。特に後者の差は縮まっている。これは、TurboWriteバッファがあるために、NANDそのものの性能差がある程度隠蔽(いんぺい)されているからだろう。

PCMark 7 1.4.0/Second Storageのスコア
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
Secondary Storage score 5566 5505
Windows Defender(Mバイト/秒) 5.69 5.71
importing pictures(Mバイト/秒) 30.66 29.88
video editing(Mバイト/秒) 23.76 23.8
Windows Media Center(Mバイト/秒) 8.28 8.27
adding music(Mバイト/秒) 1.41 1.41
starting applications(Mバイト/秒) 64.28 60.85
gaming(Mバイト/秒) 17.44 17.45
PCMark 7 1.4.0/Second Storageのスコア ※総合スコアを除く
PCMark 7 1.4.0/Raw Second Storageのスコア
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
Raw Secondary Storage score 7326 7117
Windows Defender(Mバイト/秒) 72.68 75.15
importing pictures(Mバイト/秒) 151.85 134.41
video editing(Mバイト/秒) 299.02 306.22
Windows Media Center(Mバイト/秒) 407.01 379.6
adding music(Mバイト/秒) 146.37 151.02
starting applications(Mバイト/秒) 126.49 113.86
gaming(Mバイト/秒) 149.9 150.66
PCMark 7 1.4.0/Raw Secondary Storageのスコア ※総合スコアを除く

 PCMark 7の後継であるPCMark 8のStorageテストでは、メジャーなアプリケーションのアクセスパターンをシミュレートしてスコアを出す。こちらは850 EVOのほうが、少しよいスコアではあるが、項目を細かく見てもほとんど差がなかった。

PCMark 8 2.0.228/Storageのスコア
製品名 Samsung SSD 850 EVO Samsung SSD 840 EVO
Storage score 4992 4990
Storage bandwidth(Mバイト/秒) 285 280.64
World of Warcraft(秒) 58.2 58.2
Battlefield 3(秒) 132.9 132.8
Adobe Photoshop light(秒) 113.1 113.2
Adobe Photoshop heavy(秒) 360.3 359
Adobe InDesign(秒) 56.9 57
Adobe After Effects(秒) 70.6 70.8
Adobe Illustrator(秒) 71.6 71.5
Microsoft Word(秒) 28.2 28.3
Microsoft Excel(秒) 9.1 9.1
Microsoft PowerPoint(秒) 9.1 9.1
PCMark 8 2.0.228/StorageテストにおけるStorage bandwidthのスコア

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