ココが「○」 |
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・書き込み性能が改善 |
・3D V-NANDで耐久性向上、5年保証 |
・TurboWriteでTLCながら高性能 |
ココが「×」 |
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・先代からの性能アップは小幅 |
Samsung Electronicsから最新の2.5インチSerial ATA 6Gbps SSD「Samsung SSD 850 EVO」シリーズが登場した。日本では正規代理店のITGマーケティングが、2014年12月中旬に販売を開始する予定だ。
2014年夏に登場した個人向けハイエンドSSD「Samsung SSD 850 PRO」の下位に位置付けられる製品で、2013年夏に発売された個人向け主力SSD「Samsung SSD 840 EVO」の後継となる同社売れ筋のモデルだ。
850 PROではNANDフラッシュメモリに3次元構造を持つ「3D V-NAND」が初めて採用されたが、850 EVOでもこれを搭載しており、3D V-NANDの特徴である長期耐久性と書き込み時消費電力の低下を実現している。普及価格帯を意識したSSDながら、総書き込み容量は最大150TBW(1Tバイトモデル)、5年間の長期保証が付与されるのは見逃せない。
メモリセルあたり3ビットの情報を記録するTLC(3ビットMLC)を採用しつつ、一部をSLCモードで使用して高速なキャッシュとする「TurboWrite Technology」を導入することで、低コストと高パフォーマンスを両立している点は先代の840 EVOと同様だ。今回は最大容量となる1Tバイトのサンプルを入手したので、性能や消費電力をチェックしよう。
Samsung SSD 850 EVOの容量別スペックを下表にまとめた。参考までに先代モデルにあたる840 EVOのスペックも掲載した。
Samsung SSD 850 EVOの主なスペック | |||||
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製品名 | Samsung SSD 850 EVO | ||||
容量 | 120Gバイト | 250Gバイト | 500Gバイト | 1Tバイト | |
コントローラ | Samsung MGX | Samsung MEX | |||
NAND | Samsung 32layer 3D V-NAND | ||||
キャッシュ | LPDDR2 256Mバイト | LPDDR2 512Mバイト | LPDDR2 1Gバイト | ||
シーケンシャルリード(Mバイト/秒) | 540 | ||||
シーケンシャルライト(Mバイト/秒) | 520 | ||||
4K、QD1ランダムリード(IOPS) | 10000 | ||||
4K、QD1ランダムライト(IOPS) | 40000 | ||||
4K、QD32ランダムリード(IOPS) | 94000 | 97000 | 98000 | ||
4K、QD32ランダムライト(IOPS) | 88000 | 90000 | |||
セキュリティ | AES 256ビットFDE、TCG/Opal V2.0、Encrypted Drive(IEEE1667) | ||||
アイドル時消費電力(Device Sleep) | 0.002ワット | 0.004ワット | |||
アイドル時消費電力(最大) | 0.05ワット | ||||
動作時消費電力(平均) | リード3.7ワット/ライト4.4ワット(ともに1Tバイトモデル) | ||||
TBW | 75TBW | 150TBW | |||
保証期間 | 5年間 | ||||
重量 | 66グラム(1Tバイトモデル) | ||||
Samsung SSD 840 EVOの主なスペック | ||||
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製品名 | Samsung SSD 840 EVO | |||
容量 | 120Gバイト | 250Gバイト | 500Gバイト | 750Gバイト/1Tバイト |
コントローラ | Samsung MEX | |||
NAND | Samsung Toggle DDR 2.0(19ナノメートル) | |||
キャッシュ | LPDDR2 256Mバイト | LPDDR2 512Mバイト | LPDDR2 1Gバイト | |
シーケンシャルリード(Mバイト/秒) | 540 | |||
シーケンシャルライト(Mバイト/秒) | 520 | |||
4K、QD1ランダムリード(IOPS) | 10000 | |||
4K、QD1ランダムライト(IOPS) | 33000 | |||
4K、QD32ランダムリード(IOPS) | 94000 | 97000 | 98000 | |
4K、QD32ランダムライト(IOPS) | 35000 | 66000 | 90000 | |
セキュリティ | AES 256ビット | |||
アイドル時消費電力 | 0.045ワット(DIPMオン時) | |||
動作時消費電力 | 0.1ワット | |||
TBW | 44TBW | |||
保証期間 | 3年間 | |||
重量 | 最大53グラム | |||
先代と比べると、シーケンシャルリード/ライトの性能は変わっていないが、4K(QD1)ランダムライトの性能が向上している。また、従来大容量モデルに比べて数値が低かった120Gバイトモデルと250Gバイトモデルの4K(QD32)ランダムライトも大きく向上している。
極端な微細化をしなくとも容量が増やせる3D V-NANDは、ベリファイを含めた書き込みシーケンスがシンプルで書き込みのパフォーマンスを向上しやすく、消費電力も低くて済むという特徴があるが、その恩恵によるところが大きいのだろう。
また、500Gバイト以下のモデルでコントローラが「MGX」と一世代新しくなっているが、1Tバイトモデルのみは先代と同じ「MEX」を採用している。小容量モデルの書き込みパフォーマンス改善にはこれも貢献しているのだろう。
消費電力については、840 EVOの公式スペックとは測定方法が共通ではないので単純に比較できないが、プレス向けに配布された資料に記載されていたデータでは、500Gバイトで0.9ワット、250Gバイトと120Gバイトで0.8ワットとそれぞれ書き込み時の消費電力が減っている。ただ、1Tバイトモデルでは0.5ワットと小幅で、コントローラの差もありそうだ。
耐久性の目安となるTBW(Total Byte Written=総書き込み可能容量)は、120/250Gバイトモデルが75TBW、500Gバイトモデル以上では150TBWと、大幅に向上している。コンシューマー向けのバリューモデルに属する製品としては相当に高い数値であり、保証期間も上級製品並の5年間に延長されている。
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