ココが「○」 |
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・起動が速い、Webブラウズが快適 |
・小型の割に打ちやすいキーボード |
・軽快動作ながら、求めやすい価格 |
ココが「×」 |
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・Windowsよりソフトが限られる |
・液晶の表示品質はもうひとつ |
・ファンレスでなく動作音がする |
2014年の国内PC市場で大きなトピックの1つが、「Chromebook」の日本上陸だった。Chromebookとは、Googleが開発した「Chrome OS」を導入した新しいタイプの低価格パーソナルコンピュータであり、ここ1〜2年、米国を中心に海外で普及が進んでいる。
Chromebookは海外で数年前から販売されていたが、2014年に入って日本国内市場への投入が発表され、企業や教育機関向けに続き、同年11月からは個人向け市場での販売が始まった。今回入手した「Dell Chromebook 11」は、デルが日本で発売した11.6型のコンパクトなChromebookであり、もちろん個人ユーザーでも購入できる。
Chrome OSをおさらいしておくと、LinuxベースのシンプルなOSであり、Webブラウザの「Chromeブラウザ」を介してクラウド/オンライン上のアプリを実行し、データも基本的にはクラウドストレージに保存することを前提としている。ネットワーク/クラウドインフラをフルに活用するコンセプトとシンプルな構造により、低コストなハードウェアでも軽快に動作するのが特徴だ。
さらに自動メンテナンスの仕組みや、OSの構造レベルからセキュリティ対策を確立していることもあり、Googleはセキュアで管理がしやすいという面もアピールしている。これが企業や教育機関向けに低コストなクライアントとして、Chromebookが選択肢に挙げられる理由だ。
Chromebook 11はデルの直販サイトにて、メモリが2Gバイトのモデルと4Gバイトのモデルを販売しており、3万1980円から購入できる。今回は3万8980円の4Gバイトモデルをじっくりレビューしていこう(価格はいずれも税別/送料込)。
Chromebook 11の見た目は、天板に「Chrome」のロゴが入っていることを除けば、普通のノートPCと変わらない。本体サイズは294(幅)×200(奥行き)×25(高さ)ミリ、重量は約1.3キロだ。実測では1303グラムとほぼ公称値通りだった。突出した薄さや軽さではないが、11〜12型クラスの液晶ディスプレイを搭載したWindowsの低価格ノートPCと似たようなサイズと重量におさまっている。
デザインはシンプルで、モダンなイメージに仕上がっている。フォルムはほぼフラットだが、底部の手前側をカットすることですっきりと見せ、メタリックグレーとメタリックブラックのツートーンカラーでシックにまとめている。金属ボディではないが、ボディの剛性も高く、安っぽいイメージはまったくない。むしろ高級感すら感じさせる。
基本スペックは、CPUが2コア/2スレッド対応のCeleron 2955U(1.4GHz)、メモリが4Gバイト(DDR3L)、ストレージが16GバイトSSD(Serial ATA)、グラフィックス機能がCPU内蔵のIntel HD Graphics、ディスプレイが1366×768ピクセル表示の11.6型ワイド液晶という内容だ。Celeron 2955Uは、最近の低価格ノートPCなどに採用されているBay Trail-M(Atome系)ベースではなく、Haswell(第4世代Core系)ベースの廉価版CPUだ。
Windowsを搭載したノートPCと大きく異なるのはストレージ容量が16Gバイトと少ないことで、Windows 8.1ならばほとんどOSだけで埋ってしまう容量だが、クラウドストレージとオンライン上のアプリを利用する前提のChromebookでは標準的な仕様となる。SDメモリーカードスロット(SDXC対応)を搭載しているので、SDXCメモリーカードをデータの置き場所として使うことは可能だ。
通信機能はIEEE802.11a/b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0を標準搭載。本体装備の端子類の内容、配置もWindows用ノートPCに準じており、2基のUSB 3.0、ヘッドフォン/マイク兼用端子、HDMI出力を搭載する。画面上部にはWebカメラ(720p対応)もある。
公称のバッテリー容量は51ワットアワーで、駆動時間は約10時間だ。モバイルシーンにも対応できる本体サイズ、重量、バッテリー駆動時間と言える。付属のACアダプタは、実測値でサイズが67(幅)×106(奥行き)×27(高さ)ミリとやや大柄で、電源ケーブル込みの重量も304グラムとやや重い(ケーブルなしでは210グラム)。
液晶ディスプレイは11.6型ワイドで表示解像度は1366×768ピクセル、画素密度は135ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)だ。近くで見ると画素形状がハッキリと視認でき、昨今の高画素密度が進むPC/タブレットに比べて表示の精細感はいまひとつだ。低価格WindowsノートPCで標準的なディスプレイと同レベルと言える。
評価機のディスプレイは明るさが標準的、色味はやや青っぽい表示だった。視野角については、左右方向はまずまずだが上下方向は狭く、TN方式の液晶パネルと思われる。ちなみに、ディスプレイにタッチパネルは搭載しておらず、キーボードとクリックパッドで操作する仕様だ。
キーボードは、アイソレーションタイプの日本語6列仕様だ。最上段にはメディア操作や輝度/音量調整を行うボタンが並び、右端(WindowsではDeleteの位置)が電源ボタンとなっている。主要キーのキーピッチは実測で約18.5(横)×18.5(縦)ミリと、画面サイズの割に広い。Windowsキーなどがないことからキー数が少ないため、キーボード全体のレイアウトに余裕があり、極端に小さなキーも、不自然なキー配列も見当たらず、長文の入力も十分可能だ。
キースイッチの反発は少し強めで、しっかりキー入力している感覚がある。意識してキーボードを強く押すと、キーボードユニットが少し沈むものの、通常の入力作業でたわみやゆがみは気にならない程度だ。
キーボードのホームポジション直下より少し右寄りには、左右ボタン一体型のクリックパッドを内蔵。タッチパッドのサイズは100(横)×56(縦)ミリを確保し、指を滑らせるのに広々としたスペースが得られる半面、キーボード操作時に手のひらなどが触れて誤動作することもあった。Windows PCでは、デバイスドライバのパームチェック機能でこうした誤動作を解消できるものが多いが、Chromebook 11にそこまでの機能はない。
それでは次のページから、Chromebook 11で利用するChrome OSの使い勝手について見ていこう。
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