ココが「○」 |
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・Felica準拠のカードでロックを解除 |
・防滴・防じん性能を持つ堅牢ボディ |
・最大2Tバイトの大容量 |
ココが「×」 |
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・一般的なモバイルHDDに比べて値段は高め |
・堅牢ケースなぶん、重量はやや重い |
バッファローから非常にユニークなポータブルHDDが登場した。名前は「HD-PZNU3」シリーズ。大量のデータを持ち歩くのに適したUSB 3.0接続の外付けHDDは数多くあるが、HD-PZNU3がほかと違うのは、セキュリティ機能にFelica準拠のカードを利用できる点だ。
簡単にいえば、多くの人が日常的に使っているおサイフケータイやSuicaをHD-PZNU3にかざすだけで、面倒なパスワードの入力なしに、暗号化されたセキュアなHDDを利用できるようになる。
もちろん、パスワード認証と機能的には変わらないのだが、この種の便利さ(あるいは、パスワード入力の手間のなさ)は、iPhoneの指紋認証センサー「Touch ID」などを体験したことがある方なら分かるはずだ。
また、IP53相当の防滴・防じん性能を備える堅牢ボディも特徴の1つ。ケース内部にシリコンゴムを採用し、不意の落下や水濡れからもデータを安全に守ってくれる。携帯用ストレージとして多少雑に扱ってもだいじょうぶという安心感はありがたい。実機を入手したので試してみた。
HD-PZNU3は、初期状態では通常の外付けドライブとして認識され、暗号化機能を利用するためには、モードチェンジャーをインストールする必要がある。まずはドライブ内のインストーラー(mcinst.exe)を実行し、モードチェンジャーを起動。モード変更時は内部データが削除されるのですでに通常ドライブとして使ってる場合はバックアップを取っておく。
暗号化モードに変更後、OPEN_HS.exeを実行して認証方式を設定する。認証方式は「ICカードとパスワードのどちらかを使う」「ICカードとパスワードの両方を使う」「ICカードのみ使う」「パスワードのみ使う」の4種類から選択できる。ICカードとパスワードの両方を使う設定はよりセキュアだが、カードを紛失するとロック解除ができなくなるので注意しよう。ICカードのみを使う場合も同様だ。このため、ICカードとパスワードのどちらかを使う認証方式が推奨設定とされている。
なお、ロック解除用に登録できるカードは1枚だけになる。取引先と大きなデータを安全にやり取りしたい、といったときは、認証設定されたカードを先方に送っておき、こちらではパスワードを使ってデータを格納、その後ドライブごと受け渡す、といった方法が便利そうだ。
また、OPEN_HS.exeを起動し、オプションを選択すると、認証画面の自動起動や自動パスワード認証も設定できる。前者の「自動起動ツール」をインストールすれば「カードをかざすだけでロック解除」という状態にできるので便利だ。後者は特定のPC(登録が必要)であればそもそも認証も必要なくなる。自宅のPCなど他人に使用される恐れのないマシンを登録しておけば認証の手間が省ける。
実際にHD-PZNU3を使った感想としては、暗号化のロック解除にカードをかざすだけというのは確かに手軽。認証に長いパスフレーズを使っているユーザーにとっては便利だろう。ただ、やはり一般的なモバイルHDDに比べると重いので、大事なデータはそもそも持ち歩かない、という人にはメリットは薄い。また、認証に成功したあとに数秒待たされるため、モバイルストレージとしてUSBメモリを常用している人は少し気になるかもしれない。なお、CrystalDiskMarkで測定したところ、シーケンシャルリード/ライトともに117Mバイト/秒強という結果となった。
データをやり取りする際、容量が小さければメールで、ちょっと大きなデータの場合はOne DriveなどのクラウドストレージとUSBメモリを併用するという人も多いと思われるが、HD-PZNU3であれば最大2Tバイトという大量のデータを、情報漏えいと物理的な破損の両面から保護された状態で安心して携帯できる。
例えば、USBメモリに収まりきらない大量の動画データを持ち運びたい、もし落として誰かに知られたら社会的立場が危うくなる、しかしクラウドストレージや自宅にある家族共用のPCに置いておくのも不安だ――そうした取り扱いに注意すべきデータを肌身離さず、かつ安全に持ち歩きたい人にぴったりの製品かもしれない。誰にも見られたくない大量のデータの中身がどんなものかは想像におまかせするが、もしそういったニーズを抱えているのであれば、是非HD-PZNU3に注目してほしい。
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