3月31日に、ASUSTOR NASの独自OS最新版「ADM 2.4.0」がリリースされた。今回は機能追加を含むマイナーバージョンアップなので、まずは簡単に新機能を紹介しよう。
SSDも大容量化が進み、NASに利用することも現実的になってきた。SSDは基本的にはHDDよりも高速だが、仕組み的に上書きによる書き換えができず、消去してから書き込みを行う必要がある。
しかもSSDの書き込みの最小単位ブロックはディスクの論理的な最小単位のセクタよりも大きく、1セクタを書き換えるだけでも多くのデータを退避、消去、書き込みしなくてはならない。大きすぎて回りも一緒に消してしまう消しゴムのようなものだ。
そのため、書き込みの際には一部だけを書き換えなければならないような使用中のブロックではなく、なるべく書き込みが行われていないブロックを利用したい。だが、通常、ディスク上では削除されたデータに対しては削除マークが付くだけでデータ自体は残っている。HDDと互換性のあるインタフェースを持つSSDでもこれは同様であり、本来すでに削除されて書き込む必要がないゴミデータであっても律儀に退避、消去、再書込を行ってしまう。
そこで、OSからSSDに退避不要なセクタを通知し、退避・再書込の無駄を省いてパフォーマンスを向上する命令がトリムコマンドだ。ADM 2.4.0ではトリムコマンドに対応したため、SSD利用時のパフォーマンス改善が期待できる。
SNMPはSimple Network Management Protocolの略で、主にネットワーク機器やサーバのリソースやサービス監視に用いられるプロトコルだ。SNMPエージェントが各機器のステータスを送信し、SNMPマネージャが情報を集約、管理する。
ADM 2.4.0ではSNMPエージェントに対応し、SNMPv1〜v3のサービスを利用できるようになった。外部からASUSTOR NASの監視を行うことで、24時間365日の稼働を前提とした運用を強力にサポートする。
ネットワークディフェンダーの機能は「一定期間内に指定回数ログインを失敗すると、接続元のIPアドレスからのアクセスをブロックする」というものだ。具体的にはアクセスを禁止するブラックリストがあり、規定異常のログイン失敗を繰り返したIPアドレスはそこに追加されるという仕組みになっている。ブラックリストには手動で特定のIPアドレスを追加することもできる。
ADM 2.4.0ではブラックリストを、ログイン失敗で自動的に追加される「自動ブラックリスト」と、手動で設定する「ブラックリスト」に分離した。さらに信頼リスト、ホワイトリストが追加されている。
信頼リストは自動ブラックリストの例外として動作するもので、ここで指定したIPアドレスからのアクセスは何度ログインに失敗してもロックアウトされることはない。ローカルネットワークなど信頼性の高いIPアドレスにするか、緊急用としてのみ利用するなど、利用は限定的に留めておくべきだろう。
ブラック/ホワイトリストは常にアクセスを禁止/許可するIPアドレスを設定する。IPアドレスの地理情報データベースであるGeoIPに対応しており、国/地域単位での制限をかけることができる。
そのほか、ADMファイルエクスプローラから動画の再生(VLC Media Playerプラグインを利用)、暗号メカニズムの改良による高速化および削除済みファイルのディスク占有容量削減、iSCSIプロトコルの接続ログ記録、Webサーバの仮想ホストの上限数アップ(8→32)などが実装されている。
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