「Zen」とHBMで大きく変わるAMDのCPUとGPU:省電力プロセッサも方針転換(1/2 ページ)

» 2015年05月08日 11時00分 公開
[本間文,ITmedia]

FXシリーズに集約するデスクトップPC向けCPUとAPU

 AMDは、現地時間の5月6日、米ニューヨークの証券取引所NASDAQにおいて、投資家向け会議「2015 AMD Finacial Analyst Day」を開催し、今後の事業戦略を明らかにするとともに、CPUロードマップの大幅な変更も公開した。

新しい企業戦略を説明するリサ・スー新CEO

 AMDは、今後、成長が見込める市場に最適な製品を開発すべく、投資やリソースの分配を行なうことで、収益性を改善する。そこで白羽の矢が立ったのが、100億ドル市場ともいわれる高性能サーバ・データセンター市場だ。2014年、同社の新CEO(Chief Executive Officer)に就任したリサ・スー氏は、2012年に同社に参画して以来、非PC分野の比率を高めることで、収益性と安定性の向上をはかり、2012年時点で10%前後だった組み込み市場やゲームコンソール向けSoCなどの新事業が、2014年には40%を超えるまでに成長した。今後、さらなる成長を実現すべく、収益性の低いローエンドPC市場向け製品や、思ったほどの成果を得ていない高密度マイクロサーバ事業を切り捨て、高収益が望める、ハイパフォーマンスシリコンの開発にリソースや投資を集中する。

 そのカギを握るのは、Bulldozerファミリーからアーキテクチャを一新する“Zen”(ゼン)だ。AMDで技術開発を統括するCTO(Chief Technology Officer, Senior Vice President of TEchnology and Engineering)のマーク・ペーパーマスター氏は、コアあたりのCPU処理性能を高めるとともに、インテルのHyper Threading技術と同様、1つのx86系コアで複数のスレッドを実行できるようにする「SMT」(Simultaneous Multi-Threading)をサポートし、優れたスループット性能を実現する。また、広帯域かつ低レイテンシのキャッシュシステムを採用する。

 ペーパーマスター氏は、ZenでFinFET半導体プロセスを採用することも明らかにし、アーキテクチャの変更だけでなく最先端プロセスルールによる省電力化により、まもなく市場投入する次期メインストリームAPU“Carrizo”で採用したBulldozerファミリーの最終形態となる“Excavator”コアに比べ、クロックあたりの命令実行性能(IPC:Instruction Per Clock)を40%前後高めることを可能にしたという。

次期x86 CPUアーキテクチャとなるZenの概要を説明するCTOのマーク・ペーパーマスター氏

AMDの次世代x86 CPUコア“Zen”は、高性能CPUをターゲットにする(写真=左)。Zenでは、40%もクロックあたりの命令実行性能が向上する(写真=右)

 AMDは、このZenコアを採用したCPUのサンプルを2015年の内に出荷し、2016年には「AMD FX」として、ハイエンドデスクトップPC市場に投入する。また、このCPUの投入を機に、プラットフォームやラインアップの整理を図ることも明らかにした。同社が公開した2016年のCPUロードマップでは、デスクトップPC向けCPUプラットフォームはSocket AM4に移行し、第7世代AMD AシリーズAPUも、FXと同じプラットフォームを利用するようになる。

 同社が公開した2016年の製品構成では、AM4プラットフォームではDDR4メモリに対応することが明らかになるとともに、AMD FXではより多くのCPUコアを統合することも公開しており、現行のCPUとAPUから性能が大幅に向上することが期待できる。また、モバイルCPUでは、第6世代AMD AシリーズAPUとして、まもなく市場投入する“Carrizo”が採用するFP4プラットフォームに一本化し、省電力CPUコアのラインアップは終息することになりそうだ。

AMDのコンシューマ市場向けCPUとAPUのロードマップ。Zenコアを採用した次世代CPUはAMD FXとして投入し、AM4プラットフォームに移行、第7世代のデスクトップAPUも同プラットフォームを採用する

2016年の製品ロードマップ。AM4プラットフォームではDDR4に対応するほか、Zenコア採用のAMD FXでは、より多くのCPUコアを統合する(写真=左)。2016〜17年のデータセンター市場向けCPU/APUロードマップ(写真=右)

Carrizoこと第6世代AMD AシリーズAPU搭載ノートPC(AMDリファレンスモデル)も公開していた

Core i5(写真=左)とCarrizoこと第6世代AMD AシリーズAPU(写真=右)によるHEVCコンテンツの再生デモ。Core i5では、デコードのためCPUを利用しており負荷も高くなっているのに対し、CarrizoベースのシステムではCPUに負荷をかけることなくスムーズな再生を実現しているとアピールする

 なお、AMDは本会議にあわせて、“Carrizo-L”の開発コード名で知られる新しいモバイルAPUを「AMD 7000シリーズAPU」として、中国市場に投入し、順次そのほかの地域にも展開していくことを明らかにした。

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