「iPhone 6s」が生み出す新たな潮流――林信行が1週間使って見えたもの:カタチは同じでも“s”シリーズ史上最大の跳躍(4/5 ページ)

» 2015年09月22日 23時00分 公開

新しい表現の楽しみ「Live Photos」

 静止画も動画も大幅に高画質化したことはそれはそれで素晴らしいが、iPhone 6sシリーズならではのもう1つの重要な機能と言えるのが、今のところ、同シリーズでしか撮影ができない「Live Photos」という新しい表現だ。カメラの上にある三重丸をタップして黄色い状態だとオン、白い状態だとオフになる。

 この機能がオンの状態で写真を撮影すると、撮影してから1.5秒後にビデオ撮影終了時に似たポンという音が鳴る。これでシャッターを切る1.5秒前から、切った1.5秒後までの映像が動画として写真と一緒に記録される。

「Live Photos」のデモ。撮影当時の雰囲気をそのまま残すような新表現

 この「3秒間」というのが絶妙な間なのだ。Twitterの子会社、Vineが採用している6秒という間だと、がんばって無理やり(ちょっと慌ただしい)ストーリーを詰め込めてしまう。

 実際、Vineの動画にはオチがあるものが多い。これが一息つくかつかないかくらいの3秒となると、ストーリーを伝えることはほとんど無理になるが、その分、切り取られた瞬間の空気感のようなものがじんわり伝わってくる動画に仕上がる。

 ハリー・ポッターやブレードランナーといった映画にもちょっとだけ動く写真が登場するが、あれと似た雰囲気だ。今の時代は、どうせ撮影している写真のほとんどはスマートフォンで撮影していて、紙に印刷した写真を見るよりも、スマートフォンの画面に表示された写真をみる機会のほうが多い。そんな時代だからこそ可能になった魔法の表現だ。

 当然ながら、まったく動かない静止物はLive Photosで撮影しても、まったく動かない。しかし、Live Photosはその場の音も録音してくれるので、ただの静止物の写真をプレスして動かした場合でも、撮影していたときの周囲の騒音などがよみがえり、写真に奥行きが出る。

 ポーズを撮った前後が楽しめる友だちや子供の写真、飛行機の窓から見た雲の写真、お祭りや繁華街など雑踏の写真など、Live Photosが映えるシチュエーション写真は結構多い。

 アップルは、現在、FacebookなどにもこのLive Photosを採用してもらうべく働きかけているというが、こうしてこの機能が広がっていけば、今の人が古い白黒写真を見て時代の隔たりを感じるのと同じように、動かないカラー写真を見て時代の隔たりを感じる時代もそう遠くないうちにやってくるのかもしれない(iPadで育った子供たちは、たまに紙の本をピンチ操作で拡大しようとして困惑しているという話をよく耳にする。iPadが登場したのはわずか5年前だ)。

 Live Photosの楽しみ方は、アルバムなどで写真を表示した後、プレスするとその写真が動く、というのが基本形だ。だがそれだけでなく、そもそもアルバムで写真をめくっている段階でLive Photosはちょっとだけ動いて、自らがLive Photosであることを主張してみせる。

 iPhone上では通常の写真とまったく同じ取り扱いで、壁紙にすることもできれば、AirDropなどで人に送ることもできる。ホーム画面の背景にしたLive Photosは動かないが、ロック画面に選んだフォトは画面をプレスするときちんと動く。実際、アップルは標準でロック画面用の美しいLive Photosを多数用意している。

 Apple Watch最新OSのwatch OS 2.0でもフォトやフォトアルバムという盤面でLive Photosの指定が可能で、選ぶとApple Watch画面上でアニメーションするようになっている。

 ちなみにLive Photosの原理は簡単で、どうやらシャッターを切った瞬間の静止画と、その前後3秒間のQuickTimeムービーファイルから構成されているようだ。MacのOS XがEl Capitanになると、Live Photosがネイティブフォーマットとして取り扱えるようになるはずだが、現行のYosemiteはまだ対応しておらず、同OSに付属のImage Captureで取り込もうとすると、同じ数字がついたJPGファイルとMOVファイルのペアになっているのが分かる(おそらく、El Capitanからは、これが1つのパッケージにまとめて表示されるようになるはずだ)。

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