「Surface Book」はノートPCとして最上級の完成度か――USモデル先行レビュー気になるdGPUの性能を明らかに(3/4 ページ)

» 2015年11月22日 07時00分 公開
[ドリキンITmedia]

独特の内部構造を採用したSurface Book

 さて、Microsoftが自らPC本体を作り始めて話題となったSurfaceシリーズですが、2014年に登場したSurface Pro 3では、ついにその完成度とスペックの高さが多くのユーザーに受け入れられ、日本でも大きく売り上げを伸ばすことに成功しました。実際、僕もSurface Pro 3がきっかけとなり、Windows PCに興味を持ち始めた1人です。

 Surface Pro 3は、12型サイズのタブレットボディに主力ノートPC用のCPUを搭載するというポータビリティとパフォーマンスの両立が人気の要因となっていました。しかし一方で、特にハイパフォーマンス志向のCore i7モデルでは、ボディの発熱によるパフォーマンスの低下が問題視されていたことも忘れてはいけません。

 本体側面を1周取り囲むように排気用スリットが配置されたSurface Pro 3ですが、それでも排熱が追い付かず、少し高負荷の処理が続くとファンが高速回転を始め、ボディがかなり熱くなり、さらにはCPUのサーマルスロットリングと呼ばれる発熱制御機構が働き、強制的にクロックダウンしてしまうという問題が指摘されていました。

 実際、僕が所有していたSurface Pro 3もまさにこの問題に直面して、定常的に本体はかなり熱く、ファンがうなっていました。それでもSurface Pro 3はハードウェアの特性上、液晶ディスプレイとなるタブレット本体側にCPUなど全ての発熱源が搭載されているので、Type Coverなど実際に自分が触る部分において発熱がなかったことから、致命的な問題にはならなかったのでしょう。

 そのような経緯から、個人的にも次世代Surfaceシリーズの発熱とパフォーマンスについてはかなり興味を持っていたのですが、Surface Book/Surface Pro 4ではこの問題を最新の第6世代Coreプロセッサ(開発コード名:Skylake)を採用することで改善しているようです。Surface Pro 3が採用する第4世代Coreから2世代ぶんの進化で、Intelは省電力や電源管理の強化に注力してきました。

 もちろん、ボディ内部の放熱設計もよく練られているようで、Surface Pro 3を使っていた経験から比較しても、Surface Bookの発熱問題は大幅に改善されている印象です。

 Surface Bookの内部構造は、タブレット本体(液晶ディスプレイ側)にCPU、メモリ、SSDなど主要パーツを、キーボード側にdGPUを搭載した独特の設計となっています。そのため、キーボードを取り外してタブレット本体のみで使う場合、dGPUは利用できません。ただ、発熱源となるパーツをタブレット側とキーボード側に分けたことで、ボディを薄く仕上げつつ、それぞれを独立して効率よく放熱できるよう工夫されています。

 目立たないよううまくデザインされていますが、よく見ると、タブレット本体とキーボード側それぞれに放熱用のスリットが設けられ、エアフローを確保しているのが分かります。

タブレット本体の内部構造 タブレット本体(液晶ディスプレイ側)にCPU、メモリ、SSDなど主要パーツが載ったメインボード、冷却ファンを内蔵しています
キーボードの内部構造 キーボードにdGPUとその冷却ファン、主な端子類を内蔵しています。キーボードの内部は、その多くをバッテリーが占めています
Surface Book 本体とキーボードそれぞれに排熱用のスリットがあります

気になるdGPUのパフォーマンスをチェック

 Surface Bookで気になるdGPUのパフォーマンスに関しては、3D描画性能ベンチマークテストとして定番の3DMarkを実施しました。

 このdGPUはNVIDIAのGDDR5メモリ搭載GeForceシリーズと公開されていて、市販のGeForceラインアップにはないカスタムモデルとのことです。また、今回テストしたCore i7モデルのCPU内蔵グラフィックスはIntel HD Graphics 520を採用しています。

GPU-Z(dGPU)GPU-Z(CPU内蔵グラフィックス) GPU-Zの情報表示画面。左がキーボード接続のdGPU利用時、右がタブレット単体のCPU内蔵グラフィックス利用時

 3DMarkのテスト結果を見ると、dGPUはGeForce 940Mと認識されました。これはMaxwellアーキテクチャを採用したGeForce 9シリーズの下位モデルで、主にエントリークラスのゲーミングノートPC向けGPUです。カスタムモデルのGPUとのことですが、実際はほぼGeForce 940M同等品と考えられます。

 キーボードを接続してdGPUを有効にした状態では、標準的なノートPCとゲーミングノートPCの中間くらいの性能を発揮しています。逆にキーボードを外してタブレットスタイルで測定すると、標準PCより少し劣る結果です。

 この結果から、dGPUがパフォーマンスの向上にかなり貢献していることが分かります。描画負荷が高いPCゲームのプレイは難しいですが、GPU性能を生かせるクリエイティブアプリケーションでは、CPU内蔵グラフィックスより作業効率が上がることを期待できそうです。

3DMark結果(dGPU) 3DMarkのテスト結果(キーボード装着時/dGPU利用)
3DMark結果(CPU内蔵グラフィックス) 3DMarkのテスト結果(キーボード分離時/CPU内蔵グラフィックス利用)

ボディ表面の発熱も計測

 性能と密接な関係がある放熱設計についてですが、メールやWebブラウジングなど通常の作業を行っている状態では、ファンの回転音が気になったことは今のところありません。ただ、3DMarkのベンチマークテスト中は開始から5分くらいするとファンの回転音が気になり始めたので、放射温度計でボディの表面温度を計測してみました。

 計測結果は、発熱源となるCPUとdGPUを内蔵したタブレット本体とキーボードの接合部中央付近が高温になりました。最も熱いところは40度近くまで温度が上がっていますが、キーボードからパームレストにかけて実際に手が置かれる部分は30度前後で安定しているので、タイプ時に発熱で手が不快になることはありません(室温25度前後)。

 裏面に関しても同じくらいの温度だったので、膝の上で使っているとキーボード裏面の液晶ディスプレイ接合部辺りからは、かなりの発熱が感じられます。

Surface Book 上記3DMarkベンチマークテスト時に放射温度計で計測した各部の温度

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