Appleと日本の特別な関係林信行がApple幹部に聞く(1/3 ページ)

» 2016年02月08日 18時21分 公開
[林信行ITmedia]

 米Appleが過去最高の業績を発表する前日、同社でOS XとiOSのマーケティングを統括する副社長、ブライアン・クロール氏が来日。Appleが目指すOS戦略の方向性や日本との深い関わりについて話を聞いた。

 またビックリするような新機能、新アプリも紹介してくれたので、その内容を後日、私のほうで収録した動画付きで紹介しよう。なお、決算発表前日のインタビューのため、最新の業績の詳細などについては話が聞けなかった(聞き手:林信行)。

米AppleでOS XとiOSのマーケティングを統括するブライアン・クロール副社長。アップルストア表参道で撮影

他社の製品戦略との決定的違い

林信行(以下、林) お久しぶりです。

ブライアン・クロール(以下、クロール) お久しぶりです。日本で会えてうれしいです。私の現在の肩書きはOS/iOSプロダクトマーケティング担当副社長となっています。今日は、これまでの製品個別の発表ではあまり話せなかったことを話そうと思います。

 我々が製品に対してどんな考えを持っているかや、我々の製品がどんなことを目指しているかを、ややMacの話多めで話せればと思っています。まずはこの図、もうすでに何度も見ていただいているかもしれませんが、今日の我々の製品ラインアップの図です。

Appleの製品ラインアップ

 腕にはめるApple Watchからポケットに入れるiPhone、iPad、Macと、気がつけばAppleは非常に多様な製品を提供する会社になりました。ここで重要なのは、我々の製品開発の根本には「1つの製品ですべてをやろうとしない」という考えがあります。

 よく、AppleはMac用のOS XとiPhone、iPad用のiOSを統合するんじゃないか、というウワサを耳にしますが、そんなことはありません。あえて製品を分けるというのが我々のやり方です。なぜなら、何でもかんでも1つのOS、あるいは1つのデバイスでやろうとすると、どこかで使い勝手などを妥協した製品になってしまうと考えているからです。

 キーボードを使うMacにはMacの使い勝手のよさ、タッチ操作にはタッチ操作のデバイス、それぞれのよさがあります。

 確かにApple WatchでiPhoneっぽいことをやったり、iPhoneでパソコンっぽいことをやったりと、それぞれの製品が意図していた領域を踏み出して使われることはあります。しかし、だからと言って、その製品を置き換えられるとは考えていないのです。

 我々は大きさも使い勝手も異なる多様な製品を用意し、まずはそれぞれのカテゴリーの中で最高の使い心地の製品にすることを目指します。そのうえで、それらを美しく連携させよう、というのが我々の取ったアプローチです。

iOSのよさとMacのよさを足して、倍以上の便利さを

クロール 林さんならすでに知っていると思いますが、iCloudの設定をきちんとしておけば、iPhoneでこのように写真を撮ると、その写真がすぐにMacでも、iPadの「写真」アプリにも現れて、そこからソーシャルメディアなどに投稿ができます。

 最新のiPhone 6sシリーズでは「こんな小さな製品でどうやって?」と驚くくらい高画質な4Kの動画撮影ができます。その4Kの動画をiMovieというアプリに取り込んで編集することも可能で、4K動画2つをピクチャーインピクチャーで表示したりといったこともできます。このようにiPhoneで編集を続けることもできますが。そのプロジェクトをMacに取り込んで仕上げることもできます。

 特に最新の5KのRetinaディスプレイを搭載したMacであれば、4K動画を高解像度のまま再生したうえで、さらに編集用の操作画面を表示する余裕もあり、動画編集が快適です。iOS機器の小さな画面とは異なりプロフェッショナルレベルの仕上がりにすることも可能です。

1200万画素になった背面のiSightカメラ

4K解像度の映像をドットバイドットでプレビューしながら編集できるiMac 5K Retinaディスプレイモデル

 これってすごいことですよね。データ転送量が多いと電話会社に制限をかけられてしまうのが残念ですが……

クロール たくさん動画を撮る人やキャリア制限を気にされる方は、Wi-Fiに接続した時だけ同期するオプションもあります。また、撮影した動画をiPhoneとMac間であればAirDropという機能を使って送る方法もあります。これはiPhoneとMacをWi-Fiで1対1接続する機能で転送も高速です。

 確かにAirDrop速くて便利ですね。よく使います。

クロール 最近、我々はiOS機器でクリエイティブな楽しみを味わうソフトをリリースしました。ご存知ですか?

 曲を作っている時に自分の演奏に伴奏などをつけてくれるMusic Memosですね。

作曲を助けてくれる無料アプリ「Music Memos」

クロール そうです。実はそれと同時に、我々は人気の無料アプリ、GarageBandもアップデートしてLive Loopsという新機能を加えました。

 GarageBandはiPhoneやiPadを新しい楽器に変えるアプリとして人気があります。もともと楽器ができる人はもちろん、できない人でも楽器を演奏している気分で曲作りが楽しめます。iPadは特にDJの間でも人気が高いのですが、新しいLive Loops機能で我々がターゲットにしたのはこのDJの人たちです。

 これまでのGarageBandでは横方向にタイムラインが流れているという形を取っていましたが、このLive Loopsでは縦方向に使いたい楽器を並べ、横軸にその楽器で1から数フレーズ分、演奏したループを並べています。これらをタッチして1つ1つ鳴らしたり、列まるごと鳴らすことで、音楽が苦手な人でも、これまでに全くなかった方法で音楽演奏を楽しめるのです。

GarageBandのLive Loopsデモ

 この機能は知りませんでした。これはすごい! 一日中遊んでしまいそうです。

クロール こうして演奏した内容は録音しておけば、Macでもこのように開くことができます(注:タッチ操作に対応していないMacではLive Loopsの演奏はできないので、Mac版GarageBandにはLive Loops演奏機能はない。このため録音内容はスコア(電子楽譜)として表示される)。

 GarageBandの進化はこれだけではありません。現在のGarageBandにはアルケミーというその筋では非常に有名なシンセサイザーが入っています。こちらもタッチ操作の方が演奏がしやすいのですがLogic Remoteという無料のアプリを使ってMacとiPadを連携させれば、iPadのタッチパネルを使ってMac版のGarageBandの操作もできます。

 高性能プロセッサーを持つMacと、マルチタッチを売りにしたiPadそれぞれのよさを組み合わせて連携させることができるのです。

 最近、GarageBandの進化はあまりチェックしていなかったので驚かされました。確かにどちらの機能も大きなタッチパネルを持つiPadならではで、これはパソコンでやると大変と分かりました。それでいてきちんと相互に連携が取れているというのは、先ほど仰っていた“それぞれが独自の持ち味でベストを尽くして連携をとる製品展開”の強みを感じさせますね。

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