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「VAIO Z」クラムシェルモデル徹底検証――Surface Book/Pro 4と比べた性能は?最上位モバイルPC対決(7/8 ページ)

» 2016年02月26日 06時00分 公開
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バッテリー駆動時間は実測10時間超と長い

 バッテリー駆動時間は、同スペックのVAIO Zフリップモデルでも測定した。公称のバッテリー駆動時間は、クラムシェルモデルが約20.9〜27時間、フリップモデルが約19.4〜19.7時間だ。クラムシェルモデルはVAIO史上で最長のバッテリー駆動時間を誇る。

 もっともクラムシェルモデルは、メモリ4GBやフルHD液晶ディスプレイを選べるなど、CTOメニューに幅があるため、公称のバッテリー駆動時間も幅がある。評価機は最高スペックの構成なので、下限の約20.9時間(クラムシェルモデル)と約19.4時間(グリップモデル)が一応の目安になるだろう。

 バッテリーレポートコマンドで見たバッテリー容量は、どちらのモデルもデザイン容量、フルチャージ容量ともに58280ミリワット時だった。モバイルPCの水準としては容量が大きいほうだ。

バッテリーレポート バッテリーレポートの表示。評価機のバッテリー容量は、デザイン容量、フルチャージ容量ともに58280ミリワット時だった
VAIO Z/S11のバッテリー仕様とテスト環境
モデル VAIO Zクラムシェルモデル VAIO Zフリップモデル VAIO S11(LTE)
バッテリー容量(デザイン) 58280ミリワット時 58280ミリワット時 39580ミリワット時
バッテリー容量(フルチャージ) 58280ミリワット時 58280ミリワット時 37760ミリワット時
公称バッテリー駆動時間 約20.9〜27時間 約19.4 〜19.7時間 約14〜15.2時間
テスト時の実測輝度 118カンデラ/平方メートル 137カンデラ/平方メートル 136カンデラ/平方メートル

 バッテリー駆動時間の計測はBBench 1.01で行った。無線LAN(IEEE802.11ac)経由でネットに常時接続し、60秒ごとにWebサイトを巡回(10サイト)、10秒間隔でテキスト入力を行う設定でテストしている。Windows 10の電源プランは「バランス」、「VAIOの設定」にある「CPUとファン」の動作モードは「パフォーマンス優先」で、バッテリー駆動時のディスプレイの輝度は40%で固定した。

 このテスト条件において、バッテリー満充電から残り5分で休止状態に入るまでの駆動時間は、クラムシェルモデルで10時間40分、フリップモデルで10時間6分だった。このテスト条件では公称値と大きな差が出たが、常時ネットに接続した状態での実測値で10時間以上駆動するので安心感は高い。TDP 28ワットのCPUを搭載していることを考えれば立派だ。

 なお、バッテリー駆動時間の公称値とBBenchでの実測値の差がある点は、第6世代Core搭載機に共通する傾向だ。VAIO Zは、筆者がこれまでテストした第6世代Core搭載機としては最長のバッテリー駆動時間であり、相対的には十分優秀と言える。

VAIO Z/S11のバッテリー駆動時間テスト結果(BBench)
モデル VAIO Zクラムシェルモデル VAIO Zフリップモデル VAIO S11(LTE)
BBench 1.01の結果(時間) 10時間40分 10時間6分 9時間

 続けてPCMark 8のバッテリーテストも行った。こちらはオフィスでの運用をシミュレートするWorkテストをループしながらバッテリー駆動時間を計測する内容で、BBenchと比べてかなり負荷が高い。同じくディスプレイの輝度40%で計測したところ、結果は5時間53分だった。このテストでもVAIO S11に勝っており、高い負荷がかかる作業でも、これくらいのバッテリー運用は可能だ。

PCMark 8/Battery Life PCMark 8/Work Accelerated(Battery Life) 2.0のスコア
VAIO Z/S11のバッテリー駆動時間テスト結果(PCMark 8)
モデル VAIO Zクラムシェルモデル VAIO Zフリップモデル VAIO S11(LTE)
PCMark 8/Work Accelerated(Battery Life) 2.0 5時間53分 5時間19分

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放熱性能も十分、静音運用も可能

 VAIO Zは2つのファンを内蔵し、左右の側面とヒンジ部に通風口を設けることで、TDP 28ワットのCPUをしっかり放熱する仕組みだ。

 動作音については、低負荷時は無音に近いが、耳をぴったり排気口まで近づけるとファンは低速で回っているのに気付く。高負荷をかけてもすぐに動作音は大きくならないが、高負荷をかけ続けると徐々に大きくなり、ピーク時は結構大きな音になる。負荷によって変動はあるものの、頻繁に動作音が変化して煩わしいという印象はない。

 「VAIOの設定」ユーティリティでは「CPUとファン」の動作モードとして「静かさ優先」が選択できるので、こちらも試してみたところ、高負荷時でも低負荷時と変わらないくらいの動作音で、常に静音で運用が可能だった。

 この状態でベンチマークテストを実施したところ、さすがにCINEBENCHや3DMarkでははっきりとした落ち込みがみられるが、それでも先代モデルのフル性能よりもよいスコアを出している。さらに、PCMarkのWorkスコアはほとんど変わらなかった。

騒音テストの結果(ボディ手前から5センチ、暗騒音30.8dB、室温20度)
モデル VAIO Zクラムシェルモデル(パフォーマンス優先) VAIO Zクラムシェルモデル(静かさ優先)
アイドル(dB) 30.8 30.8
低負荷/Web YouTube再生(dB) 30.8 30.8
3DMark/Sky Diver GT×3回(dB) 46.6 32.8
CINEBENCH R15/CPU×2回(dB) 46.6 32.8
PCMark 8/Work Accelerated 2.0スコア 4409 4401
CINEBENCH R15/CPUスコア 375 317
3DMark/Sky Diverスコア 6260 4173
備考 負荷をかけてもしばらくは比較的静か。負荷に応じて変動するが敏感すぎる印象はない 高負荷をかけても強く意識しないと分からないくらい静か

VAIOの設定 VAIOユーザーにはおなじみの「VAIOの設定」。「CPUとファン」の動作モードを「静かさ優先」にすると、先代モデルと互角以上のトータルパフォーマンスと快適な静音性を両立できる

 高負荷状態におけるパフォーマンスの持続性についてもチェックした。FF14ベンチ(DX9、1920×1080、ノートPC標準)を30分間ループさせた後、すぐに3DMark/Sky Diverを2回連続で実行してスコアを見たところ、平常時の6260に対し、ともに6100台だった。

 スコアは少しだけ下がったものの、平常時でも見られるくらいのバラつきでもあり、十分な放熱能力を備えていると言える。高負荷の状態が続くと、サーマルスロットリングが発生してパフォーマンスが低下するような問題は見当たらなかった。

パフォーマンスの持続性テストの結果(室温21度)
モデル VAIO Zクラムシェルモデル
Sky Diver(クールダウン後) 6260
Sky Diver(FFベンチ30分ループ直後、再実行時のスコア1) 6101
Sky Diver(FFベンチ30分ループ直後、再実行時のスコア2) 6153
30分間の最大GPU温度 86度
※FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DX9、1920×1080、ノートPC標準)を30分ループで実行した後に再実行

 ボディーの発熱については、FF14ベンチを約15分連続して動作させた直後の温度を放射温度計で測定した。結果は、底面の左側が高温になるが、手が直接触れるパームレストやキーボードは低温に保たれており、高パフォーマンスを薄型軽量ボディーに詰め込んだ割に健闘している印象だ。

発熱テストの結果(室温21度)
モデル VAIO Zクラムシェルモデル(パフォーマンス優先) VAIO Zクラムシェルモデル(静かさ優先)
キーボード左 33 33
キーボード右 31 31
パームレスト左 26 26.5
パームレスト右 25 25
底部左 40 40
底部右 36.5 37
※キーボードはホームポジション列の最大温度。FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークを15分ループ実行した後の温度

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