AppleがFBIのiPhoneロック解除協力を拒否したことをきっかけに、米国では個人のプライバシーと国家安全保障のバランス問題が注目を集めています。
そんな中、米連邦議会下院法務委員会がこうした問題に関する公聴会(問題解決の参考にするために、利害関係者・学識経験者などから意見をきく会合)を開きました。
これらの公聴会にMicrosoftとAppleの法務顧問が立て続けに参加しました。それぞれ自社のタブレットを手にして。
まずはMicrosoftの法務担当上級副社長、ブラッド・スミス氏が2月25日の公聴会に出席。キーボードカバー(Type Cover)付きの「Surface Pro 4」を持って席についたスミス氏の席には、旧型PCも用意されています。
公聴会では通常、参加者は自分の席につくとまず右手を上げて「真実を述べます」と宣誓し、あらかじめ提出しておいたレジュメを読んだ後、議員からの質問に答えていくのですが、スミス氏はせっかく持ち込んだSurface Pro 4を開くこともなく、とうとうと自説を述べます。
途中で30年前に発売されたIBMの旧型の大きなラップトップPC(IBM初のラップトップPC「IBM PC Convertible 5140」のようです)と、薄くて軽いSurface Pro 4を並べて性能差について説明し、「テクノロジーは前進しているのだ。法律も追い付くべきだ」とスミス氏。同氏がタブレットを持ち込んだのは、旧型PCと最新タブレットを比べてみせるのが目的だったのです。
説得力のある説明だし、Surface Pro 4の宣伝にもなりました。
一方、3月1日の公聴会に参加したAppleの法務担当上級副社長、ブルース・スウェル氏は、もちろん「iPad Pro」を抱えての登場です。こちらは席につくとiPad Proのキーボードカバー(Smart Keyboard)をぱたっと開いてディスプレイを表示しました。
レジュメをiPadの画面をスクロールしながら読み上げます。ところが途中で画面がロックしたらしく、別途用意してあったバインダーの紙の資料に切り替えました。これでは製品アピールにはなりませんでしたが、万が一のために紙の資料を用意しておいたのは、さすがというか何というか……。
スウェル氏の名誉のために付け足すと、その後の質疑応答では資料を当たることもなく、堂々とした対応っぷりでした(何しろ同氏は故スティーブ・ジョブズ氏が2009年にIntelから引き抜いた、すご腕の戦略家です)。
3月22日には法廷審問があります(中継はされません)。スウェルさん、今度はiPad Proがロックしないといいですね。
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