AppleとFBIが、iPhoneのパスコードロック機能をめぐり対立しています。昨年12月に起きたカリフォルニア州サンバーナーディーノの銃乱射事件について、FBI幹部は捜査の重要な手がかりが容疑者のiPhoneに残されている可能性を明らかにしました。
そのため米判事はAppleに対し、パスコード入力ミスによるデータの全消去機能を回避する手段を提供するよう要求。しかしティム・クックCEOは公式書簡を発表し、セキュリティ機能の一部を無効化するツールの提供を拒否しています。
また、FBIからロック解除を要請されたiPhoneは、テロ事件に関連する1台だけではないことが裁判資料から明らかになり、プライバシー保護と国家安全保障をめぐる議論がさらに活発化しています。
このニュースで「iPhoneのパスコードを間違え続けると、データが消去される」機能を知った人も多いのではないでしょうか。今一度、iPhoneのパスコードの仕組みをおさらいしておきましょう。
iPhoneやiPadなどのiOS端末は、指紋認証システム「Touch ID」のほか、6ケタ(iOS 8以前は4ケタ)のパスコードを使い端末をロックします。余談ですが、英数字や数字6ケタ以外のパスコードが設定できるオプションもあります。
それでは、パスコードを間違い続けるとどうなるでしょうか? 公式サポートページによると、「6回続けて間違えて入力した場合、ロックアウトされ、デバイスを使用できないというメッセージが表示されます」とあります。
実際に検証したところ、確かに6回目の入力ミスで「iPhoneは使用できません。1分後にやり直してください」と表示されました。この状態ではパスコード入力画面は現れず、緊急電話のみが使用できます。
その後はミスを繰り返す度に、ロックアウトする時間が5分、15分、60分と延長していきます。パスコードの組み合わせを総当たりすることで、ロックを解除する「ブルートフォースアタック」を防ぐためです。
10回まで入力の猶予がありますが、11回目を間違えるとゲームオーバー。パスコードを確認する方法はありませんし、Apple側で調べることも不可能です。そのためパソコンのiTunesにつないで復元するか、「iPhoneで探す」機能を使っていったんデータを消去したうえで復元するか、リカバリーモードで復元する必要があります(→参考)。
しかしFBIが求めていたのは、「10回目の入力失敗でiPhone内のデータが消去される」機能の解除でした。この機能をオンにするには、以下の設定が必要です。
まず「設定」の「Touch IDとパスコード」をタップし、パスコードを入力。一番下の項目「データを消去」をオンにし、「使用」を選択すれば設定完了です。これでパスコード入力を10回失敗すると、iPhone上のすべてのデータが消去されるようになります。
普段は指紋認証でロックを解除しているユーザーも、パスコードロックの設定を再確認してみてはいかがでしょうか。
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