Samsung、平衡感覚をつかさどる神経を刺激して“動き”を感じられるVRヘッドセット「Entrim 4D」発表医療技術の応用

» 2016年03月15日 21時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 韓国Samsung Electronicsは3月14日(米国時間)、ヘッドフォンに取り付けた電極で人体の神経を刺激することにより、VRコンテンツ内の動きや方向、速度を体感できるVR用ヘッドセット型アクセサリー「Entrim 4D」を発表した。製品は開発中で、米国のテキサス州オースティンで開催中のSouth by Southwest 2016(SXSW 2016)で展示する。

「Entrim 4D」 「Entrim 4D」の本体。発表された写真を見ると、同社の「Gear VR」と組み合わせているようだ

 例えば、飛行中のドローンに搭載するモーションセンサーからのデータを利用して、平衡感覚などに関わる内耳の前庭神経を電気信号によって刺激することにより、映像を見ながらまるで自身が空を飛んでいるかのように感じたり、自動車やジェットコースターのVR映像を見ながら左右に引っ張られる感覚を味わえたりするという。

「Entrim 4D」を装着して自動車の車載映像を見た際に、横Gによる動きを体感できるという

 バランス感覚のリハビリなど医療で用いられる「Galvanic vestibular stimulation GVS(ガルバニック前庭刺激)」という方法を用いるため、安全かつシンプルな技術であると同社は説明する。Entrim 4Dのプロジェクトチームはハードウェアとソフトウェア、生体医工学の専門家で構成され、これまでに1500人以上で実験を行い30種類以上のパターンを開発してきた。

 本プロジェクトのクリエイティブリーダーであるSteve Jung氏は、「VRは“目”だけで感じるべきではない」とコメントしており、現在は回転運動の感覚を加えるために電極を追加した新バージョンの開発に取り組んでいるという。

 Entrim 4Dの技術を利用すれば、視点が動いている映像を見ているにもかかわらず、実際に体が動いていないために発生する乗り物酔い(VR酔い)というVRの課題を1つ解決できる可能性がある。

Entrim 4D装着イメージ Entrim 4D装着イメージ
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Entrim 4Dのデモ

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