9.7型iPad Proは「究極のアップグレード」林信行が見るApple発表イベント(4)(2/2 ページ)

» 2016年03月24日 06時00分 公開
[林信行ITmedia]
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iPad Proの満足を9.7型サイズのボディに詰め込んだ新モデル

 今回の新製品発表会でトリをつとめたのはiPad Proだった。2015年、iPad史上最大の12.9型サイズを誇る巨大なスクリーンで登場したiPad Proは、Pixarのチーフ・クリエイティブオフィサー、ジョン・ラセター氏から、Citi Corpデザイン部門のトップに至るまで、その性能や広い画面、優れたスピーカーが高い評価を得ている。

タッチ&トライ会場に並ぶ9.7型iPad Pro

 今回、AppleはこのiPad Proをシリーズとして拡張し、新たに9.7型モデルを加えることにした。9.7型といえばiPad Airシリーズ、あるいは初代iPadとも同じ画面サイズだ。

 どうしてこのサイズがいいのか? Appleワールドワイドマーケティング担当の上級副社長であるフィル・シラー氏は、iPadシリーズの開発を始めてからずっと、9.7型サイズが最も汎用性が高いとして、このサイズにこだわってきたと語る。持ち運びするのにちょうどいいサイズだし、読み書きをするのにも都合がいい。

 実際、9.7型サイズのiPadは累計で2億台売れてきたという。そういった「現在、9.7型のiPadを愛用しているユーザーにとって、9.7型iPad Proは究極のアップグレードになるはずだ」とシラー氏は自信を見せる。

これまでのiPad Air 2と同じ9.7型サイズのモデルがiPad Proシリーズに加わった

9.7型のiPadはこれまで2億台を販売した定番のサイズだ

 これまでのiPad Air 2と比べた際、もっとも特徴として際立つのはAppleがさまざまな最新テクノロジーを凝縮して独自開発した「Pro Display」と呼ぶディスプレイ表示の美しさだ。

 iPad Proの色再現性の高さは12.9型モデルでも紹介済みだが、同じ品質のディスプレイが9.7型サイズに収まり、さらにiPad Air 2との比較で40%も光の反射を抑えている点が大きな違いとなる。写真加工や映像編集をしているプロフェッショナルなら、光の反射を抑えたこのパネルは、それだけで大きなアドバンテージになるだろう。

 画面の輝度もあがっており、iPad Air 2と比べて25%も明るくなっている。タブレットのディスプレイとしては非常に明るい部類に入る。また、iPad Air 2と比べて25%ほど色の表現力も増している。

 こうした極めて優れたディスプレイを、最新のiOSで加わった2つ機能がさらに便利にしている。

 1つは前述したiOS 9.3の標準機能であるNight Shiftのブルーライト抑制機能。これはプロフェッショナルな作業を支援するというより、プロを安心して眠りにつかせるための機能だが、もう1つが面白い。True Tone Displayという技術で、iPad Proの中に仕込まれたセンサーが環境光の色味などを計り、画面表示の色味を自動的に調整してくれる。9.7型iPad Proはこのために明るさと色温度を測る4チャンネルのセンサーを2つ新規に搭載した。これにより部屋の光の色が変わっても、それにあわせてきちんとリアルな色味を再現してくれる。

内蔵センサーで環境の光を測定し、画面の色味を自動的に調整するTrue Tone Display

 通常、紙の書類であれば暖色系の光の下では、その光の色を反射して白い部分がオレンジや黄色っぽい色味に変わるし、寒色系の光の下では青っぽい色になる。ところが、iPadの液晶ディスプレイは発光しているので、環境光に関係なく常に同じ色になる。これにはいい点もあるが、紙に印刷した際のより自然な見え方が気になる場合もあるだろう。そうした際、環境光にあわせて色温度を自動調整するTrue Tone Displayが役に立つ。

 こうした新技術に加えて。9.7型iPad Proは、手に持った位置にあわせて上下/左右の向きが変わる4つの内蔵スピーカーや高速なA9xプロセッサーを搭載。いずれも12.9型iPad Pro自慢の機能を、それよりも小さな9.7型サイズのボディにそっくり収めている。

 さらにカメラはiPad史上最高の1200万画素、4Kビデオ撮影をサポートするiSightカメラが搭載され、インカメラのFaceTimeカメラも500万画素に向上した。もちろん、鉛筆のような描き味を実現するApple Pencilにも対応し、9.7型サイズにあわせて作られた専用キーボードカバー、Smart Keyboardも用意されている。なお、アクセサリーといえば、iPad Proに内蔵された大容量バッテリーを生かすべく、Lightning−USB 3.0カメラアダプタを使って、他の機器をUSB充電することも可能になったようだ。

当然、iPad Proの特徴の1つとなっているApple Pencilに対応

 12.9型モデルのかわいい弟分にも見える9.7型iPad Proだが、タッチ&トライ会場で少し試してみた限り、Smart Keyboardのタイピング感(キーの押し心地)も向上している印象を受けた。まさにiPad Proで提供してきた満足の全てを、最も人気のサイズに凝縮したiPadといえそうだ。

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