Evernoteは仕事でヘビーに使っている人がいる一方、無料で気軽に使っているユーザーも非常に多い。仕事で使っているユーザーであれば、これを機に有料プランへ移行するのも仕方がないと判断することも考えられるが、無料で利用しているライトユーザーであれば、「無理にEvernoteにこだわる必要はないのでは?」と考えても不思議はない。現在は、Microsoftの「OneNote」やGoogleの「Keep」など、Evernoteと同様にメモ的にデータを保存したり、検索できる無料のクラウドノートサービスが充実している。
さて、そんな他のサービスやアプリを検討する前に、「Evernoteを使い続けることはできないか?」と考えてみよう。Evernoteがベーシックプランで提示する「1ユーザーで2台まで」という制限は、Evernoteアプリを使う場合のみに適用される。つまり、Webブラウザを使ってアクセスする場合は特に制限は設けられていない。Webブラウザからの利用ではデータを読み込むのにやや時間がかかるものの、全く使えないよりはマシというモノだ。
ということで、試しにベーシックプランにデバイス2台を登録した上で、AndroidスマートフォンからEvernoteにWebブラウザでアクセスしてみると、Androidでは「ブラウザでEvernoteを使えないのでアプリを使ってね」というメッセージとともにアクセスを拒否されてしまった。そもそもAndroidではWebブラウザからは使えないようだ。デバイス2台制限は複数台のスマートフォンやタブレットを使いこなすユーザーにとってはかなりの不自由さをもたらすものになりそうだ。
ではEvernoteを使い続けることを諦めて、無料で他のアプリを使おうとした場合、ユーザーにはどんな選択肢があり、どんなメリットがあるだろうか? すぐに思い付くのは、前述したようにMicrosoftのOneNoteとGoogleのKeepだ。
KeepはGoogleサービスらしく完全無料で利用できる。短期的なメモに使うのであれば、非常に気軽に使えて便利だ。分類のためにラベルが使えるものの、階層的な管理が使えないので大量のデータ管理には限界があると思うが、それ以外ではクイックに使えてイイ。リマインダーも使うことができる。ちなみにPDFといったファイルの管理は扱えないのでEvernoteのようにデータを蓄積するといった用途には向かない。
OneNoteはマイクロソフトの製品ながら無料で使えて、データはノートブックで階層的に管理できるなど、Evernoteに近い機能を搭載している。機能で有利な点は保存容量だ。無料プランのEvernoteが、月間60MBの容量しか転送(アップロード)できないのに対して、OneNoteは空き容量があればいくらでも保存できる。起動速度や操作レスポンスなどに関して、Evernoteのほうが良好に感じる場合もあるが、OneNoteも十分実用レベルのスピードは実現しているように感じる。
凡庸(ぼんよう)な結論ではあるが、Evernoteを仕事で使い込んでいるユーザーにとっては新しく環境を学習する手間などを考えると、有料プランに加入してでもEvernoteを使い続けるという選択肢もアリだろう。仕事以外で使っているような人、あまりヘビーには使っていない人はOneNoteなどに移行を考えてもいいのではないだろうか。
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