ココが「○」 |
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・CPUとGPUに水冷システムを採用 |
・高性能と静音性を両立した設計 |
・独自のこだわりにCARDKEEPERを追加 |
ココが「×」 |
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・ケースは拡張性が高い分やや大きい |
BTOメーカーのサイコムは、CPUとGPUに水冷システムを導入したデュアル水冷モデル「G-Master Hydro」や、Noctua製ファンをはじめとする高品質なパーツを組み合わせることで究極レベルの静かさを実現した「Silent-Master Pro」など、エンスージアスト向けのハイスペック構成だけでなく、静音性にもこだわったモノ作りで定評がある。
今回、Pascal世代のGeForce GTX 1070/GTX 1080をいち早く水冷化し、デュアル水冷システムに組み込んだ「G-Master Hydro Z170」の最新モデルを取り上げよう。
基本的にPCは高性能になればなるほど、それを支えるCPUやGPUの発熱は高くなる。ハイエンドなパーツで固めたゲーミングマシンがうるさいと感じるのは、システムの冷却に十分な風量を確保するため、どうしてもファンノイズ大きくなりがちだからだ。特に高いグラフィックスパフォーマンスを必要とするゲーミングマシンは、CPUだけでなくGPUでもファンノイズが無視できない問題になる。また、十分な冷却性能がなければGPUのブーストクロックが維持できず、性能を追求するのであれば余裕を持った冷却システムが求められる。
そこでサイコムは、システムの主要な熱源であるCPUとGPUの両方に水冷システムを組み込み、高い性能(つまり十分な冷却性能)と静音性を両立した。それが“デュアル水冷”をうたうG-Master Hydroシリーズだ。特にGPUの水冷はCPUの水冷に比べると独自のノウハウが必要になり、PCメーカーが販売する製品としてデュアル水冷(メーカーによってはダブル水冷)を採用するシステムは多くない。それだけに、最新GPUのGeForce GTX 1070/GTX 1080でサイコムがいち早く水冷化に取り組んでいるのは、性能と静音性を両立したいと考えるユーザーにとって朗報だろう。
G-Master Hydro Z170の水冷システムは、GeForce GTX 900シリーズで採用した水冷システムを踏襲している。具体的には、CPUクーラーにASETEKの「550LC」、グラフィックスカード側に「740GN」を組み込み、ケースの背面と上部に設置したラジエーターで放熱する構成だ。ラジエーターにはENERMAX製の静音12chファン(UCTB12P)を装着し、いずれも低速で回転する。同社によると、ノイズレベルは18dBA以下とのことだが、実際にケースを開けて耳を近づけない限り音が気になることは皆無だ。
PCケースも引き続き、Fractal Designの「Define R5」を採用する。フロントドアとサイドパネルに吸音シートを張り、冷却ポンプやラジエーターファンの音をさらに低減しているほか、底部のインシュレーターによる振動防止などケース自体に静音性への配慮がみられる。また、フロントドア内の防じんフィルターによってホコリの侵入を防ぐだけでなく、天面部にはサイコムオリジナルのメッシュカバーを装着してるのが目を引く。マグネットで着脱できる仕様でホコリの除去もしやすく、何よりケース全体の見た目もいい。
そしてさらに、今回からグラフィックスカードに「CARDKEEPER」を付属しているのがユニークだ。これは輸送時にグラフィックスカードのネジが緩み、ケース内で脱落するのを防ぐためのものだが、振動を抑える役目もあり、わずかながら静音性にも貢献しているだろう。また、そもそもカードの脱落などほとんど起こらないと思われるが、「あったら安心、それならあるほうがいい」というスタンスで標準品にしてしまうあたり、サイコムらしい異常なまでのこだわりを感じる。ちなみにこのCARDKEEPER、これだけを作っているメーカーのようだ。
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