インタビュー
» 2017年03月30日 18時43分 公開

シン・ゴジラのスクリプターが語るiPad Pro&Apple Pencil仕事術 (2/3)

[らいら,ITmedia]

Apple Pencilがアナログと同じ書き心地だった

―― iPad ProとApple Pencilを導入したきっかけを教えてください。

田口 もともとガジェットが好きでiPad miniを持っていましたが、コンテンツを見ることが主な用途だったので、書き込む作業の多い私には、iPadはあまり使いみちがないと思っていました。そんなときにApple Pencilが発売され急に興味が湧いて、iPad Proを2台持っていた佐藤信介監督(監督作:「GANTZ」「図書館戦争」シリーズ、「アイアムアヒーロー」など)にお願いして、1台借りることにしたのです。

田口さんは初代iMacを買ってからずっとApple製品を使っているのだそう。iPad Proも女子バレーの眞鍋監督スタイルでがっちりホールド愛用中

―― その借りたiPad ProとApple Pencilを仕事で使い始めたのはいつごろからですか。

田口 「シン・ゴジラ」撮影後の2015年9月にiPad Proが発売され、仕上げチームはさっそく導入していました。私はすでに「デスノート Light up the NEW world」の製作に入っていたので、使い始めたのはデスノートからですね。

 以前スタイラスペンを試したことがありますが、頭でイメージしたとおりに上手に文字が書けずにやめてしまいました。だからApple Pencilを佐藤監督に初めて触らせてもらったとき、紙とペンの感覚のままで書けて感動ですよ。iPad ProとApple Pencilは、アナログとデジタルの感覚が混ざっているのがいいところだと思います。

―― 書き味にはこだわるほうですか? ペーパーレス化の観点でいえば、ノートパソコンもしくはiPadのキーボードでタイピングする方法もありそうですが……。

田口 スクリプターはカットがかかったら素早くメモする必要があるので、キーボードに打ち込む作業では間に合いません。台本を片手に持った状態で、両手でタイピングするのも難しいです。

 またパソコンの場合はソフトに慣れるまでが大変そうですし、自宅に持ち帰って清書となると、逆に手間と時間が増えそうです。パソコンでやるスクリプターもいますが、私は不真面目なので(笑)、現場でなるべく清書まで終わらせたいと思っています。現場に持ち込んでそのまま作業できるのは大きいですね。

田口さんの周囲でも、iPad ProとApple Pencilを導入する映像関係のプロが増えてきているのだとか。セミナーでも参加者は熱心に使い方を学んでいました

持ち運ぶ荷物が減り、作業も大幅に効率化

―― 紙とペンを使っていた頃と比べ、仕事にはどんな変化がありましたか。

田口 仕事の時間が短縮しました! 台本に指示書きするときは一度清書するのですが、同じ指示を違うカットごとに何度も書くこともあり手間がかかります。台本の限られたスペースに情報をたくさん書き込んで、文字のバランスが悪くなると書き直す必要もありました。

「デスノート Light up the NEW world」の台本の一部(本物!)

カットごとに細かな指示書きがあるのが分かります

 そこで現場向けデジタルノートアプリ「GEMBA Note」を使うことで、よく使うマークはアイテム登録してコピー&ペーストすればよいですし、書き込むスペースが足りなくなったら文字を縮小して寄せればいい。メモ機能の柔軟性が高いので、作業がスムーズになり仕事が早く終わるようになりました。

 また、佐藤信介組の場合、資料はDropboxなどのクラウドにPDFデータで共有されます。今までは絵コンテを紙に出力して持ち歩く必要がありましたが、今はiPad Proに全部入れておけるので、とにかく荷物が減りました。PDFデータはiPhoneの小さな画面で見ていたので、視認性も上がりましたね。

「デスノート Light up the NEW world」の絵コンテ

これまで印刷して大量の紙を持ち運んでいたそうです

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