Appleの前CEOである故スティーブ・ジョブズ氏、Microsoftの前CEO、ビル・ゲイツ氏――彼らを引き合いに出すまでもなく、優れたビジネスマンは優れたプレゼンターでもある。多くの著名人が講演を行う世界的な講演会、TED ConferenceやTEDxの盛況ぶりはプレゼンテーションのスキルがビジネスという枠を超え、非常に重要なものになってきていることの現れだろう。
規模の大小を別にすれば、ビジネスマンなら社内外でのプレゼンテーションを行う機会は珍しくない。学生でもゼミなどで発表したり、あるいはセミナーやカンファレンスでの講演、短時間プレゼンのライトニングトークなど、プレゼンテーションを行う機会は非常に多くなってきている。
そういったプレゼンテーションのツールとしては、MicrosoftのPowerPointやAppleのKeyboteが広く利用されている。基本的には資料を複数のスライドにまとめ、それを順次切り替えながら講演者の話す内容を視覚的にサポートするというスタイルが多い。講演者はスピーチと同時にプレゼンテーションツールの操作を行う。
準備した資料は事前にいくらでも時間をかけ、完成度を高めることができるが、その場での変更はスライドを割愛することくらいしかない。逆に講演者のパフォーマンスはいくら準備をしても緊張などによって満足いく結果にならないこともあるものの、聴衆の反応を見て臨機応変に内容を変えたり、身振り手振りで感情に訴えかけたり、と、魅力的で聴衆を引き込むポテンシャルを秘めている。
そのため、優れたプレゼンテーションは講演者の話術が主であり、資料は従となることが多い。だからこそ、話をしながらそのテンポ、雰囲気を邪魔することなく講演者自身が自分の意思を的確に反映させることのできる資料操作が不可欠だ。
そこで、最近よく使用されているのがプレゼン用のキー操作をワイヤレスでできるリモコンだ。そのリモコンにレーザーポインタの機能を持たせたものも多く、プレゼンターは壇上を歩きながらでも、一つのツールで自由にスライドを操作し、強調したい部分を指し示すことができる。
だが、リモコン機能はともかく、実はレーザーポインタは、大規模なプレゼンにはあまり向いていない。広い会場の特徴がことごとくレーザーポインタに不向きだからだ。具体的には以下の3点が挙げられる。
広い会場では大きなスクリーンとプロジェクターを利用することが多い。問題はスクリーンサイズが大きくなってもレーザーポインタの光点の大きさは変わらないことだ。
例えば、広いカンファレンス会場で200型程度のスクリーンを使う場合は、小さな会議室で40型程度のディスプレイを使うときの5倍の大きさの光点でないと同様の視認性は得られない。だが、もともと指向性・収束性が高いレーザーゆえに、多少講演者の立ち位置が変わった程度では光点のサイズはほとんど変わらない。
また、日本人男性の場合は、赤を判別しづらい人も5%程度いると言われる。そのような人にとって、現在広く利用されている赤いレーザーポインタは非常に見えにくい。
さらに広い会場や、天井の高さに制限がある会場では、スクリーンを複数利用することもある。聴衆は自分の見やすいスクリーンを見ればいいが、レーザーポインタの光点が表示されるスクリーンはそのうちの1つだけだ。それ以外のスクリーンを見ていた聴衆はプレゼンターがレーザーポインタを使っていることすら気づかなかったり、気づいたときにはすでに遅く、どこのことを話していたのか考えているうちに次のスライドに移ってしまって、置いてけぼりになることもある。
レーザーポインタの場合はスクリーンを向いて操作しなくてはならず、時として体をねじってポイントすることもある。そのときに、どこを指しているのか、講演者自身がスクリーンを見て確認しなければならないのも難点だ。聴衆に背を向けてしまうと意識も資料主体になってしまい、講演者の話が従になってしまいかねない。
これらの問題を解決するのが、レーザーを使用しない新世代のプレゼン用ポインタ「ロジクールSpotlightプレゼンテーションリモート」(以下、Spotlight)だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.