自作は面倒だけど良質なRyzen 7搭載マシンが欲しい! 「G-Master Spear X370A」実力検証(1/3 ページ)

» 2017年04月25日 06時00分 公開
ココが「○」
・高性能Ryzen 7を自作の手間なくゲット
・パーツの相性に悩むこともない
・拡張性の高いケースや高容量電源
ココが「×」
・高負荷時は動作音がやや大きくなる

「Intelと互角なRyzen 7」を採用したBTOゲーミングPCが登場

 サイコムのカスタムPC、特にRyzen 7を搭載するPCは、ミドルタワー(Radiant GZ)から、ゲーミング(G-Master)、静音(Silent-Master Pro)まで、一挙3シリーズが登場した。


 ここでレビューする「G-Master Spear X370A」は、製品名の通りゲーミングモデルだ。標準構成ではRyzen 7 1700にGeForce GTX 1060グラフィックスカードを組み合わせており、人気のタイトルをフルHDで、標準〜高画質設定で楽しめるパフォーマンスレンジに位置する。そしてもちろん、カスタマイズによってより高いパフォーマンスを目指すこともできる。

 サイコムの特徴は、BTOメーカーでありながら、標準構成でも価格、性能、静音性などでバランスのとれたPCを提示している点だ。他メーカーのように、価格を訴求する最も低価格な構成を提示しているわけではないし、過剰なスペックを提示しているわけでもない。

 だから、まずこの標準構成を選べば「ゲーミングPC」として間違いのないスペックが入手できる。さらにより高性能を求めるならばハイエンドパーツを、ちょっと予算が届かなかったらスペックを引き下げる方向のオプションもあるほか、手元のパーツを使い回すのであれば一部のパーツに関しては「なし」も選べる。

 例えば、G-Master Spear X370Aでいえば、CPUの選択肢はRyzen 7 1800Xまで、グラフィックスカードもGeForce GTX 1080 TiやTITAN Xまで、ストレージならM.2のNVMe対応SSDが組み合わせられるので、標準構成ではフルHD標準画質狙いのPCが、最強構成では4K高画質狙いのPCへと変わる。ここがサイコムのBTOパソコンの強みだ。

 また、標準構成の中でもこだわる部分には徹底的にこだわっているのがもう1つの見どころだ。ゲーミングPCでポイントとなるのは、ハイエンド構成を詰め込むための冷却性能や、ハイエンド構成に十分余裕を持った電源など。こうした点にも注目しながら見ていきたい。

サイコム「G-Master Spear X370A」は、およそIntel CPU搭載モデルの「G-Master Spear Z270」の兄弟モデル。同じCooler MasterのCM690IIIケースをベースとしている

 さて、今回はCPUをRyzen 7 1800Xに、メモリをCrucial BLS2K16G4D240FSB(DDR4-2400、16GB×2)に、ストレージを東芝製SSD「THNSN9480GESG」に、ほかケースの側面板をクリアタイプに、ケースオプションのLEDテープを追加した構成の評価機を入手した。これでサイト上の見積もりを使って計算すると、21万6950円(別途送料1500円)になる。

注目はケースと電源のゲーミングPCらしいチョイス

 評価機に採用されているケースは、Cooler Masterのミドルタワーモデル「CM690III」だ。通気性のよい前面メッシュ構造に、前面下部には大口径の20cm径ファンを、背面に12cm角ファンを搭載しており、さらに天板や底面、側面板にもファンを追加できる冷却性能特化型の製品である。

本体前面/背面

 天板部は240mmサイズの簡易水冷ラジエーターも搭載可能。このようにカスタマイズ性に優れた製品で、もちろんBTOオプションでもファンの追加やクリアサイドパネルへの変更に対応しており、ほか120mmサイズとなるが簡易水冷ラジエータのオプションも用意されている。

本体側面。評価機はクリアサイドパネルに変更している

 さらに内部を見ると、5インチベイ×3、3.5インチシャドーベイ×7、2.5インチシャドーベイは3.5インチとの共用×7にプラスして3基搭載できるなど、ストレージの収容力もかなり高い。BTOオプションではセカンダリーストレージまで搭載でき、3基以上の搭載はユーザーが行なうことになるが、トレイ式の3.5インチシャドーベイなのでメンテナンス性もまずまずだ。ケースのサイズは230(幅)×502(奥行き)×507(高さ)mm。ミドルタワーとしては標準的なところで、主に床置きで運用するスタイルになるだろう。

3.5インチシャドーベイはトレイ式

 ちなみに、評価機では赤色LEDテープを用いた電飾も印象的だった。こちらは変更価格が2450円。ちょっとした価格で雰囲気を変えられるので、予算が余った時に検討してみたい。

 電源は標準構成でも採用されているCooler Masterの「V750 Semi-Modular」。製品名の通り出力が750Wのセミプラグイン方式のモデルだ。80PLUS Gold認証でAC−DC変換の効率も高い。ノイズを抑えた設計も特徴で、CPUやGPUに高負荷のかかるゲーミング用途でも安心感が高い。

電源ユニットにはCooler Masterの「V750 Semi-Modular」を搭載

 なお、標準構成のRyzen 7 1700にGeForce GTX 1060カードという組み合わせであれば750Wの50%も使うかどうかというところだろう。かなり余裕をもった出力なので、購入後のパーツ追加や換装などでの対応力も高い。つまり、購入してから2年3年経てば、より強力なグラフィックスカードが登場しているはずだが、そうした製品に載せ替えることで、長く愛着をもって使い続けることができるわけだ。

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