自作は面倒だけど良質なRyzen 7搭載マシンが欲しい! 「G-Master Spear X370A」実力検証(2/3 ページ)

» 2017年04月25日 06時00分 公開

CPUクーラーは高性能な市販モデルを採用

 CPUは前述の通りRyzen 7 1800Xが搭載されている。Ryzen 7の最初のラインアップの最上位モデルだ。8コア/16スレッドに対応したCPUで、これまでなら4コア程度がメインストリームだったところ、一気に倍のCPUコアを詰め込み、パフォーマンスレンジを引き上げた。動作クロックもベースが3.6GHz、ブースト時が4GHzと高めの設定だ。

 なお、執筆時点ではRyzen 7の3製品すべてが選択可能だ。Ryzen 7は最エントリーの1700でもCore i7-7700対抗、1800や1800XはLGA2011-v3版Core i7対抗の製品でハイエンド寄りの構成になる。コストパフォーマンスのよいゲーミングPCが欲しい方は、Core i5対抗となるRyzen 5を選択するといい。


 CPUクーラーは、標準構成でリテールクーラーではなくMSI「CORE FROZR L」が採用されている。当然、冷却性能も静音性もリテールクーラーを大きく上回り、前述したサイコムのゲーミングPCへのこだわりを強く感じられる部分である。

 構造としてはシングルタワーのサイドフロー型でシングルファン。市販のCPUクーラーとしてはスタンダードなスペックだが、MSIが同社のグラフィックスカード用クーラー「TWIN FROZR」で培ってきた技術をCPUクーラーに還元したもので、静音性と冷却性能の高さが魅力だ。また、ヒートシンクのトップカバーには同社のGamingエンブレムがアクセントとなっており、クリアサイドパネルのケースと合わせた際の「見た目」がよい。合わせてLEDを搭載しており発光も楽しめる。

CPUクーラーはMSI「CORE FROZR L」

 メモリはヒートシンクを搭載したDDR4-2400メモリのCrucial Ballistix「BLS2K16G4D240FSB」が搭載されていた。容量は32GBで16GB×2枚の構成だ。標準構成ではメジャーチップのDDR4-2400の4GB×2枚。G-Master Spear X370Aは64GB構成(DIMM 4枚)を除けばDDR4-2400を採用しており、この点でRyzen 7の8コア構成のパフォーマンスを引き出せる内容だ。

 ご存じの通り、Ryzen 7は現状でサポートされるメモリの枚数や動作クロックの組み合わせが少々難しい。デュアルランクとシングルランクによってDDR4-1866〜2666まで動作クロックが決まってしまう。自作初心者からすると少々判断が難しいところだが、G-Master Spear X370AはBTOパソコンである。サイコムが独自に検証した「間違いのない組み合わせ」だから安心だ。特に発売まもないプラットフォームでBIOSなど最適化がまだ足りない状況では、BTOパソコンを選ぶメリットが大きい。

 マザーボードはG-Master Spear X370Aの製品名の通りAMD X370を搭載するマザーボードになる。標準構成ではASRock「Fatal1ty X370 Gaming K4」で、評価機もこれを搭載していた。このほかにもASUSTeKやMSIのAMD X370搭載マザーボードも選べる。

 一方で、G-Master Spear X370Aの製品名とは矛盾が生じるが、AMD B350搭載マザーボードのオプションも用意されている。2つのチップセットの違いは、実質的にマルチGPU(SLI)に対応するかどうかといった点のみ。自己責任にはなるが、オーバークロックは2つのチップセットのどちらもサポートしているので、IntelのZ270とH270の機能差とは少し異なる。ここを押さえれば、少しコストを抑えられる。

 Fatal1ty X370 Gaming K4は、ASRockのAMD X370マザーボードとしては現状3モデル中では下位にあたるが、スタンダードゲーミングマザーのグレードになる。LED電飾はもちろん、オーディオ機能などゲーミング用途を意識した製品だ。CPU電源回路も、安定性を重視して12フェーズのデジタルPWM回路というリッチな構成。Ryzen 7ではグラフィックスカードの搭載が必須となるため、2本のPCI Express x16スロット(SLIおよびCrossFireに対応)には、スチール製のカバーを設けて、グラフィックスカードの自重によるたわみを防止している。

 このほか、ストレージでは6基のSerial ATA 3.0ポートに、2基のM.2(Gen3 x4+Gen2 x2)を搭載。もちろんBTOオプションとしてM.2 NVMe SSDも用意されている。そしてUSB 3.1 Gen2 Type-Cポートも用意されているので、インタフェースとして見ればIntelチップセットを搭載したマザーボードとほぼ同等のスペックになっている(Optaneには対応しない)。

GeForce GTX 1060を搭載したリファレンスデザインカード

 グラフィックスカードは標準構成と見られるGeForce GTX 1060リファレンスデザインカードが採用されていた。GeForce GTX 1060にはグラフィックスメモリ3GB版と6GB版があるが、標準構成は6GB版だ。十分な容量があるので、フルHDでゲームを楽しむのにちょうどよい。パフォーマンスグレードとしてはミドルレンジとなり、フルHD解像度の場合で、標準〜高画質で十分にゲームを楽しめる。

 評価機に搭載されていたのはManliの製品だが、ここは入荷時期によって変更の可能性はある。リファレンスデザインのため、普段は静かだが高負荷がかかるとやや動作音が大きくなる。合わせてケースが通気性のよいCM690IIIのため動作音も外に漏れやすい。日中であればそこまで気になるほどではないが、帰宅後、夜中にゲーム中の音をより楽しみたいのならば、BTOオプションならオリジナルクーラー搭載モデルを選ぶとよいだろう。

GPU-Zから見たGeForce GTX 1060カード

 ストレージとして搭載されていたのは「THNSN9480GESG」(480GB)だ。ちなみに、標準構成ではCrucialのMX300「CT525MX300SSD1」(525GB)になる。インタフェースはSerial ATA 3.0、フォームファクタは2.5インチなので、ここは共通だ。先に触れたが、BTOではM.2 NVMe SSDやHDDなど、インタフェースやメーカー、容量をかなり柔軟に選ぶことができる。

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