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» 2017年05月16日 06時00分 公開

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10本命アップデート「Fall Creators Update」の気になる中身 (2/3)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

(2)Windows 10のmacOS化が進んでいる?

 2日目の基調講演で個人的に最もひかれたのは「Windows Story Remix」だ。動画などの要素を組み合わせて利用者オリジナルの「ストーリー」、つまり独自に編集したビデオを簡単に作成できる。さまざまなエフェクトや、AIを駆使して特定の人物のみにフォーカスした映像をコンピュータが自動的に再編集できるなど、過去に存在した動画編集ソフトウェアに比べても非常に「インテリジェント」な仕上がりだ。

build2017_11 「Windows Story Remix」には、ストーリー内に登場する特定の人物のみにフォーカスを当てた動画の自動再編集といった機能もある

 動画内の人物を認識するだけでなく、特定のオブジェクトの動きを自動追跡することもできる。サッカーボールにエフェクトを与えた場合に、そのエフェクトがボールの動きに追随するようになる。人物の動きが分かりやすいよう矢印でキャプションを添えると、動画内の動きに合わせてキャプションの位置も動く、といった具合だ。

 さらに、Creators Update以降に追加された3Dデータ編集アプリ「Paint 3D」と連携して作成したオブジェクトを登録可能なサイト「Remix 3D」へと接続して、ここで登録された3Dオブジェクトを素材としても利用できる。

 例えば、「Fireball」のオブジェクトをシュートシーンのボールに重ねておくと、あたかも燃えながら飛んでいくようなシュートが動画上に再現される。シュートのタイミングで爆発のエフェクトを加えると、より派手な演出となる。かつての一般向け動画編集ソフトウェアでは難しかった強力な機能が、クラウド上のAIを使うことで手軽に実現可能になったわけだ。

build2017_12 何の変哲もないゴールキックの動画だが……
build2017_13 「Fireball」の3Dオブジェクト素材を持ってきてボールに重ねることで……
build2017_14 ボールが燃えながら飛んでいく、ド派手なゴール成功シーンとなる

 こうしたリッチな標準アプリをWindowsに標準添付することは、かつてのMicrosoftではあまり考えられなかった。Windows OSという屋台骨を提供する裏方に徹し、むしろサードパーティーやOEMメーカーの活躍する場を積極的に用意していたような印象がある。

 同社がアンチウイルスの市場に進出してWindowsへのソフトウェア提供を開始した際に、同様のソリューションを提供していたサードパーティーらの反発を呼んだように、かつては独占禁止法の観点からも、こうした競合を避けていたのかもしれない。

 しかし昨今、よりリッチで優秀なソフトウェアやハードウェアをファーストパーティーとして積極的に投入し、サードパーティーやOEMの市場を侵食していくというのは、Appleが繰り返してきた手法と言える。

 Appleは過去に「iPhoto」や「iMovie」によって手軽な素材管理やリッチな編集といった環境を提供し、「iWeb」で再配布する手段も用意するなど、プロフェッショナル以外の分野におけるサードパーティーの活躍の余地を「iLife」製品の数々で奪ってきた。現在はWindows 10が、その道をたどりつつある。

 「競合と戦ってユーザーに認めてもらうには、より優秀な製品でなければならない」とばかりにMicrosoftがこうした方針転換を始めたのは、2012年に投入したWindows 8の時代にさかのぼる。スマートフォンやタブレットの台頭に合わせてユーザーインタフェースをタッチ操作向けに大きく変更し、OEMの市場を食う勢いで「Surface」という2in1タイプのハードウェアを投入するなど、自ら新たな市場を開拓する立場となった。

 こうしたWindows 8からのMicrosoftの冒険は苦難の道のりだったが、Windows 7とWindows 8のいいとこ取りをしたWindows 10を2015年に公開してから、3度の大型アップデートを経て、次回の4度目となるFall Creators Updateでは、いよいよ努力が結実しつつあるのではないだろうか。

 とはいえ、MicrosoftがAppleと大きく異なっているのがデバイス戦略だ。AppleはMacからiPhoneまで、全てのデバイスやサービスを自社製品で囲い込むのが基本だが、残念ながらMicrosoftはスマートフォン市場でのプレゼンスが弱く、どうしてもAndroidやiOSとの連携が必要になってくる。

 Project RomeやXamarinはこれを補完するものだが、フロントエンドのデバイスの世界ではAppleほど一貫した操作体験を提供できないという弱みもあり、これは恐らく今後も解決するのに時間がかかるだろう。

 ただし、クラウド方面に関してはAppleに対して秀でており、今後のMicrosoftはどちらかと言えば、「雲の上」がライバルとの主戦場になるだろう。今回のBuild 2017では、同社のクラウド重視傾向がより濃く出ていた。

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