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» 2017年05月16日 06時00分 公開

Windows 10本命アップデート「Fall Creators Update」の気になる中身鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/3 ページ)

毎年恒例となったMicrosoftの開発者会議「Build」。2017年はクラウドとAIへの注力がより鮮明になったが、まずは身近なWindowsの話題から見ていこう。

 米Microsoftは5月10日〜12日(米国時間)、米ワシントン州シアトルにて年次開発者会議の「Build 2017」を開催した。さまざまな技術やサービスの発表を通じて、同社が今後注力していく分野、そして世界的な新しいITトレンドをいち早く知ることができるため、開発者に限らず注目のイベントだ。

 2日目の基調講演では、Windowsの開発責任者であるテリー・マイヤーソン氏が登壇するなど、Windows関連の最新トピックが多数紹介された。ここでは発表内容のポイントを3つに絞って解説していく。

build2017_01 Buildのステージ上で行われた「HoloLens」と「Windows Mixed Reality」対応HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使ったCirque du Soleilによるパフォーマンスアートのデモ

(1)過去2年の集大成を目指す「Windows 10 Fall Creators Update」

 マイヤーソン氏は、これまでRedstone 3(RS3)の開発コード名で呼ばれてきたWindows 10の次期大型アップデートの正式名称が「Fall Creators Update」であることを発表した。

build2017_02 2017年秋のWindows 10大型アップデートはこれまで「Redstone 3(RS3)」と呼ばれていたが、「Fall Creators Update」という正式名称になった

 Windows 10の大規模アップデートが「春(Spring)」と「秋(Fall)」の年2回制に固定されたことを反映しての命名だと思われるが、現行のRedstone 2(RS2)こと「Creators Update(1703)」が当初計画における完成途上版だとすれば、Fall Creators Update(RS3)はその集大成と言える。

 例えば、1年前の「Build 2016」でお披露目された機能や新技術が、ようやく巡り巡ってFall Creators Updateの世代で本格実装が行われるなど、Redstoneシリーズの集大成とすべく開発が進んでいるからだ。

 典型的なものの1つとしては、2016年後半に話題となった新しいデザイン言語の「Project NEON」が挙げられる。PCだけでなく、モバイルからゲーム機、HoloLens、Windows Mixed Realityまで、新しい世代のデバイスでも共通で使いやすいデザインを策定すべく準備が進められていたものだ。

 Creators Updateでも既に一部アプリへの実装が進んで確認できるが、今回はこの名称が正式に「Microsoft Fluent Design System」と発表され、多くのアプリ開発者も巻き込んでWindowsの標準UIとなるべく大きく動きつつある。特徴としては、UIの「奥行き」や、情報を視覚化する「モーション」、そして「質感」と、3Dや仮想現実(VR)の世界を意識した要素が新たに加わった。

build2017_03 Project NEON改め「Microsoft Fluent Design System」では、5つの要素でUIをより拡張していく
build2017_04 例えばUIには「奥行き」があり、これまでの単純なウィンドウシステムにはない情報を知覚できる

 また、今日のスマートデバイスを活用した作業においては、デスク上のPCだけでなく、場合によってはタブレットでレイアウトを確認したり、あるいはスマートフォンを持って外出して出先で情報をチェックしたりと、デバイスが中心ではなく、人やコンテンツを中心に進むことが多い。

 こうしたアクティビティーや作業途中のファイルなど、デバイスやアプリケーション間でスムーズな受け渡しを可能にすべく、「Microsoft Graph」を使ってクラウド上で引き継ぎを行う仕組みが提供される。

 さらに「OneDrive Files On-Demand」という仕組みを使えば、例えば作業中のファイルをデスクトップ上に置きっ放しにして外出したとしても、OneDriveを介して適時サルベージが可能になる。

 こうしたデバイス間でのファイル利用状況も適時アップデートされ、保存場所を意識せずに済むというのは、DOS時代から綿々と受け継がれてきたファイルシステムの「くびき」からようやく解放されつつあることを示しているのかもしれない。

 このほか、作業したファイルを時系列で一覧表示させる「Time Line」機能も用意される。

build2017_05 作業ファイルを時系列で俯瞰できる「Time Line」

 これらデバイス間の連携はWindowsだけでなく、今日スマートデバイスの世界で同OSをしのぐシェアを誇るAndroidとiOSとの間でも利用できる。

 例えば、Windows 10のNewsアプリで記事を途中まで閲覧した状態で外出した場合、手持ちのiPhoneにインストールした音声対応アシスタントの「Cortana」がそれを通知してくれて、読み途中の状態から購読を再開できる。

 また、クラウド上にクリップボードを展開することで、例えばAndroidにMicrosoftのSwiftkeyキーボードを導入している場合など、デバイス間をまたいでクリップボード履歴から長文のコピー&ペーストが可能になるため、わざわざフレーズを再入力して検索作業を行う必要はない。

 この仕組みは「Project Rome」としてBuild 2016で発表されたもので、1年以上の月日を経てようやく形になってきた印象だ。ただ、Project Romeは対応アプリにSDKを導入するというハードルがあり、これがどれだけ便利に利用できるかはサードパーティーの意向次第と言える。当面はMicrosoft純正アプリをより便利に使う機能にとどまることになるだろう。

build2017_06 Windows 10で開いた記事を読み途中のまま「iPhone」を持って外出したところ……
build2017_07 iPhoneにインストールした「Cortana」アプリを介して、読み途中の記事があることが通知され、実際に購読再開が可能となる
build2017_08 クラウドのクリップボードを使うことで、デバイス間をまたいでのコピー&ペーストが容易になる。使い方次第ではメモ代わりになりそうだ
build2017_09 「Project Rome SDK for iOS」の提供開始が発表。Romeの便利さは全て対応アプリの数にかかってくる。仕組みとして定着するかどうか気になるところだ

 前回のBuild 2016で大きな話題となったものには、「Windows Subsystem for Linux(WSL)」もある。Linuxアプリケーション上のシステムコールをWindowsに直結させるサブシステムを用意することで、例えば「Bash」を利用できたり、ELFバイナリをWindows上で直接動作させられたりする。

 2016年8月に配信開始のRedstone 1(RS1)こと「Anniversary Update(1607)」以降に正式サポートされ、少々特殊な手順を踏むことでUbuntuがWindows上で動作させられるようになったが、今回の発表ではUbuntuの導入がWindowsストアを通じて可能になった。さらに、SUSEやFedoraもWSLに対応し、やはりWindowsストア経由で導入できる。

 PowerShellなどが利用できない「Windows 10 S」対策の一環と思われるが、Xamarinを含めてあらゆる種類のデベロッパーをWindows上でフォローしていく姿勢がより明確になりつつある。

build2017_10 WSLではUbuntuだけでなく、SUSEやFedoraも利用可能になっている
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