Windows 10の大型アップデート「Creators Update」が2017年4月11日に配信されたばかりのタイミングだが、Windows 10およびOfficeについて今後のアップデートサイクルとサポート期間が変更となった。ユーザー全般に影響する内容なので順に紹介しよう。
まずはOfficeから。米Microsoftは「Office 365 ProPlus(以下、ProPlus)」に関するポリシーの変更を4月20日(現地時間)に通知した。
ProPlusはOffice 365サブスクリプションの1つ。従来はパッケージやバンドル形式で販売され、デバイスごとに結び付けられていたWord、Excel、PowerPointといった生産性ソフトウェアのライセンスをアカウント単位で管理しており、必要に応じて適時別のデバイスに移管させることも可能だ。
そして最大の特徴は、サブスクリプション契約期間中は常に最新版のOfficeを利用できることにある。従来は企業向けのボリュームライセンスに限定されていたOfficeのアップグレードが、ProPlusを通じて多くのユーザーも利用できるのだ。
今回のProPlusにおけるポリシー変更の1つは、アップデートサイクルとサポート期間に関するものだ。従来は1年間に3回だったOffice製品の機能アップデートの回数を減らし、3月と9月の年2回のサイクルとした。また、ProPlusで提供される製品のサポート期間を12カ月から18カ月へと延長している。
ちなみに、Windows 10以降に適用された企業向け最適化モデル(Current Branch for Business:CBB)の考え方にのっとれば、Microsoftが提供するソフトウェアのサポート期間は提供から1年(12カ月)以内で、1年を越えて継続サポートを受けるには次のアップデートを適用する必要がある。
そのため、アップデートが提供される周期にもよるが、このサイクルを維持するには少なくとも年1〜2回のアップデート作業が必要であり、企業ユーザーのように多くのクライアントPCにアップデートを適用する環境の場合、その負担は少なくなかった。
しかし、今回の変更でアップデートの時期と回数が定められ、サポート期限が18カ月へと延長されたことで、さらに半年、つまり1回分だけアップデートをスキップしても問題がなくなるのは、多くの企業ユーザーにとって朗報だろう。
Microsoftによれば、このポリシー変更は、年に1回または2回、どのタイミングでアップデートするかを企業のIT管理者に選択させることを可能にするものだという。
一方、もう1つのポリシー変更は、企業のOfficeソフトウェアの利用形態によっては大きなインパクトをもたらす可能性がある。
それはOffice 365サービスの利用に関して、2020年10月13日以降は、Office 365 ProPlusまたはOffice Perpetual……つまりパッケージやバンドル販売で提供される特定PCへの永続ライセンス付与型Officeのメインストリームサポートが必須となることだ。
これだけだと意味不明かもしれないが、「Office 2016のメインストリームサポートが2020年10月13日に終了する」と言えばお分かりだろうか。つまり、2020年10月13日に「Office 2016」のメインストリームサポートが終了した段階で、同製品を含む「Office 2010」や「Office 2013」といった旧製品からOffice 365のOutlookやOneDrive for Business、Skype for Business(Lync)といったサービスへの接続や利用が行えなくなる。
Office 365のこうしたサービスを継続利用する場合、2020年以降も有効なProPlusのサブスクリプションを契約するか、あるいはOffice 2016より後にリリースされる永続ライセンスが付与されるOffice製品のバンドル版またはパッケージ版を導入することが必要だ。もちろん、企業向けボリュームライセンス契約期間であれば問題なく継続利用できる。
しかし日本の場合、企業ユーザーであってもボリュームライセンスやOffice 365以外のルートで入手したOfficeライセンスを運用しているケースが比較的多いという話もある。ユーザーによってはこの機会に、一度ライセンス状況について見直した方がよいかもしれない。
今回の変更は、将来的にパッケージ版やバンドル版ユーザーをOffice 365へと誘導するための施策だと考えられる。
なお、Microsoft Officeについては、間もなく幾つかの大きなアップデートが発表されるとのうわさがある。
それは、Office 365におけるサブスクリプションの購入や更新が、Windowsストア経由で可能になるという話だ。Microsoft関連のリーク情報で知られるTwitterアカウントのWalkingCatによれば、WindowsストアにOffice製品各種が既に登録されている。これを基にMSPoweruserがアプリストアにアクセスしてみたところ、「Lunch」というアプリで「月額9.99ドル」という価格が表示されているのが確認できたという。
これは「Office 365 Home」の料金体系と同じであり、検索で発見されないよう名前が偽装されたアプリがストア上に登録されてはいるものの、実質的にOffice 365のサブスクリプション購入が可能になっているようだ。WalkingCatが報告しているように、WordやExcelなどOffice 365の名称ではないアプリも「Sandwich」や「Soup」などの偽名で登録されている。
Neowinの報告によれば、これらのアプリは既に利用不可になってはいるものの、Desktop App Converter(Project Centennial)を使ってデスクトップアプリ版OfficeをUWP(Universal Windows Platform)アプリへ変換したものという。
つまり、デスクトップアプリではあるものの、Windowsストアで配布するためにUWPに変換されたというわけだ。前述したOffice 365サブスクリプション購入の話題と合わせ、5月2日(現地時間)に米ニューヨークで開催される教育分野向け説明会で、何らかの発表がある可能性が高い。
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