3万円台で6コア/12スレッドCPUが買える時代 Ryzen 5の実力は?(4/4 ページ)

» 2017年05月25日 17時30分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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消費電力

 最後に消費電力。AMDからRyzen向けに最適化された電力設定がリリースされているが、この検証では性能を見るためにベンチマーク時は「高パフォーマンス」を、アイドル時の計測には「バランス」を用いている。


 プラットフォームの違い、そしてRyzen 7と5についてもマザーボードが異なるために必ずしも平等な環境での数値ではないが、アイドル時に関しては、まだRyzenのほうがやや高いようだ。ただし、およそ10Wであり、明らかに消費電力が大きかった以前のFXシリーズのようなCPUと比べれば扱いやすい。CINEBENCH R15実行中の最大値でも、やはりRyzenはTDPの数値以上に消費電力が大きいように見える。

 とはいえ、TDP 65Wの3モデルについてはまずまず我慢できる範囲だ。3DMark実行中の最大値については、今回グラフィックスカードがOCモデルのクロックを定格に調整しているため、ここが大きかった可能性もある。現行のRX 480カードの多くがOCモデルということでおよそ300W程度、電源としては600W級のものを用意すれば十分といった目安にはなるだろう。

6C/12Tの1600Xは価格性能比の1つの答えかもしれない

 ここまでRyzen 5 1600Xおよび1500Xを用いて検証してきたが、レンダリングやエンコードなどの用途では、性能では8C/16TのRyzen 7が引き離すものの、6C/12Tで価格性能比のバランスのよいRyzen 5 1600Xもなかなか捨てがたい。一方で4C/8TのRyzen 5 1500Xに関しては別の用途で活用したい印象がある。

 別の用途という点で、ゲーミングパフォーマンスを見れば、Ryzen 5 1500Xも、より高クロックの1600Xやよりスレッド数の多い1700や1800Xと比べると若干劣るところはあれど、実際のゲームではそこまで大きくは離されない。コストパフォーマンスのよいゲーミングPCを狙うのであれば、1500Xも魅力的と言えるのではないだろうか。CPUで抑えた予算を、グラフィックスカードに割り当てるといったプランもありだ。

 価格については、まだRyzen 5自体、発売間もないためにCore i5と比べて高価であり、Ryzen 5 1600XについてはCore i7-7700Kとさほど変わらない印象もある。もっとも、ベンチマークで見る限りは、Core i7-7700Kにも太刀打ちできているので、そのあたりは予算とCPU意外のパーツの魅力で検討したいところだ。

 チップセットで言えば、X370でもB350でも、A320でもよいのだが、X370を狙うならOCやマルチGPU環境も視野に、B350を選ぶならOCも可能なシングルGPUゲーミングPC、A320なら徹底的にコスト重視のPCなどを構想してみればよいだろう。ほか、Ryzenの場合はOCメモリを選択することが想定されるので、そこがコスト増の要因になるので、予算を組む場合はここを忘れずに。検証した中での印象では、Ryzen 5 1600XをベースにB350マザーボードと、ミドルレンジ〜ハイエンドGPUという組み合わせが、万能かつコスパのよいPCになるのではないかと思う。

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