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Windows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update」が当初と少し違う姿になる可能性鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2017年07月14日 14時00分 公開

 2017年9月から10月の配信開始が見込まれるWindows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」。年2回に固定された大型アップデートの配信タイミングを守るべく、Microsoftは開発を進めているが、当初の予定とは異なる部分も出てきたようだ。7月初旬の段階で判明した変更点について、その幾つかをピックアップして紹介する。

Windows 10 Windows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update」は2017年9月から10月に配信される見込み

OneDriveフォルダのNTFS縛りとOn-Demand対応

 まずは「OneDrive」フォルダに関する仕様変更だ。

 Windows 10ではOneDriveアプリが標準搭載されているが、利用開始にあたってMicrosoftアカウントの入力と、PCのローカルストレージ内に作成する「OneDriveフォルダ」の場所をユーザーに求めてくる。OneDriveフォルダは、デフォルトではユーザーアカウントの直下に「OneDrive」の名称で作成されるが、変更することも可能だ。

 ただし直近のOneDriveのポリシー変更により、このフォルダを作成する場所が「NTFSでフォーマットされた状態」であることが求められるようになった。これを受けて、RedditやMicrosoftのユーザーフォーラムでは戸惑いの声が上がっている。

Windows 10 Windows 10の標準機能であるOneDriveアプリで同期先を設定する

 通常、Windows本体が動作するストレージはNTFSでフォーマットされているが、何らかの理由で外付けストレージをFATで運用していたり、USBメモリやSDメモリーカードのようなメディアにOneDriveフォルダを作成していたりするユーザーも少なくないだろう。

 特にMicrosoftがWindows 8.1時代にOEM供給していた低価格PCやタブレットでは、本体のストレージサイズが32GBや64GBと非常に小さい製品もあり、事実上オフラインキャッシュとして動作するOneDriveフォルダには大量のデータが保存されている可能性が高い。そのため、少しでもシステム領域の空き容量を増やしたいならば、外部ストレージにデータを保存したいと思うかもしれない。

 しかし、OneDriveのポリシー変更により、NTFS以外でフォーマットされた領域をOneDriveフォルダに指定しようとすると、エラーメッセージが表示されてしまう。FATに限らず、ReFSのような比較的新しいファイルシステムでもエラーが発生すると報告されている。

Windows 10 NTFS以外のフォーマットのドライブ(例えばUSBメモリ)などを指定するとエラーが出る

 この件に関して、Microsoftは各メディアに対して同一の声明を発表している。OneDriveとローカルフォルダとの同期機能を最適な形で提供するためにはNTFSが必要であり、これが標準仕様であって警告メッセージが表示されないことがミスだったため、直ちに修正したという。

 Fall Creators UpdateではOneDriveの旧機能であるPlaceholdersがFiles On-Demandとして復活する予定(既にWindows 10 Insider Previewでは利用可能)で、この切り替えに伴うポリシー変更ではないかとう推測もあったが、Microsoftはこれを否定している。

 ちなみにFiles On-Demandとは、OneDriveのクラウドに保存したファイルを必要に応じてダウンロードして利用できる機能だ。ローカルにファイル本体を保存しないでクラウドに置いておき、必要なときだけダウンロードする仕組みなので、ローカルストレージの容量を抑えられる利点がある。Windows 8.1では同様の機能(Placeholders)を備えていたが、Windows 10では同期フォルダの選択が可能になった一方で、この機能が省かれており、ローカルストレージを圧迫する要因と指摘されていた。

 いずれにせよ、OneDriveにNTFS縛りができたということで、前述のようなUSBメモリやSDメモリーカードを使って内蔵ストレージの空き容量を稼ぐ使い方をしているユーザーの場合、当面はOneDriveフォルダの同期を利用しない方がいいかもしれない。

タイムラインやクラウドクリップボードはおあずけ?

 次は、5月に開催された開発者向けイベント「Build 2017」でデモストレーションが行われたFall Creators Updateの新機能「タイムライン(Timeline)」が、同アップデートの配信開始に間に合いそうもないという話題だ。

 タイムラインとは、過去に作業したファイル群を時系列で表示することで、検索やフォルダによる区分け以外の方法でファイルにたどり着く方法を提供する機能だ。最大の特徴はデバイス間の同期にあり、同じアカウントで作業したファイルであれば、たとえ異なるデバイスであっても目的のものに到達できる。

Windows 10 作業ファイルを時系列で俯瞰できる新機能「タイムライン(Time Line)」

 クラウドを介してデバイス間でファイルが同期するという、クラウド機能の強化を目指す昨今のMicrosoftを象徴する機能ではあるが、少なくともFall Creators Updateの時点では搭載が間に合わず、Windows Insider Program参加者には同アップデートに続くInsider Previewの形で先行リリースが行われることになるという。

 米The Vergeのトム・ウォーレン氏のTwitterでの投稿に対し、米Microsoftのジョー・ベルフィオーレ氏がコメントしている。

 またベルフィオーレ氏によれば、優先順位の問題でまずクラウドでのファイル同期機能が実装され、続いてタイムラインと「クラウドクリップボード」の機能が実装される。

 つまり、タイムラインだけでなくクラウドクリップボードもFall Creators Updateには間に合わない可能性が高い。同OSでの目玉機能の2つが今秋のタイミングでは一般ユーザーに提供されないことになりそうだ。提供時期についてベルフィオーレ氏は「Fall Creators Updateが提供されてすぐ後」とコメントしている。

Windows 10 「クラウドクリップボード」機能が搭載されれば、デバイス間をまたいでのコピー&ペーストが容易になる。ペースト先がWindowsでなくても、例えばAndroidにMicrosoftのSwiftkeyキーボードを導入している場合などでは、コピー&ペーストが利用可能だ

 一方で、現行のCreators Updateのタイミングでは搭載が見送られた「My People」は、Fall Creators Updateには無事実装される見込みで、全体に作業が遅延している様子がうかがえる(My Peopleの初出は2016年10月のMicrosoft製品発表イベントだった)。

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