Ryzen 3は性能でもコスパでもCore i3と真っ向勝負(3/3 ページ)

» 2017年07月31日 14時50分 公開
[石川ひさよしITmedia]
前のページへ 1|2|3       

グラフィックスベンチマークへの影響は

 3DMarkのスコアを見ると、同一GPUでは、基本的にGraphicsスコアはほぼ同じで、CPU、Physics、Combined(GPU性能が飽和したFire Strike時のみ差が付いている)というCPUが関わるテストでのみ差がついていることが分かる。

 CPUが絡むテストで見ると、Ryzen 3 1300XはCore i3-7350Kよりも高く、Ryzen 3 1200はCore i3-7350Kとほぼ同等だ。Graphicsテストについては、厳密に見ればCore i3-7350Kが少しだけ高いスコアを出す傾向が見られる。ここはシステム周りの性能差がついたと言えるだろう。

3DMark Time Spy

3DMark Fire Strike Ultra

3DMark Fire Strike

 Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsを見ると、3840×2160ピクセルについてはさほど大きな違いはなく、フレームレートで1.5fps差に収まっている。GPU側の限界がフレームレートに現れると言える。

 一方、GPU負荷がそこまでではない1920×1080ピクセルではCPU毎のフレームレートの違いも大きくなる。最も高いフレームレートを出したのはRyzen 5 1600Xであり、これに続くのはギリギリでRyzen 3 1300Xだが、実質的にCore i3-7350Kと同じ程度だ。ただし、ここまでの3つの製品のフレームレートの差は2fps程度だ。Ryzen 3 1200のみ、どうも力不足という印象がある。この要因はクロックの低さだろうか。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(フレームレート)

 同時に結果が出るCPU使用率(平均)では、3840×2160ピクセル側は多少荒れるが、フレームレートで差が出た1920×1080ピクセルで見ると、Ryzen 3とCore i3-7350Kが同じ程度だ。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(CPU使用率)

 Rise of the Tomb Raiderも、3840×2160ピクセルに関しては先にGPU側の限界がくるため、性能差が出るのは1920×1080ピクセルだ。最もフレームレートが高かったのはCore i3-7350Kで、かなり大きな差が付いているので、これはアーキテクチャの違いが影響していると考えられる。Ryzen 5がここまで低かったことも気になる。クロックではRyzen 3 1300Xよりも高いため、SMTやより大きなL3キャッシュが悪い方向に働いたと考えるほかない。

Rise of the Tomb Raider

 消費電力は、アイドル時は4製品さほど変わらず、高負荷時はTDPが95WのRyzen 5 1600Xのみ高いが、ほか60W台の3製品は120W前後で落ち着いている。マザーボードが異なるため、厳密に同じ条件ではないが、Core i3-7350Kと同じ程度であることは安心材料と言えるだろう。

Core i3とがっぷり四つ。GPU非統合なぶんコスト計算は念入りに!

 ベンチマークを振り返ると、得手不得手はあるもののRyzen 3 1300XはCore i3と概ね同程度のパフォーマンスを示し、消費電力でも同程度に収まっている。この2点を指標とするならば、あとは好みでプラットフォームを選べばよいのではないだろうか。

 販売が始まった秋葉原のショップではRyzen 3 1300Xが1万8000円弱、1200が1万5000円弱(税込み)。Core i3に当てはめると、ミドル〜ローエンドに合わせた価格と言える。Core i3の最上位である7350Kが1万9000円前後なので、この点では魅力的だ。

 ただし、Ryzenにはグラフィックスカードのコストがかかり、Core i3-7350Kに限ればCPUクーラーのコストがかかる。こうした理由で最小限のグラフィックス機能でよい場合でも両者同じようなトータルコストになるだろう。比較的高性能なグラフィックスカードを搭載する前提ならば、Ryzen 3のほうが間違いなく低コストだ。マザーボードやメモリ等、そのほかのパーツを、魅力やコストの面で検討し、Ryzen 3とCore i3のどちらを選ぶか決めればいい。

 1つ注意点を挙げるならば、Ryzen 3はスモールフォームファクタ(SFF)向きの製品ではない。グラフィックスカードが必須であるためだ。1スロットのロープロファイルカードを選べばブックサイズPCまでは小型化できるが、Core i3とMini-STXケースのようなさらに一回り小さなPCは構築できない。そうしたニーズは、同じ4コアと言われているRyzen APUを待つのがよいだろう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. ついに8K対応した「Insta360 X4」の画質をX3と1インチ360度版で比較 今買うべき全天球カメラだと確信した (2024年04月16日)
  2. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  3. 「JBL GO 4」でBluetoothスピーカーデビュー! 累計出荷台数5700万台を突破した人気製品の最新モデルを試す (2024年04月17日)
  4. SwitchBotのミニプラグに不具合 「断続的にオン/オフを繰り返す、異音」などで該当製品の交換を呼びかけ (2024年04月17日)
  5. AI対応でCore Ultraよりも高いパフォーマンスをアピール! 企業PC向け「Ryzen PRO 8000シリーズ」登場 (2024年04月16日)
  6. Synology「BeeStation」はNASより便利な一面も 家族の“秘密”も守れるストレージ、共有リンクや写真管理もある (2024年04月16日)
  7. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  8. 「ASUS ZenScreen MB16QHG」は従来モデルの弱点を解消した高評価の16型モバイルディスプレイだ (2024年04月16日)
  9. 無線LANルーター「Aterm」シリーズの一部に複数の脆弱性 設定変更や買い替えをアナウンス (2024年04月11日)
  10. NVIDIA、Ampereアーキテクチャを採用したシングルスロット設計のデスクトップ向けGPU「NVIDIA RTX A400/A1000」を発表 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー