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格安SIMで自宅ネット回線がまかなえるWi-Fiルーター「Aterm HT100LN」を試してみた(1/2 ページ)

» 2017年08月31日 06時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

 自宅や事務所からインターネットに接続していて、光回線やCATV回線の工事、あるいはトラブルなどで、一時的にインターネットに接続できなくなることがある。予告もなく急に接続ができなくなった場合、また予告があっても回線ダウンの時間が長引けば、作業に支障が及ぶことが必至だ。自宅で仕事をしているフリーランスや、SOHOの事業者にとっては死活問題と言っていいだろう。

 だからといって日ごろからメインとサブ、2つの回線を契約しておき、いざというときに対応できるようにしておくのは、コスト的にかなり厳しい。もちろん、手持ちのスマートフォンやタブレットでテザリングを行ったり、LTE搭載ノートPCを使ったりすれば、簡単な作業はこなせるだろうが、デスクトップPCやNAS、さらには増えつつあるIoTデバイスなど、複数の機器がインターネットへのアクセスを必要としている場合は困りものだ。

 こうした場合の1つの解になりそうなのが、NECプラットフォームズから2017年8月に発売されたSIMロックフリーのWi-Fiルーター「Aterm HT100LN」だ。今回はこの製品の概要と使い方を紹介していこう。

HT100LN NECプラットフォームズ「Aterm HT100LN」

SIMカードと組み合わせて工事不要のサブ回線を実現

 Aterm HT100LNを分かりやすく紹介するならば、SIMカードと組み合わせて使うWi-Fiルーターということになる。一般的な家庭用Wi-Fiルーターは光回線やCATV回線を経由してインターネットに接続するが、この製品はSIMカードを使ってLTE経由でインターネットに接続する。

 つまり本製品を手元に用意しておけば、自宅の回線がダウンしたときに、手持ちのスマホから格安SIMのSIMカードを抜いて本製品に差し替え、インターネットに接続できるというわけだ。それならテザリングと変わらないのでは? と思うかもしれないが、本製品は有線ポートも搭載しているので、現在使用中のネットワークを丸ごとつなぎ替えて使用できるのが大きなメリットだ。

 回線ダウン時のサブ回線としての用途だけでなく、工事が不要なことから、転居などによる契約の切り替えで一時的に回線が利用できない場合の代替回線としても重宝する。またウイルス感染が疑われるネットワークから一部の機器だけを分離して運用したり、業務用のネットワークとは別に小規模なグループを作って外部とのファイルのやりとりはそちらで行ったりと、アイデア1つでさまざまな用途に使える。

 本体はCDやDVDディスクほどのフットプリントで、背面にはWPSボタンの他、有線LANが1ポート搭載されている。壁掛け用の穴も用意されており、小振りな家庭用無線ルーターといった外観だ。

HT100LN 製品本体の他、付属品はACアダプターおよびLANケーブルと、一般的なルーターと同様だ
HT100LN 製品はおおむねCD-ROMと同じサイズ
HT100LN 裏面。壁掛け用の穴が見える。右下に見えるポートはメンテナンス用とのことで使用できない
HT100LN 左側面にはセキュリティロック用の穴がある。右側面には何もない
HT100LN 背面。WPSボタンと有線LANポート、ACアダプター接続用のDC入力の他、背面上部に沿ったところにnanoSIMスロットがある
HT100LN ケーブルを接続した状態。無線接続のみであればLANケーブルは不要になる

初期設定の方法は一般的な家庭用ルーターと同様

 初期設定の方法をざっと紹介しよう。詳細なフローはスクリーンショットを参照いただきたいが、一般的な家庭用ルーターの初期設定方法とそれほど大きな違いはない。相違点は、プロバイダーの設定を行う代わりに、格安SIMの事業者とプランを選択するくらいだが、格安SIMを使っている人はスマホ側で同様の設定を行ったことがあるはずなので、そう問題にはならないだろう。

 以下はiPhoneから設定を行っているが、PCからの設定ももちろん可能だ。

HT100LN まずはnanoSIMカードを装着する。奥まで差し込むとロックされる
HT100LN ACアダプターを差し込むと、上部のセンターランプおよびステータスランプが点灯する。ちなみに電波が強いときは青、弱いときは緑に変化する
HT100LNHT100LN 今回はiPhoneからの設定手順を紹介する。まずは「Atermらくらく設定アシスト」をインストール(画像=左)。続いてアプリを起動(画像=右)。当然ながらこの時点ではまだ接続数は「0」。「かんたん設定ウィザード」をタップ
HT100LNHT100LN 設定は3つのステップに分かれている。まずは「パスワードの設定」をタップ(画像=左)。adminアカウントのパスワードを設定して保存を実行する(画像=右)
HT100LN 続いて「Wi-Fi設定」をタップ
HT100LN ウィザードに従ってカメラを起動し、製品添付のQRコードを読み取る。製品本体裏面のQRコードではなく、パッケージに封入されているQRコードのシールなので注意
HT100LNHT100LN SSIDとパスワードが表示されるので「設定適用」をタップ(画像=左)。なおパスワードは後から変更しておこう。Safari経由でプロファイルを保存する(画像=右)。スクリーンショットは省略しているが、この前後は画面遷移が多くやや煩雑
HT100LNHT100LN SSIDを確認した後、「OK」をタップしてダイアログを閉じる(画像=左)。最後に「APN設定」をタップ(画像=右)
HT100LNHT100LN プリセットされた中からSIMカードの通信事業者およびプランを選択する(画像=左)。今回は使用するSIMカードに合わせ、mineoのドコモプランを選択して「OK」をタップ。設定完了(画像=右)。接続数が「1」になっていることから正常に接続できたことが分かる。下段の「インターネット接続確認」からも接続の可否を確認できる

 本製品を緊急用途に使うのであれば、光回線やCATV回線がダウンした時点で、まずは手持ちのネットワーク機器を本製品につなぎ替える。続いて手持ちのスマホで使用している格安SIMカードを抜き、本製品と接続する。これにより、接続先を丸ごとLTE回線に切り替えられる。

 もちろん、本製品専用にSIMカードを新しく契約し、常時装着したままにしておいても構わないが、緊急用途で使うのであれば、手持ちのスマホに装着しているSIMカードをそのときだけ移し替える方が現実的だろう。

 ちなみに本製品はMVNO事業者が販売するケースもあるようなので、その場合はプリセットされている通信事業者およびプランを選択するだけでよい。

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