自宅や事務所からインターネットに接続していて、光回線やCATV回線の工事、あるいはトラブルなどで、一時的にインターネットに接続できなくなることがある。予告もなく急に接続ができなくなった場合、また予告があっても回線ダウンの時間が長引けば、作業に支障が及ぶことが必至だ。自宅で仕事をしているフリーランスや、SOHOの事業者にとっては死活問題と言っていいだろう。
だからといって日ごろからメインとサブ、2つの回線を契約しておき、いざというときに対応できるようにしておくのは、コスト的にかなり厳しい。もちろん、手持ちのスマートフォンやタブレットでテザリングを行ったり、LTE搭載ノートPCを使ったりすれば、簡単な作業はこなせるだろうが、デスクトップPCやNAS、さらには増えつつあるIoTデバイスなど、複数の機器がインターネットへのアクセスを必要としている場合は困りものだ。
こうした場合の1つの解になりそうなのが、NECプラットフォームズから2017年8月に発売されたSIMロックフリーのWi-Fiルーター「Aterm HT100LN」だ。今回はこの製品の概要と使い方を紹介していこう。
Aterm HT100LNを分かりやすく紹介するならば、SIMカードと組み合わせて使うWi-Fiルーターということになる。一般的な家庭用Wi-Fiルーターは光回線やCATV回線を経由してインターネットに接続するが、この製品はSIMカードを使ってLTE経由でインターネットに接続する。
つまり本製品を手元に用意しておけば、自宅の回線がダウンしたときに、手持ちのスマホから格安SIMのSIMカードを抜いて本製品に差し替え、インターネットに接続できるというわけだ。それならテザリングと変わらないのでは? と思うかもしれないが、本製品は有線ポートも搭載しているので、現在使用中のネットワークを丸ごとつなぎ替えて使用できるのが大きなメリットだ。
回線ダウン時のサブ回線としての用途だけでなく、工事が不要なことから、転居などによる契約の切り替えで一時的に回線が利用できない場合の代替回線としても重宝する。またウイルス感染が疑われるネットワークから一部の機器だけを分離して運用したり、業務用のネットワークとは別に小規模なグループを作って外部とのファイルのやりとりはそちらで行ったりと、アイデア1つでさまざまな用途に使える。
本体はCDやDVDディスクほどのフットプリントで、背面にはWPSボタンの他、有線LANが1ポート搭載されている。壁掛け用の穴も用意されており、小振りな家庭用無線ルーターといった外観だ。
初期設定の方法をざっと紹介しよう。詳細なフローはスクリーンショットを参照いただきたいが、一般的な家庭用ルーターの初期設定方法とそれほど大きな違いはない。相違点は、プロバイダーの設定を行う代わりに、格安SIMの事業者とプランを選択するくらいだが、格安SIMを使っている人はスマホ側で同様の設定を行ったことがあるはずなので、そう問題にはならないだろう。
以下はiPhoneから設定を行っているが、PCからの設定ももちろん可能だ。
本製品を緊急用途に使うのであれば、光回線やCATV回線がダウンした時点で、まずは手持ちのネットワーク機器を本製品につなぎ替える。続いて手持ちのスマホで使用している格安SIMカードを抜き、本製品と接続する。これにより、接続先を丸ごとLTE回線に切り替えられる。
もちろん、本製品専用にSIMカードを新しく契約し、常時装着したままにしておいても構わないが、緊急用途で使うのであれば、手持ちのスマホに装着しているSIMカードをそのときだけ移し替える方が現実的だろう。
ちなみに本製品はMVNO事業者が販売するケースもあるようなので、その場合はプリセットされている通信事業者およびプランを選択するだけでよい。
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