iPhone 8は本当に保守的すぎるのか Apple Watch Series 3と使って得た結論:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/5 ページ)

» 2017年09月27日 14時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]

「iPhone」の世界をさらに進化させる道2つ

 一方でiPhone 8シリーズに対し、「つまらない」「大して変わっていない」という声があることも理解できる。主食とおかずという話を持ちだしたが、iPhoneをコンピュータと携帯電話の融合と捉えるならば、その基本形は「iPhone 5s」である程度は完成していた。現在も「iPhone SE」が現役で通用するどころか、日本のSIMロックフリー端末市場ではベストセラー製品になっていることが、それを証明している。

iphone iPhoneの新ラインアップ。SIMロックフリー端末市場では、ローエンドに位置するiPhone SEの人気も高い

 Appleはユーザー層の拡大から、iPhoneに2つの異なるディスプレイサイズを与えるようになったが、iPhoneという商品カテゴリーを積極的に変えようとはしていない。従って視点や着目点によっては「大して変わっていない」という指摘も、それほど間違っていない。iPhone 8は、「2017年の技術で再構築した、今までで最もよいiPhone」だからだ。そんなiPhoneを積極的に変えないことは(買い替えスパンはともかく)、繰り返しiPhoneを使っているユーザーにとってはむしろ歓迎すべきことだろう。

 ただ、それでは10年前のコンセプトをひたすら研ぎ澄まし、熟成させていくだけでしかない。「刷新(イノベーション)」からは程遠いと批判されることになろう。iPhone自身がそれまでの常識を刷新し、それが社会に定着したのだから、ある意味当たり前のことなのだが。

 そんなiPhoneの世界観を、2017年のAppleは2つの方向で拡張していくことを、製品をもって示したのではないだろうか。1つは「iPhone X」。全面を覆う有機ELディスプレイや深度情報を検出してモノの形を認識するセンサーを搭載するなど、新たなアプローチを盛り込んでいるが、この製品は従来のiPhoneとは異なる軸での進化を目指す、いわばiPhoneから枝分かれした新シリーズと捉える方がいい。

 解像度が高まったことに加え、画面のアスペクト比が変わり、ボタンの役割変更などで基本的な作法……ユーザーインタフェースも少しばかり変わっている。解像度やアスペクト比の変化はこれまでもあったが、Appleはかなり注意深く移行させてきた。しかし、今回の変更はアプリ開発者にとって、それなりに負担の大きい部分もある。

iphone X ホームボタンおよび指紋認証機能「Touch ID」が省かれ、画面のアスペクト比が変わった「iPhone X」

 2018年以降、iPhone Xがどういう形でアップデートされるのかは分からない。しかし、個人的には次の世代に向けてiPhoneの新しいカタチを模索するのがiPhone X、その年ごと「ど真ん中ストライク」を狙う完成度の高さを狙うのがiPhoneシリーズという区分けになると考えている。

 既存の互換性やアプリケーション開発プラットフォーム、コミュニティーを引き継ぎながら、一方で本当の意味でイノベーティブ(ということは既存製品の在り方に対する否定も含まれよう)な商品を作れるのか。今後、数年をかけて見る必要はあるが、Appleにとって新しいチャレンジの場となっていくだろう。

 そしてもう1つの道として示されているのが、同時に発表されたApple Watch Series 3だ。iPhoneという「スマートフォンによって刷新されたデジタル社会」のど真ん中を狙った商品を中心に、適応範囲を広げていくことで間接的にiPhoneのフィールドを広げていくというやり方である。この見方のスコープを拡大していくと、Apple TV 4Kをはじめとする他Apple製品も、そうした戦略の一部と言えるだろう。

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