連載
» 2017年10月12日 06時00分 公開

Windows 10 Mobileの終わりとMicrosoftの生きる道鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

既に数少ないWindows 10 Mobileユーザーが既に気付いていた、あるいは感づいていながらも認めたくなかったことが、ついに明るみに出た。

 「Windows 10 Mobile」の終わりをようやくMicrosoftが認めるときが来た。かつてWindows Phone 7の時代にMicrosoftのモバイルOS戦略を担う中心人物だったジョー・ベルフィオーレ氏が、TwitterでWindows 10 Mobileの運命についてコメントしたのだ。

Joe Belfiore ジョー・ベルフィオーレ氏。2015年1月にWindows 10のスマートフォン向け機能をデモしたときの様子

Windows 10 Mobileはメンテナンスフェーズへ

 発端となったのは、ユーザーの1人がベルフィオーレ氏に対して「Is it time to leave Windows Mobile platform ?(Windows Mobileプラットフォームを去るべきタイミングか?)」と質問したことだ。これに対し同氏は、ユーザーがどの立場に位置するかを明確にしたうえで、1ユーザーとしてのモバイルに対するスタンスと、Microsoftとしてのスタンスを述べている。

 まず同氏は、現在もなお多くの企業が従業員向けにWindows 10 Mobileベースの端末を展開しており、Microsoftとしてこのサポートを継続していく旨を明言した。

 続いてのツイートでは、1ユーザーとしての自身の立場で、アプリやハードウェアの多様性に合わせて既にWindows 10 Mobileから乗り換えていることを表明した(周辺情報からみてAndroidだと判断される)。Microsoftではこれを支援するための各種ツールを提供しており、ユーザーにとってベストなものを選んでほしいという。

 ツイートの順番は前後するが、既に多くのWindowsならびにOfficeユーザーは単一のエコシステム内に存在しておらず、複数のエコシステムが混ざった環境に存在することも指摘している。実際、Windows PCユーザーであっても、普段の多くの時間はAndroidやiOSといった異なるエコシステムのスマートフォンやタブレットでその時間を過ごしているはずだ。

 筆者もOfficeやOneDriveを含むMicrosoft関連サービスの多くは、WindowsよりもむしろMacやiPhone上で利用していることのが多いため(Windowsは原稿執筆や事務処理よりも各種検証に使うことの方が多い)、この指摘はその通りだと思う。

 そしてここからが本題だ。ベルフィオーレ氏は今後のWindows 10 Mobileについて、バグの修正やセキュリティアップデートが中心で、新機能やそれを搭載したハードウェアの提供にはフォーカスしないと述べている。

 つまり、Windows 10 Mobileは既にメンテナンスフェーズに入っており、既存ユーザーのサポートがその主眼にあるということだ。Web上では、このツイートが実質的な「Windows 10 Mobileの終了宣言」だと受け止められている。

 折しも、最近になってWindows 10 Mobileの最終ハイエンド端末として認識されていた「HP Elite x3」がいよいよ終了するのではないか、との予測が目立ってきていた。

 英The Registerによれば、2017年10月初旬にイタリアのヴェネチアで開催されたCanalys Channels Forumにおいて、HPのEMEA担当であるニック・ラザリディス氏が「Microsoftの戦略変更でサポートが望めない以上、自社の製品戦略もそれに合わせて変更する」とコメントしたことを紹介している。

HP Elite x3 Snapdragon 820を搭載したWindows 10 Mobileスマホ「HP Elite x3」

 具体的にはElite x3のシリーズは幾つかに分岐したうえで、(Windows 10 Mobileではない)新しい製品が近々市場投入されるが、オリジナルの(Windows 10 Mobileを搭載した)Elite x3については2019年までの販売とサポートになるという。

 米ZDNetによれば、HPの公式コメントとして「販売は在庫分に限る」とのことで、新規販売というよりも既存の企業ユーザーなどの継続サポートならびに故障対応に用意しておくストックという意味合いに近い。

 そして、ベルフィオーレ氏が一番説明に苦労しているのがアプリ開発者だ。もともとUWP(Universal Windows Platform)は「PCでもモバイルでもフォームファクターを問わずにアプリが動作する」ことをセールスポイントに開発が推奨されていたものだが、Windows 10 Mobileの脱落はこの前提が崩れたことを意味する。

 UWPもWindows 10のリリースから2年が経過して意味が変化し、「Windowsストアにて流通可能なAPPXでパッケージングされたアプリ」となっており、もはやPC以外で動作しないアプリであってもUWPと呼ぶ状態だ。

UWP 「PCでもモバイルでもフォームファクターを問わずにアプリが動作する」というMicrosoftの理想を形にしたUWP(Universal Windows Platform)は、前提が崩れたことになる

 ここで開発者にとって最も致命的なのは、Windows 10 Mobileをターゲットに開発しても、潜在的なユーザー数が少なすぎて有料・無料を問わずにマネタイズやコストの回収が難しい状態であり、既にモチベーションを維持できなくなっていることだ。

 最近になり、Windows Phone(またはWindows Mobile)向けに提供されていたアプリの配信が終了したり、PC向けのUWPに統合されたりという事例が相次いでいる。少なくともアプリ開発者側では、こうした事態を予想していたのだろう。

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