LF-S50Gの特徴の1つに、タッチ操作ではなく、ジェスチャー操作に対応していることが挙げられる。つまり、本体に触れずに、本体から手を浮かせて特定の動きをすることで、スピーカーを操作できるのだ。
ジェスチャーは主に2種類。「本体真上に手をかざして、決まった方向に通過させる」ことで曲の一時停止や再生、次の曲や前の曲への移動が行える他、「本体の真上から指をさして時計回り、反時計回りに動かす」ことで音量調節が行える。
このジェスチャー機能は、キッチンなどで使用する際、手がぬれていて触れられない場合も操作できることがウリとのことで(ちなみにLF-S50GはIPX3の防水仕様に対応している)、使ってみた限りでは、「本体真上に手をかざして、決まった方向に通過させる」ジェスチャーについては、まだ直感的な操作が可能だ。
しかしもう一方のジェスチャー、「本体の真上から指をさして時計回り、反時計回りに動かす」ことでの音量調節は、動かす範囲が把握しづらい上、3%刻みでしか上げ下げできず、ストレスがたまる。Google Homeも音量は大ざっぱにしか上げ下げできないが、天板を直接なぞるため確実な操作が可能だし、失敗時のリカバリーもしやすい。
そもそも音量の調整は、必要に迫られて行うことが多いだけに、操作に不確実性を伴うジェスチャーを割り当てるのは個人的によく分からない。音量を調整しようと天板に指を持っていったところ、「手を決まった方向に通過させる」ジェスチャーと誤認されて再生が一時停止することもある。
ちなみにこのジェスチャー機能、試した限りでは本体上10cm程度の範囲を手が通過した際に認識されるので、スピーカーの向こう側に置いた物を取ろうと手を伸ばした瞬間に、うっかり反応させてしまうこともしばしば。家庭によっては、室内で飼っている小動物が誤動作の原因になることもありそうだ。
こうした可能性を考慮すると、ジェスチャーを完全無効にし、音声コマンドだけにする設定もあってよさそうだが、永続的に無効にする方法はないようだ(底面のボタンで3分間だけ無効にすることはできる)。マイクが無効にできてジェスチャーは無効にできないのは、どうもふに落ちない。利用者のITリテラシーが必ずしも高くない可能性があるスマートスピーカーの設計としては、やや疑問だ。
なお、前述の「本体真上に手をかざして、決まった方向に通過させる」ジェスチャーのうち、後方から手前への手の通過は、「OK Google」というウェイクワードを発するのと同じ意味を持つ。つまりこのジェスチャーを使えば、ウェイクワードなしで音声コマンドで指示を出せる。うまく使いこなせば、他の製品にない使い方が実現できるだろう。これは個人的にはプラス評価だ。
LF-S50Gの最大のウリは何と言ってもスピーカー性能だ。Google Homeは、低音は響くものの高い音が弱い傾向があり、音量を下げて音楽を再生するとベースの音だけが響いてくるようなこともあった。
その点、LF-S50Gは全域にわたってバランスもよく、この本体サイズで、かつ1台だけで再生しているのとは思えないほど臨場感のある音が出る。音は360度に広がる構造なので、リビングのテーブルの中央などに置き、室内をこれ1台でまかなうのも十分だ。
やや困るのが、Googleアシスタントの音量がかなり大きいことだ。Google Homeファミリーの製品では、「アシスタントの音量」と「それ以外の音楽などの音量」は別物で、音量調整でコントロールできるのは後者なのだが(それ故に音量0でもアシスタントの声は聞こえる)、LF-S50Gはアシスタントの音量が他製品よりも大きめで、設定した音量とは関係なく、かなり大きな声で返事が返ってくる。
Google Homeやオンキヨーの「G3」(Googleアシスタント対応のスマートスピーカー)が、音楽で言うところの10%相当の音量だとすると、LF-S50Gは体感的に20〜30%相当なので、周囲に迷惑にならないように音楽の音量を10%以下に絞っていても、アシスタントは構わず20〜30%で返事をする、という状況になってしまう。
恐らく、前述のように部屋の中央に置いて操作するという使い方を想定しているため、どこからでも聞き取りやすいよう音量を大きめにチューニングしているのではないかと思うが、他製品と比べてかなり極端で、逆に使い方を狭めているように感じる。
今後のアップデートで「おまかせ音量」なる機能が追加されるとのことだが、個人的にはむしろこちらの修正を早期にお願いしたいところだ。
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