こうしたコンピューティング系や通信系の半導体メーカーを迎え撃つのが、マイクロコントローラなどで強みを持っているルネサス エレクトロニクスだ。
ルネサスは「R-Car」シリーズと呼ばれるIVI向けのソリューションを自動運転向けに発展させていく計画で、製品の拡充を急いでいる。
中でも注目は2017年4月に新製品として投入された「R-Car V3M」。これは消費電力わずか1Wで、ディープラーニングの推論が可能になるハードウェアアクセラレータチップだ。アクセラレータチップは、CPUやGPUなどの汎用(はんよう)チップを利用した場合に比べて柔軟性は低下するが、低い消費電力でAIが実現できるソリューションとして注目を集めている。
ルネサスの強みは、現在の自動車に使われている制御系のマイクロコントローラで市場シェアを持っていることで、それとうまく組み合わせられる製品をリリースしていくことができれば、そうした製品を持たないNVIDIAやIntelに対してアドバンテージを持てるだろう。
このように、現状としては自動運転を巡る半導体戦争は、序盤戦はNVIDIAがリードをしており、それをIntelやQualcomm、そしてルネサスなどのベンダーが追いかけるという展開になりつつある。
しかし、まだレベル3の自動運転車がようやく市販される、そういう段階であり、今後本命のレベル4、レベル5の自動運転車が登場する段階では局面が変わってくる可能性もあり、今後も各社とも自動車メーカーの取り込みを巡って激しい競争が繰り広げられることになるだろう。
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