うんちくはこの程度にして、肝心の使い心地を見ていくことにしよう。前述の通り、本機は一般的なデスクトップキーボードと同様のストロークを持ちつつもパンタグラフ構造を採用しているのが特徴である。この構造が使い心地にどのように影響してくるのだろうか。
まず驚いたのが「キーのぐらつきのなさ」である。安価なメンブレンキーボードでは、構造の単純さ故にキーがグラつきガチャガチャと音を立てるものが多いのだが、本機でそういったものは一切感じられない。
打鍵感についても優れており、しっかりと押した感覚があり、安定して押下できる。音も静かで安価なキーボードにありがちな「ゴム特有のグニュグニュ感」がほとんど無いのが驚きだ。
この入力感、どこかで感じたような……と手元のキーボードを触り比べてみたが、なるほど、これは東プレREALFORCEシリーズに近い入力感だ。REALFORCEシリーズは接点方式として静電容量無接点方式を採用しているが、アクチュエータはゴム椀であるので、ある意味では近くなりやすいのかもしれない。
実際の所、筆者はパンタグラフ構造を採用したこのBSKBU510こそ、ゴム椀式メンブレン方式の1つの答えなのではないかと感じたほどだ。往年のゴム椀式メンブレンキーボードの良機としてはミネベアの「RT6652」シリーズや富士通の「FKB-321」シリーズなどがあるが、それらをも凌ぐ出来栄えだと自信を持っていえる。
そんな「ゴム椀キーボードのマスターピース」である本機だが、ネックとなる部分はやはり値段であろうか。販売価格は6000〜7000円程度と一般的なキーボードと比べ高めで、メカニカルキーボードも見えてくる価格帯となっている。全てのキーにパンタグラフ構造を採用する上で仕方のない部分はあると思うが、5000円以下であれば万人におすすめできるだけに少々残念なところ。
とはいえ、価格対比で優れたキーボードであることには間違いない。高価に思えたとしても一度は触ってみてほしい一品だ。
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