さて、次はペンの性能を見ていきましょう。まず断っておきたいのは、MediaPad M5 Pro自体はアート用途を強く訴求しているわけではない、ということです。それでも良い性能のペンを付けたからには見ておきたいです。
今回は結果をごく簡単に書いていこうと思います。項目の説明や調査方法については、過去の記事へのリンクも添えますので、必要に応じて参照してください。
まずは「ジッター」から。わずかに発生しますが、普通に描いていて気になることはほぼ無いと思います。
次に遅延です。評価機にインストールされていた「Autodesk SketchBook」を使って計測しました。先代のiPad Proや、Surfaceペン、ワコム製品などと同レベルで、十分速くて、しっかりとペン先に線がついてきます。
次に筆圧のデッドゾーン、ON荷重についてです。これは約12gと大きめで、お絵かき用途としては理想的な値ではありません。実際に描くときも、なでるような軽い筆圧まで使ってコントロールするときには、少し唐突感がある反応になります。
まとめると、ON荷重がやや劣る以外はお絵かき用途で十分通用する、ちゃんとした性能を備えていると言えます。数年前だとジッターや遅延がちょっとどうかというレベルの製品が多かったので、最近の底上げ感はすごいですね。
それでは実際に絵を描いて、実用したときの感触を見ていきましょう!
と言いたいところですが、ここでいきなり壁にぶちあたります。Androidにはお絵かきアプリはたくさんあるのですが、筆圧対応ソフトが少ないのです。
思い返せばGoogleとしても長らくAndroidはタブレットのやる気は感じられず、筆圧ペンが使える機種はごくごく一部です。そんな中で筆圧サポートと言われましても、という面はあるかもしれません。
そこで今回は、「メディバンペイント」を使用することにしました。スキマで止まってくれるバケツツールや、手振れ補正や入り抜き補正のあるペンなど、「こっち方面」の画風への親和性も高い上に筆圧対応もしている、大変貴重なアプリです。早速描いていきましょう。
そして壁にぶちあたります。ペンを持った手の小指や手の横腹に反応しまくるのです……。
このパームリジェクション問題、PCでお絵かきする場合はそもそもタッチ機能オフにできたり、iPad Proでは画面に触れる手指の特徴検出でもしているのか、ほぼ完璧にスルーしてくれていました。そのため、すっかり存在を忘れていましたが……。
手の乗せ方と、その後のペンの置き方の具合で、意図しないズームや回転と移動、画面右の方にUIがある状況では誤爆も起こります。これはメディバンペイントだけの問題ではなくて、多かれ少なかれ、他のアプリでも発生します。幸い、メディバンペイントには指では描画できない設定がありますが、右側にUIが表示されている状態では、触らないように気を付けないと誤爆します。
MediaPad M5 Proとしてのパームリジェクションのサポートは、ペン先がホバー検知範囲(画面から約10mm)に入っている間は全てのタッチを無視するという処理が入っているようです。ペン先の接近よりやや遅れて手を置く癖をもしつけられるなら、ほぼ解決すると思います。
そういえば昔作ったアーマー手袋なんかも有望なのですが、もう捨ててしまっていました。作業手袋の小指側に、家具の脚に付けるフェルトを張り付けて作りました。
さて、気を取り直してラフを描いていきます。今回は上記の理由であまりガッツリ行く気にはなれなかったのですが、一応ラフ→線画→彩色のプロセスは踏んでおくことにします。
ペン先の当たりがやや硬質で、ぶつけてる感があるの以外は普通に快適に描けます。特に軽い筆圧でコントロールしたりしないので、ON荷重が大きいのも別に?という感じですね。
ただし、この機種でのメディバンペイントはなぜか遅延が大きめで、先に測った値の2倍ぐらいです。これくらいだと気になる人は少なからずいると思いますが、ボクは普段からPhotoshop CCを使っているので平気です(かなしい)。
そして線画と色分け。縦置きでは細長すぎるので横で作業しましたが、そうするとちょっと画面の狭さがつらくて、結構妥協しながら描いています。とはいえメディバンペイント、塗り分けの初期状態を作るのに、線の切れ目で止まってくれるバケツツールはやはり便利ですね。
塗りではメディバンペイントのホバーカーソル表示機能が光ります。これがあると太いブラシを使うときに画面上での太さを感覚的に認識できたり、ブラシの端の位置を見定めて始筆に入れるので本当にありがたいです。
そしてざっくりと塗って完成。
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