お絵かきタブレットにAndroidという選択はあり? 人気プロ絵師が「MediaPad M5 Pro」を試した結果(2/3 ページ)

» 2018年07月30日 08時00分 公開
[refeiaITmedia]

ペン性能をチェック

 さて、次はペンの性能を見ていきましょう。まず断っておきたいのは、MediaPad M5 Pro自体はアート用途を強く訴求しているわけではない、ということです。それでも良い性能のペンを付けたからには見ておきたいです。

 今回は結果をごく簡単に書いていこうと思います。項目の説明や調査方法については、過去の記事へのリンクも添えますので、必要に応じて参照してください。

 まずは「ジッター」から。わずかに発生しますが、普通に描いていて気になることはほぼ無いと思います。

ジッターテスト

 次に遅延です。評価機にインストールされていた「Autodesk SketchBook」を使って計測しました。先代のiPad Proや、Surfaceペン、ワコム製品などと同レベルで、十分速くて、しっかりとペン先に線がついてきます。

新型のiPad Proほどではないですが、十分です

 次に筆圧のデッドゾーン、ON荷重についてです。これは約12gと大きめで、お絵かき用途としては理想的な値ではありません。実際に描くときも、なでるような軽い筆圧まで使ってコントロールするときには、少し唐突感がある反応になります。

個人的には7g以下ぐらいにできれば文句はないです

 まとめると、ON荷重がやや劣る以外はお絵かき用途で十分通用する、ちゃんとした性能を備えていると言えます。数年前だとジッターや遅延がちょっとどうかというレベルの製品が多かったので、最近の底上げ感はすごいですね。

お絵かきしてみる

 それでは実際に絵を描いて、実用したときの感触を見ていきましょう!

 と言いたいところですが、ここでいきなり壁にぶちあたります。Androidにはお絵かきアプリはたくさんあるのですが、筆圧対応ソフトが少ないのです。

 思い返せばGoogleとしても長らくAndroidはタブレットのやる気は感じられず、筆圧ペンが使える機種はごくごく一部です。そんな中で筆圧サポートと言われましても、という面はあるかもしれません。

 そこで今回は、「メディバンペイント」を使用することにしました。スキマで止まってくれるバケツツールや、手振れ補正や入り抜き補正のあるペンなど、「こっち方面」の画風への親和性も高い上に筆圧対応もしている、大変貴重なアプリです。早速描いていきましょう。

 そして壁にぶちあたります。ペンを持った手の小指や手の横腹に反応しまくるのです……。

ペンじゃなくて小指がお絵かきしています

 このパームリジェクション問題、PCでお絵かきする場合はそもそもタッチ機能オフにできたり、iPad Proでは画面に触れる手指の特徴検出でもしているのか、ほぼ完璧にスルーしてくれていました。そのため、すっかり存在を忘れていましたが……。

 手の乗せ方と、その後のペンの置き方の具合で、意図しないズームや回転と移動、画面右の方にUIがある状況では誤爆も起こります。これはメディバンペイントだけの問題ではなくて、多かれ少なかれ、他のアプリでも発生します。幸い、メディバンペイントには指では描画できない設定がありますが、右側にUIが表示されている状態では、触らないように気を付けないと誤爆します。

 MediaPad M5 Proとしてのパームリジェクションのサポートは、ペン先がホバー検知範囲(画面から約10mm)に入っている間は全てのタッチを無視するという処理が入っているようです。ペン先の接近よりやや遅れて手を置く癖をもしつけられるなら、ほぼ解決すると思います。

 そういえば昔作ったアーマー手袋なんかも有望なのですが、もう捨ててしまっていました。作業手袋の小指側に、家具の脚に付けるフェルトを張り付けて作りました。

 さて、気を取り直してラフを描いていきます。今回は上記の理由であまりガッツリ行く気にはなれなかったのですが、一応ラフ→線画→彩色のプロセスは踏んでおくことにします。

Surface Proのとき描いた子をもう1回描きたくなりました

 ペン先の当たりがやや硬質で、ぶつけてる感があるの以外は普通に快適に描けます。特に軽い筆圧でコントロールしたりしないので、ON荷重が大きいのも別に?という感じですね。

 ただし、この機種でのメディバンペイントはなぜか遅延が大きめで、先に測った値の2倍ぐらいです。これくらいだと気になる人は少なからずいると思いますが、ボクは普段からPhotoshop CCを使っているので平気です(かなしい)。

 そして線画と色分け。縦置きでは細長すぎるので横で作業しましたが、そうするとちょっと画面の狭さがつらくて、結構妥協しながら描いています。とはいえメディバンペイント、塗り分けの初期状態を作るのに、線の切れ目で止まってくれるバケツツールはやはり便利ですね。

評価機が店頭デモ構成だったせいで、しばらく置いたらいつのまにかアプリと絵が消去されていました。運よく残っていたスクショにポーズを取っています。ライブ感

 塗りではメディバンペイントのホバーカーソル表示機能が光ります。これがあると太いブラシを使うときに画面上での太さを感覚的に認識できたり、ブラシの端の位置を見定めて始筆に入れるので本当にありがたいです。

 そしてざっくりと塗って完成。

スクショ残しておいてよかった……

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  7. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  8. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
  9. 日本HP、“量子コンピューティングによる攻撃”も見据えたセキュリティ強化の法人向けPCをアピール (2024年03月28日)
  10. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー