コンセプトを大きく変えるフルモデルチェンジではなかったこともあり、Galaxy Note9のお披露目はここでいったん終了に。続いて発表されたのが、Galaxy Watchだった。壇上で同モデルを披露したマーケティングのシニアディレクター、エリーナ・ヴィヴェッグ氏は「人々はGalaxy Watchが本物の時計のように見えることを望んでいる」として、まずデザインを紹介。同モデルには42mmが2色、46mmが1色用意されていることが発表された。
また、6万のウォッチフェースや、LTEモデルが用意されていることも明かされている。LTEモデルは、15カ国以上、30以上のキャリアに展開される予定だ。Galaxy Watchはバッテリーも強化されており、「1回充電するだけで、数日間使える」(ヴィヴェック氏)のも特徴だ。ストレス計測機能や睡眠測定機能なども搭載される。
初代スマートウォッチの「Galaxy Gear」は「Galaxy Note 3」と同時に発表されており、大画面のGalaxy Noteをカバンやポケットから取り出さず、通知や通話など必要最小限のことを腕元の時計で済ませるというコンセプトで開発されていた。その意味では、ブランド刷新に伴い、原点回帰したと捉えることもできる。「Galaxy WatchはGalaxy Note9と完全にマッチする」というヴィヴェッグ氏の言葉にもうなずけるところがありそうだ。
最後に紹介されたのが、Samsung Electronicsが開発するAIエージェントの「Bixby」だ。UNPACKEDでは、音声だけでレストランを予約したり、ライドシェアサービスの配車をしたりといったデモが披露された。さらに、Bixbyを家庭内に普及させていく取り組みの一環として、スマートスピーカーの「Galaxy Home」を紹介。同モデルにはBixbyが内蔵されており、周囲の環境に応じて自動的にサウンドを最適化する機能も搭載されているという。
スマートウォッチからスマートスピーカーまで、あらゆるものがネットワークに接続するという考え方を強調したSamsung。8月31日からドイツ・ベルリンで開催されるIFAでは、その他の家電製品も発表されるはずだ。これらの中心に位置付けられる製品が、同社のフラグシップモデルであるGalaxy Note9となる。これが、Samsungの打ち出したメッセージだ。
一方で、バッテリー発火事故以降初の発表となったGalaxy Note8と比べると、Galaxy Note9そのものに割かれた時間は少なくなり、どこかあっさりしていた印象が残った。端末もフルモデルチェンジというより、Galaxy Note8の欠点を補い、Galaxy S9/S9+の新機能を取り入れたファインチューニングの色合いが濃い。進化したSペン以上にスペックが強調されていたのも、筆者の目にはやや拍子抜けに映った。
確かに、高いスペックはGalaxyシリーズの魅力の1つではある。ただ、Noteシリーズは大画面やSペンなどで、ユーザーの新たな利用シーンを提案し、進化してきた端末だ。スペック推し一辺倒では、春に発表するSシリーズとの差別化も難しくなってしまう。Samsungは折りたたみ型のGalaxyを開発しており、2019年に発表されるとのうわさもある。新たなコンセプトを打ち出す役割は、完成の域に達したGalaxy Noteから、その新機種に移っていくのかもしれない。
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