Samsung Electronicsが8月23日(米国東部夏時間)発表したAndroidスマートフォン「Galaxy Note8」。世界のほとんどの市場では、販売中止に追い込まれた「Galaxy Note7」以来1年ぶりとなる新モデルとなる(※)。日本での発売は未定だが、仮に発売が決まれば「Galaxy Note Edge」から約3年越しの新モデル投入ということになる。
Galaxy Noteシリーズのユーザーは、他のGalaxyシリーズと比較するとロイヤルティー(製品に対する忠誠度)が高いと言われている。Galaxy Note8は、そのユーザーの声に応えて開発されたものだという。
複数の市場でこの機種が発売される中、筆者は韓国・水原(スウォン)市の同社本社で行われた日本の報道関係者向けのグループインタビューに参加する機会を得た。この記事では、Galaxy Note8の商品企画を担当したグローバル商品企画グループ Senior Professionalのソ・ジン氏に話を伺った際の模様をお伝えする。
※ 海外の一部市場では、Galaxy Note7をベースにバッテリー容量を削減した「Galaxy Note Fan Edition」をNote8に先だって発売している(参考記事)
「大画面のもたらす体験」を訴求すべく、Galaxy Note8では「Galaxy S8」「Galaxy S8+」と同様に「Infinity Display」と呼ばれるSuper AMOLED(有機EL)ディスプレイを採用している。画面サイズはS8+よりもわずかに大きい6.3型で、解像度はQHD+(1440×2960ピクセル)となっている。画面の左右が湾曲している点もS8/S8+と同様だが、「Sペン」での操作性に配慮してエッジの角度をより急にしている。
Sペンの操作性を考えた場合、「画面のアスペクト比(縦横比)をもう少し実際のノートに近づけても良いのでは?」という疑問も湧いてくるが、「ノートとしての使い勝手とスマホとして手に持った時のバランスの良さに配慮した」(ソ氏)結果、S8やS8+と同じ9:18.5の比率に落ち着いた。
大画面を生かすために、Note8ではApp Edgeに2つのアプリをマルチウィンドウで起動できる「App Pair」という機能が新たに追加された。この機能は、ユーザー調査を通して「Noteユーザーはマルチウィンドウの利用率がより高い」(ソ氏)ことが分かり、その結果生まれたものだという。
Sペンに関するハードウェア的な仕様は、Note7とほぼ同様となっている。筆圧検知は4096段階で、そこそこしっかりとした絵も描けるレベルだ。本体と同様に防塵(じん)・防水性能を確保しているため、ぬれた状態でもペン操作ができる。
その使い勝手をさらに高めるべく、Note8ではソフトウェア面での改善を進めている。例えば、日常的にSペンを使ってもらうべく、スリープ状態でもSペンでメモが取れる「画面オフメモ」や、Sペンで描いた(書いた)絵や文字をアニメーション化する「ライブメッセージ」に新規対応した。
画面オフメモは「Noteユーザーの『Galaxy Notes』(Galaxyオリジナルのメモアプリ)の使い方を調べた」(ソ氏)ところ、ペンを取り出したらすぐメモを取りたいというニーズが多かったため搭載したという。メモの最大保存数を100件に拡大したり、メモした内容をAlways On Displayに表示できるようにしたりして、利便性の向上にも努めている。
ライブメッセージでは、作成したアニメーションをGIFファイルとして保存できる。そのため、メッセンジャーアプリのスタンプ代わりに使うこともできる。ソ氏も友人とのやりとりに活用しているという。
その他、ペンを文字列にかざすと任意の言語に翻訳できる機能では、センテンス(連続した言葉)の翻訳も可能になった。また、絵を描く際に使う「PENUP」アプリもバージョンアップし、クリエイティビティを向上している。
「ユーザーのニーズが高まった」(ソ氏)ことから、Galaxy Note8では「デュアルカメラ」をGalaxyシリーズとしては初めて搭載している。
デュアルカメラは「通常レンズ」と「望遠レンズ」という組み合わせで、2倍の光学ズームを実現している。いずれのレンズにも光学手ブレ補正機能を備えており、ブレを軽減している。
2つのレンズがあることを生かして、背景のピンボケ補正をいつでも調整できる「ライブフォーカス撮影」機能を搭載している。通常の写真と望遠写真を同時に撮影する「デュアルキャプチャー」にも対応しており、ライブフォーカス撮影中も利用できるという。
その他、Galaxy Note8ではGalaxy S8/S8+に搭載されている「Samsung DeX」「非接触充電(Qi)」「防水・防塵」「microSDメモリーカード対応」といった機能的特徴をキープしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.